オーガナイズドセッション


オーガナイズドセッション一覧

  • OS-1 計算社会科学(鳥海 不二夫,榊 剛史,笹原 和俊,瀧川 裕貴,吉田 光男)
  • OS-2 データセットとベンチマークの技術的・社会的な視点(鈴木 健二,原 聡,谷中 瞳,菅原 朔)
  • OS-3 地震研究と人工知能(長尾 大道,内出 崇彦,加納 将行,庄 建倉,久保 久彦)
  • OS-4 社会現象とAIと可視化(伊藤 貴之,脇田 建)
  • OS-5 ヒューマン・イン・ザ・ループAI(荒井 ひろみ,小山 聡,鹿島 久嗣,堤 瑛美子,森 純一郎)
  • OS-6 信頼と文脈のインタラクションデザイン(寺田 和憲,今井 倫太,山田 誠二)
  • OS-7 医歯薬学・生命科学の革新を目指した言語処理(矢田 竣太郎,荒牧 英治,河添 悦昌,堀 里子)
  • OS-8 AIとデモクラシー(白松 俊,伊藤 孝行,大沼 進,松尾 徳朗)
  • OS-9 Affective Computing(熊野 史朗,日永田 智絵,森田 純哉,菅谷 みどり,鈴木 健嗣)
  • OS-10 大規模言語モデルとデータサイエンス(砂山 渡,森 辰則,高間 康史,笹嶋 宗彦,西原 陽子)
  • OS-11 AIと制約プログラミングAIと制約プログラミング(花田 研太,波多野 大督,宋 剛秀)
  • OS-12 政治経済におけるAIの利活用(木村 泰知,小川 泰弘,渋木 英潔,高丸 圭一,内田 ゆず,乙武 北斗,秋葉 友良,門脇 一真,小林 暁雄)
  • OS-13 インタラクションとAI(酒井 元気,岡田 将吾,湯浅 将英,近藤 一晃,下西 慶)
  • OS-14 AI諸技術の発展に基づく学びのモデルの高度化と展望(小西 達裕,宇都 雅輝,小暮 悟,山元 翔)
  • OS-15 サイバー世界とリアル世界を架けるAI(鷲尾 隆,西山 直樹,吉岡 琢,小松崎 民樹,山崎 啓介,窪澤 駿平)
  • OS-16 世界モデルと知能(鈴木 雅大,岩澤 有祐,河野 慎,熊谷 亘,松嶋 達也,森 友亮,松尾 豊)
  • OS-17 ひと中心の未来社会とAI(名取 直毅,梶 大介,廣瀬 正明,河村 芳海,梶 洋隆,城殿 清澄)
  • OS-18 デジタル人文学とAI(大向 一輝,嘉村 哲郎,亀田 尭宙,中村 覚)
  • OS-19 機械学習品質評価・向上技術(磯部 祥尚,中島 震,小林 健一)
  • OS-20 統合AIと人との共生(栗原 聡,山川 宏,谷口 彰,田和辻 可昌)
  • OS-21 もうひとつのAI倫理:技術が問い直す人間の役割(水上 拓哉,中川 裕志,佐倉 統,福住 伸一)
  • OS-22 知・情・意—AIが人間研究になるための哲学(諏訪 正樹,藤井 晴行)
  • OS-23 社会科学・人文科学分野の行動インサイトを活用した機械学習と最適化(戸田 浩之,倉島 健,深澤 佑介)
  • OS-24 AutoML(自動機械学習)(大西 正輝,日野 英逸)
  • OS-25 不動産とAI(橋本 武彦,清田 陽司,山崎 俊彦,諏訪 博彦,清水 千弘,吉原 勝己)
  • OS-26 日常生活知識とAI(福田 賢一郎,江上 周作,宮田 なつき,Qiu Yue,鵜飼 孝典,古崎 晃司,川村 隆浩,市瀬 龍太郎,岡田 慧)
  • OS-27 AIを活用した都市と自然環境の空間・系列データのモデリング(田部井 靖生,竹内 孝,藤井 慶輔,沖 拓弥,西田 遼,前川 卓也)
  • OS-28 AI技術開発におけるジェンダード・イノベーションと公平性(新田 泉,柏木 志保)
  • OS-29 音楽認識・生成技術が紡ぎ出す未来の社会(北原 鉄朗,中村 栄太,浜中 雅俊)
  • OS-30 大規模・高品質な生成AI時代における人工生命と人工意識(堀井 隆斗,堀部 和也,鈴木 啓介)
  • OS-31 デジタルゲームの人工知能(三宅 陽一郎,森川 幸人)
  • OS-32 人工知能と物語応用(大澤 博隆,宮田 龍,西中 美和)

OS-1 計算社会科学

オーガナイザ

  • 鳥海 不二夫(東京大学)
  • 榊 剛史(株式会社ホットリンク)
  • 笹原 和俊(東京工業大学)
  • 瀧川 裕貴(東京大学)
  • 吉田 光男(筑波大学)

内容・テーマの例

Webのソーシャル化や実空間での様々な行動センシングが進行している現在,人々の自発的な情報行動やコミュニケーションなどの詳細はデジタルに記録・蓄積されるようになりました.このような大規模社会データを情報技術によって取得・処理し,分析・モデル化して,人間行動や社会現象を定量的・理論的に理解しようとする学問が「計算社会科学」 (Computational Social Science)です.
計算社会科学OSでは,大規模社会データ分析研究,社会シミュレーションによる理論的研究,(ウェブを使った大規模行動実験)による実験的研究などを使い,人間行動や社会現象を理解することを目指した研究を募集します.

キーワード

  • 大規模社会データ分析
  • 社会シミュレーション
  • バーチャルラボ

OS-2 データセットとベンチマークの技術的・社会的な視点

オーガナイザ

  • 鈴木 健二(ソニーグループ株式会社)
  • 原 聡(大阪大学)
  • 谷中 瞳(東京大学)
  • 菅原 朔(国立情報学研究所)

内容・テーマの例

近年の人工知能の発展は目覚ましく, 生成系AI(大規模言語モデル, 画像生成AIなど)の躍進によって技術が革新的に進化している. その生成系AIの学習には, 大量のデータを必要とする. そして, 多角的な観点によるベンチマークの重要性も増している. 
人工知能の研究開発にとって最も重要なデータセットにかかわる課題は, 社会的な影響も大きい. 技術的課題のみならず倫理的・法的・社会的課題を含めて学際的な議論が望まれている. 
本オーガナイズドセッションでは,データセットとベンチマークに関する技術的課題と倫理的・法的・社会的課題に関する研究の両者を対象とする. 
技術的課題としては, データセット作製や生成技術, データの多様性, データ品質, データ前処理技術, データの可視化手法, データバイアス緩和手法, プライバシー保護技術, 偽情報への技術的対策, ベンチマークでの評価指標, ベンチマーク用データセット, ベンチマークでの再現性などを対象とする. 大規模言語モデル, 画像生成AIなどの生成系AIに限らず, 様々な認識系AI, 行動学習, 意思決定などにおけるデータセットやベンチマークに関する多様な分野からの研究発表を募集する. 
倫理的・法的・社会的課題としては, データセットの取り扱いに関する公平性, 説明責任, 透明性, 著作権法上の課題, プライバシー・個人情報保護, データのセキュリティ, 偽情報対策, データの権利処理, 倫理的な取り扱い, 各国規制の最新動向, AI・データのガバナンスなども対象とする.

キーワード

  • データセット
  • ベンチマーク
  • 大規模言語モデル
  • 生成系AI
  • 倫理的・法的・社会的課題(ELSI)

OS-3 地震研究と人工知能

オーガナイザ

  • 長尾 大道(東京大学地震研究所)
  • 内出 崇彦(産業技術総合研究所)
  • 加納 将行(東北大学)
  • 庄 建倉(統計数理研究所)
  • 久保 久彦(防災科学技術研究所)

内容・テーマの例

近年の発展著しい人工知能・機械学習は自然科学の分野においても浸透しつつあり、地震研究においても成果が着実に積み上がってきている状況である。地震に関する観測は陸海の広範囲において継続的におこなれており、人工知能・機械学習をはじめとする最新の情報科学技術を駆使して観測ビックデータを解析することによって地震現象の解明や地震災害の防災・減災が進むことが期待されている。そのような中で、わが国では情報科学の知見を採り入れた新たな地震調査研究を推進することを目的とした「情報科学を活用した地震調査研究プロジェクト(STAR-Eプロジェクト)」が2021年度から文部科学省において開始しており、今後の更なる発展が期待される。本オーガナイズドセッションでは、地震をはじめとする自然災害分野における基礎から応用にわたる人工知能研究および関連する研究の発表を幅広く募集する。本オーガナイズドセッションを人工知能研究者と地震研究者の交流の場としたい。

キーワード

  • 地震
  • 自然災害
  • ビックデータ
  • 機械学習
  • 情報科学

OS-4 社会現象とAIと可視化

オーガナイザ

  • 伊藤 貴之(お茶の水女子大学)
  • 脇田 建(東京工業大学)

内容・テーマの例

社会現象とAIと可視化

情報可視化は日常業務や社会現象に関するデータをビジュアルに表現する技術の総称である。近年の情報可視化の研究はAIと連携したものが急激に増えている。例えば可視化を駆使した対話操作型のデータ分析の過程で機械学習や進化計算を反復的に呼び出すVisual Analyticsというシステムもあれば、説明性の高いAIを実現するために可視化を適用する研究も増えている。

一方で近年では新型コロナウィルス感染状況や選挙速報をはじめとして、可視化技術を
駆使して社会現象をビジュアルに報道する機会が増えている。このような状況を鑑みて提案者らは2020年から2023年にかけて日本学術会議にて「社会に資する可視化の小委員会」を結成した。

以上の背景を鑑みて、本セッションでは例として以下のようなテーマでの発表を募集する。

・ソーシャルメディアに見られる人々の発言や流行、人流解析結果として得られる人々の移動などに関する傾向の可視化。
・災害・感染症・経済危機などの非常時に見られる人々の情報理解、またその誤りから生じるインフォデミックの流れの可視化。
・企業間の取引や物流をはじめとするビジネス情報に見られる社会現象の可視化。
・AIの実用に関する諸問題を解決するための可視化。例として、機械学習の説明責任や訓練データ品質保証のための可視化、AI運用上の公平性やプライバシー保護を担保するための可視化など。
・これらに限らず、社会現象に関する可視化全般、AIと連携した可視化全般、汎用的な可視化技術全般。

キーワード

  • 可視化
  • 社会現象
  • Visual Analytics
  • XAI (eXplainable AI)

OS-5 ヒューマン・イン・ザ・ループAI

オーガナイザ

  • 荒井 ひろみ(理研AIP)
  • 小山 聡(名市大)
  • 鹿島 久嗣(京大)
  • 堤 瑛美子(東大)
  • 森 純一郎(東大)

内容・テーマの例

ヒューマン・イン・ザ・ループ(Human-in-the-loop)AIは、人間とAIの適切な役割分担による協働を通じて、さまざまな困難な問題を解決することを目指している。近年のAIの自動化と予測能力の著しい向上にもかかわらず、高度な判断や倫理的な問題においては、いまだ人間による補完が不可欠である。今後、AIが一層社会に受け入れられ、発展していくためには、ヒューマン・イン・ザ・ループAIの考え方が不可欠である。 本セッションでは、ヒューマン・イン・ザ・ループAIの基礎となる理論的背景から、これを実現するための方法論の開発、そしてその実践や、社会からの要請など、様々な観点からこれを幅広く議論する。例えば、人間参加型の機械学習、品質の高いデータセット作成、さまざまなバイアスへの対処、プライバシー保護、AIの意思決定プロセスの説明可能性などのトピックや、AIへの人間の介入とその戦略および、実践的な事例研究等のトピックが含まれる。 本セッションでは、これらのトピックに関する研究発表と議論を通して、AIと人間が連携して取り組むべき現実の問題を解明し、研究や産業界の発展に貢献することを目的とする。想定されるキーワードを以下にあげるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、幅広い観点からの投稿を期待する:ヒューマンコンピュテーション、クラウドソーシング、AIの説明可能性、人間参加型機械学習、データ収集とアノテーション、バイアスと公平性、プライバシー保護、AIの倫理、科学・産業におけるヒューマン・イン・ザ・ループAI応用、生成AIとヒューマンフィードバック、教育とAI

キーワード

  • ヒューマンコンピュテーション
  • クラウドソーシング
  • 機械学習
  • AIの倫理
  • HCI
  • 大規模言語モデル(LLM)
  • CSCW

OS-6 信頼と文脈のインタラクションデザイン

オーガナイザ

  • 寺田 和憲(岐阜大学)
  • 今井 倫太(慶應義塾大学)
  • 山田 誠二(国立情報学研究所)

内容・テーマの例

AI技術の進歩は,人間の意思決定を拡張する.また、人の意思決定は、人が置かれている文脈(言語的・環境的文脈)に強く依存している。コンピュータが、人と人、人と機械のインタラクションの文脈を捉えることは、人から信頼される形でAIの意思決定を提示していく上で必須の技術である。この問題を解決するために,AIの性能向上に加えて,AIがその能力に見合った信頼を得ること,人の納得に繋がるインタラクションの文脈の把握と制御が重要となる。本オーガナイズドセッションでは、インタラクションの文脈を捉え情報を提示する技術ならびに、信頼されるAIの実現につながる研究発表を広く募集する.トピックは,以下の通りであるが,これらに限定されるものではない.

キーワード

  • 逐次的文脈処理
  • インタラクションにおける心的状態推定
  • 信頼較正の理論と応用
  • 信頼工学
  • 信頼モデル(認知信頼モデル,AI信頼モデル)
  • 信頼インタラクション
  • 医療AIにおける信頼

OS-7 医歯薬学・生命科学の革新を目指した言語処理

オーガナイザ

  • 矢田 竣太郎(奈良先端科学技術大学院大学)
  • 荒牧 英治(奈良先端科学技術大学院大学)
  • 河添 悦昌(東京大学)
  • 堀 里子(慶應義塾大学)

内容・テーマの例

自然言語処理を医歯薬学関連テキスト(電子カルテや医薬品添付文書)へと適用する研究は多数見られ,類似所見検索,フェノタイピング,副作用抽出などの応用が見られるが,医薬学研究や臨床現場で実用されている例はほとんどない.米国FDAで認可され実用されている医用画像AIとは雲泥の差である.生命科学分野でもタンパク質名を文献から抽出する研究など人気があるが,DeepMindのAlphaFoldによるタンパク質構造予測のように,生命科学の研究手法にパラダイムシフトを与えるほどの言語処理応用は見られない.一方で,大規模言語モデルの成功を受け,自然言語処理の社会実装にはこれまでにないほどの期待が集まっている.本OSでは,医歯薬学・生命科学上の成果に結びつく実際的な支援を,自然言語処理によって実現しようとする取り組みを広く募集する.未知の副作用の検出,創薬,新規タンパク質の創生などは,中でも挑戦的な目標の例である.それ以外にも,近未来における実現可能性が高い目標を対象としたもの,大規模言語モデルを用いていないものなど,研究の規模や言語処理上の手法は問わない.実際の医歯薬学・生命科学的成果を挙げられた研究に限らず,それを目指す途上の研究も歓迎する.言語処理が工学として他の研究領域に革新をもたらす可能性を,参加者とともに議論したい.

キーワード

  • 自然言語処理
  • 大規模言語モデル
  • 臨床テキスト
  • 患者テキスト
  • 論文テキスト

OS-8 AIとデモクラシー

オーガナイザ

  • 白松 俊(名古屋工業大学)
  • 伊藤 孝行(京都大学)
  • 大沼 進(北海道大学)
  • 松尾 徳朗(産業技術大学院大学)

内容・テーマの例

現在実装されているデモクラシーを支えるシステムは,インターネットやAI技術がない時代に設計されたものである.そのため,最近の技術,例えばSNSを使った政治活動によって,必ずしも期待していたデモクラシーが実現できているとは言い難い.それに対し,近年の大規模言語モデル (LLM) 等の発展により,新しいデモクラシーの支援技術の可能性が拡がっている.例えば,JST CRESTの「ハイパーデモクラシー:ソーシャルマルチエージェントに基づく大規模合意形成プラットフォームの実現」では,マルチエージェント技術やLLMを用いた新しいデモクラシーのあり方を検討している.本オーガナイズセッションでは,AIとデモクラシーに関わる様々なテーマに関して議論を重ね,AIとデモクラシーに関する研究を推進し,学際的な研究コミュニティを創成する.

キーワード

  • 合意形成
  • マルチエージェント
  • 集団知性(コレクティブインテリジェンス)
  • 社会心理学
  • シビックテック
  • 合意情報学
  • 大規模言語モデル

OS-9 Affective Computing

オーガナイザ

  • 熊野 史朗(NTT コミュニケーション科学基礎研究所)
  • 日永田 智絵(奈良先端科学技術大学院大学)
  • 森田 純哉(静岡大学)
  • 菅谷 みどり(芝浦工業大学)
  • 鈴木 健嗣(筑波大学)

内容・テーマの例

本オーガナイズドセッションは2020年度から連続で開催しており今回が5回目の節目を迎える.Affective Computingは機械に人の情動を認知させる,機械を情動的に振舞わせる,機械に情動を持たせることを基本目標として始まった人の心に計算論的アプローチで迫ろうとする学際分野である.こと人工知能は,人の情動の自動推定にも使える優れたアルゴリズムを構築してきただけでなく,幸福,驚き,後悔といった人の進化的な感情を学習モデル自体に取り入れるなどその中核にある.Affective Computingの黎明期には,コントロールされた心理実験で得た条件下でのそれら基本カテゴリや感情価・覚醒度といった基本次元の自動認知だった.だが近年では,機械学習技術に加えてオンライン実験,ウェアラブル生体センサ,データロギングの普及で,より実環境に近い条件下での実験や,痛み,鬱,ストレス,共感,wellbeingといったより高次の対象をも扱えるようになってきた.本分野は高IFを誇るIEEE Transactions on Affective Computingや旗艦国際会議であるInternational Conference on Affective Computing and Intelligent Interaction (ACII)など成長を続けている.本オーガナイズドセッションは,本分野や関連分野で活躍する研究者が集まり議論することで,人工知能分野における感情計算論の位置付けや現状をより明確化して今後感情計算論が進むべき方向について考える貴重な機会としての役割を担っている.

キーワード

  • 感情
  • 情動
  • 計算論
  • 主観
  • 行動
  • 生理

OS-10 大規模言語モデルとデータサイエンス

オーガナイザ

  • 砂山 渡(滋賀県立大学)
  • 森 辰則(横浜国立大学)
  • 高間 康史(東京都立大学)
  • 笹嶋 宗彦(兵庫県立大学)
  • 西原 陽子(立命館大学)

内容・テーマの例

昨今のデータ利活用の促進やデータサイエンティストの育成が求められる状況の中で,大規模言語モデルとその応用に注目が集まってきています.これまでのデータ利活用においては,コンピュータを用いてデータから得られる客観的な指標をもとに,人間がその意味解釈を行って,知識創発につなげていくことが必要となっていました.しかし,大規模言語モデルの登場により,コンピュータであってもデータに意味を見出したり,アイディアの生成を期待できる状況となってきています.一方で,最終的な意思決定を行うのは人間であるという点は変わることがないため,この意思決定に向けたより強力なサポートを,大規模言語モデルによって実現できる可能性が高まってきています.
そこで本セッションにおきましては,データに意味を与える作業,得られた意味の集合と既知の情報から新しいアイディアを創発する作業など,データ利活用に大規模言語モデルを採り入れた環境の提案や構築,データ利活用の自動化に関する研究発表を幅広く募集します.また,データ利活用における大規模言語モデルの役割など,実装の前段階における枠組みの提案も歓迎いたします.データ利活用を主目的としたアプリケーションでなくても,大規模言語モデルを用いて,データに対して何らかの意味づけを行いながら人間をサポートするアプリケーションも対象とします.

・大規模言語モデルとデータ利活用
・大規模言語モデルを用いたデータ利活用の自動化
・大規模言語モデルを用いたデータ利活用のためのインタラクション
・データサイエンティストの育成
・大規模言語モデルを用いたアプリケーション

キーワード

  • 大規模言語モデル
  • データサイエンス
  • データ利活用
  • データへの意味づけ
  • 知識創発

OS-11 AIと制約プログラミング

オーガナイザ

  • 花田 研太(奈良先端科学技術大学院大学)
  • 波多野 大督(理化学研究所)
  • 宋 剛秀(神戸大学)

内容・テーマの例

制約充足問題および制約最適化問題 (以下,まとめて CSP と呼ぶ) は,それぞれ与えられた制約を満たす解および最適解を探索する問題である. 制約プログラミングは, CSP を取り扱うプログラミングパラダイムである. 人工知能研究で生じる多くの組合せ問題は CSP として定式化できることから, 制約プログラミングは, 1980年代から現在に至るまで人工知能分野で活発に研究されてきた. 本オーガナイズドセッションでは,「AI と制約プログラミング」に関する研究発表・議論を行う場を提供することを目的し,AIにおける探索や推論, 制約に関する理論, アルゴリズム, 言語, モデル, システムなど AI と制約プログラミングに関する基礎から応用問題まで幅広く募集する.以下にテーマの例を挙げる.
- ソルバー (CSP, SAT, MaxSAT, PB, SMT, ASP など)
- 推論・探索アルゴリズム (CDCL, 列挙など)
- 知識コンパイル (BDD/ZDD/MDD などの Decision Diagram)
- マルチエージェント (分散CSP, 提携構造形成問題など)
- 応用 (モデル検査, スケジューリング, プランニングなど)
制約プログラミングはCP国際会議や各種ソルバーの競技会が毎年開催されるなど国際的な関心が高い.本オーガナイズドセッションでは,国内の研究者を一堂に会して,国内コミュニティの活性化を目指す.

キーワード

  • 制約充足問題・制約最適化問題
  • SAT/MaxSAT/PB/SMT/ASP
  • BDD/ZDD/MDD
  • 列挙問題
  • マルチエージェント

OS-12 政治経済におけるAIの利活用

オーガナイザ

  • 木村 泰知(小樽商科大学)
  • 小川 泰弘(名古屋市立大学)
  • 渋木 英潔(BESNA研究所)
  • 高丸 圭一(宇都宮共和大学)
  • 内田 ゆず(北海学園大学)
  • 乙武 北斗(福岡大学)
  • 秋葉 友良(豊橋技術科学大学)
  • 門脇 一真(株式会社日本総合研究所)
  • 小林 暁雄(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 農業情報研究センター)

内容・テーマの例

現代の情報化社会では、政治や経済に関連する情報が日常生活、ビジネス、国際関係に大きな影響を及ぼしている。この情報の正確性と信頼性は極めて重要であるものの、多様な情報源からの正しく情報を評価することはますます困難になっている。この課題に対処するため、人工知能の技術が重要な役割を果たすことになる。
「政治経済におけるAIの利活用」をテーマにしたオーガナイズドセッションでは、以下の側面を探求する。
1.技術・手法の共有: 研究者や専門家が、最新の技術や手法、研究結果を共有することにより、政治経済情報に対する情報処理の発展を促進することができる。このセッションでは、AIを利用した情報処理技術や研究成果が共有され、情報の信頼性を高める方法について議論される。
2.偽情報や誤情報への対策:偽情報・誤情報や偏見に基づく情報の拡散を防ぐために根拠抽出が必要である。その自動化は、民主主義の健全な発展と経済の安定に寄与することが期待される。AIはそのための強力なツールとなる。
3.社会への貢献:政治経済情報の自動的な簡略化や根拠に基づく検証は、社会における情報の透明性を高め、十分な情報に基づいた意思決定を可能にする。これは、社会の全体的な発展に大きく貢献すると考えられる。
このセッションは、人工知能技術を用いて、政治経済分野における情報の正確性と信頼性に関する課題に対処する。これにより、科学技術の発展と社会の進歩の両方に貢献することが期待される。

キーワード

  • デジタル民主主義
  • 政治経済
  • 地方議会
  • 根拠抽出
  • ファクトチェック

OS-13 インタラクションとAI

オーガナイザ

  • 酒井 元気(日本大学)
  • 岡田 将吾(北陸先端科学技術大学院大学)
  • 湯浅 将英(湘南工科大学)
  • 近藤 一晃(京都大学)
  • 下西 慶(京都大学)

内容・テーマの例

インタラクションの理解とモデル化に関する研究は、個人や集団レベルでのコミュニケーション能力の向上に繋がることから期待が高まっている。さらに近年発展してきている機械学習の技術と、音声・画像・言語などのメディア処理、ユビキタスコンピューティング、ウェアラブルコンピューティングを統合することで、インタラクションの理解とモデル化、その支援技術に関する研究基盤が整ってきている。これらの基盤技術は、ユーザーの多様な表現やコミュニケーションスタイルに対応するためにますます重要となっている。今回のセッションでは、これらのトピックに焦点を当て、最新の研究成果や展望について情報交換を行い、未来のインタラクションに向けて探求していくことが目的である。

キーワード

  • コミュニケーションの質のモデル化
  • ウェアラブルデバイス
  • 社会的信号処理
  • フィードバック法
  • インタラクションへの介入
  • ワークショップデザイン
  • CSCW (computer supported cooperative work)

OS-14 AI諸技術の発展に基づく学びのモデルの高度化と展望

オーガナイザ

  • 小西 達裕(静岡大学 情報学部)
  • 宇都 雅輝(電気通信大大学院 情報理工学研究科)
  • 小暮 悟(静岡大学 情報学部)
  • 山元 翔(近畿大学 情報学部)

内容・テーマの例

教育・学習分野におけるAIの導入は目覚ましいものがあり、教育ビッグデータに基づくデータ駆動型の学習モデル構築、学習者の表情をはじめとした生体データなど扱えるパラメータの増大による学習モデルの拡張、機械学習などの発展によるモデル駆動型の学習モデルの洗練といった動きが見られる。これにより教科学習だけではなく、スキルやメタ認知など、様々な高次な学習対象も実用的な支援が実現可能となっており、コンピュータ(AI)が、人の学びをより深いレベルで捉えることが可能になっている。そこで本OSでは、人の学びを機械が支援する上で、その「入力パラメータの多様性(データの種類)」「学びの蓄積   (ビッグデータ)」「学びの処理の洗練(AI処理論に基づく学びのモデル化)」を念頭に置きつつ、今後の人の学びをどのように明らかに、あるいは評価、支援しうるかを議論したいと考えている。

キーワード

  • 統計・数理モデル
  • 知識・意味モデル
  • 情動推定モデル
  • スキル
  • ラーニングアナリティクス

OS-15 サイバー世界とリアル世界を架けるAI

オーガナイザ

  • 鷲尾 隆(大阪大学)
  • 西山 直樹
  • 吉岡 琢( 株式会社Laboro.AI)
  • 小松崎 民樹(北海道大学)
  • 山崎 啓介(産業技術総合研究所)
  • 窪澤 駿平(日本電気株式会社)

内容・テーマの例

あらゆる分野のデジタル化(DX)の中で、人間活動はリアル世界のみならずサイバー世界でも様々な処理を行うものへと変貌を遂げつつある。このようなリアル世界とサイバー世界が融合した活動には、極めて複雑高度で効率的、高精度な振る舞いや処理が要求され、それに応える人工知能への期待は大きい。しかしながら、機械学習や深層学習、パターン認識などの研究ではアルゴリズムのサイバー世界での性能向上に重きが置かれ、ヒューマンインタフェース研究でも両世界の融合を重視した包括的研究は少なかった。リアル世界とサイバー世界両方の様々な課題設定や制約の下で、十分な性能を発揮する基礎的な原理や手法・技術を目指す研究は十分ではない。本オーガナイズドセッションは、サイバー世界とリアル世界をまたいで複雑高度な知的処理を効率的、高精度に実施できる人工知能の原理・手法・技術に関する研究開発成果の発表の場を提供する。そして、従来研究の不十分な点とそれを克服するための研究課題を改めて洗い出し、今後の人工知能がより深く様々な人間活動に実装される研究開発を加速する機会としたい。
テーマの例
リアル世界の状況をサイバー世界に取り込むセンシング・計測のAIによる高度化(計測インフォマティクス)
サイバー世界の処理結果をリアル世界に反映・実装するアクチュエーション・制御のAIによる高度化(プロセスインフォマティクス)
サイバーとリアルで生きる人間に必要な両世界のインターフェイスのAIによる高度化(ヒューマンインタフェースAI)

キーワード

  • サイバーフィジカルシステム
  • 計測インフォマティクス
  • プロセスインフォマティクス
  • ヒューマンインタフェース
  • データ同化

OS-16 世界モデルと知能

オーガナイザ

  • 鈴木 雅大(東京大学)
  • 岩澤 有祐(東京大学)
  • 河野 慎(東京大学)
  • 熊谷 亘(東京大学)
  • 松嶋 達也(東京大学)
  • 森 友亮(株式会社スクウェア・エニックス)
  • 松尾 豊(東京大学)

内容・テーマの例

世界モデルとは,エージェントを取り巻く環境・身体など様々な要素を学習によって内部的に構築する枠組みである.こうした世界モデルを用いることで,直接には観測できない,過去/未来・反実・観測不能な状態を予測や推論できるようになり,目的に応じた行動選択の性能を高めることができる.
世界モデルのように環境のモデル化を考えることは,制御工学における内部モデルや認知科学におけるメンタルモデルなどでも議論されており,必ずしも新しいアイディアではない.しかし深層学習の発展により,従来は困難だった高次元で複雑な世界の部分観測データに基づくモデル化が実現できるようになったことは大きなブレイクスルーである.さらにここ数年の基盤モデルの進展によって,ロボティクスへの応用や自然言語との統合などの研究が進められている.
本企画セッションでは(1)深層学習を用いて外界をモデル化する方法論,(2)学習した世界モデルの利用方法,そして(3)AIの諸問題における世界モデルの重要性についての議論を行う.世界モデルという概念を介して,人工知能だけでなくロボティクス,自然言語処理,3DCGによる現実世界のモデリング,認知科学,神経科学などの分野の研究者と共同して学際的な議論を行う場となることを目指す.

キーワード

  • モデルベース強化学習
  • 深層学習
  • 状態表現学習
  • 基盤モデル
  • 知能の汎用性

OS-17 ひと中心の未来社会とAI

オーガナイザ

  • 名取 直毅(株式会社アイシン)
  • 梶 大介(株式会社デンソー)
  • 廣瀬 正明(株式会社デンソー)
  • 河村 芳海(トヨタ自動車株式会社)
  • 梶 洋隆(トヨタ自動車株式会社)
  • 城殿 清澄(株式会社豊田中央研究所)

内容・テーマの例

深層学習などに代表されるAI技術が人々の生活や社会システムの中で当たり前のように使われるようになって久しい.ひと中心の未来社会におけるAI技術は,便利さや効率の追求はもちろんのこと,多様な個人のWell-Beingと社会の受容性・レジリエンスを高め,カーボンニュートラルなどの地球環境への配慮も欠かさないという多元性と,その要求の変化に対応していく機能が求められる.本セッションではテーマやキーワードに関連する研究発表を幅広く募集し,具体的な応用や問題設定の提示,それに対する解決策やアプローチを追究することで,より良い未来を創り出すためのAI技術の方向性を模索したい.

キーワード

  • 人・もの・情報とモビリティ
  • 人-機械,人-人のインタラクション
  • 学習理論・数理最適化
  • つながる社会とネットワーク科学
  • 責任あるAI

OS-18 デジタル人文学とAI

オーガナイザ

  • 大向 一輝(東京大学)
  • 嘉村 哲郎(東京藝術大学)
  • 亀田 尭宙(国立歴史民俗博物館)
  • 中村 覚(東京大学)

内容・テーマの例

多くの学問領域と同様に、人文学においても大規模なデータベースやコーパスが整備され、これらを対象とした言語処理やマルチメディア情報処理等によって新たな知見を得る「デジタル人文学」・「人文情報学」と呼ばれる分野が注目されています。デジタル人文学ではネットワーク分析や知識表現、機械学習を用いた文字認識など、従来の研究プロセスを拡大・効率化する手段としてAI技術が用いられる一方、今後は基盤モデルが生成する情報が人間文化に与える影響や、社会システムを支えるAI研究者・技術者の価値観を人文学の研究対象として扱う必要性が生じています。本セッションでは、デジタル人文学の先端的な研究とともに、学際領域としての議論を喚起するような発表を広く募集します。

キーワード

  • 思想・歴史・文学研究におけるAIの応用
  • 多言語テキスト分析
  • 多言語手書き文字認識
  • 時空間・概念の知識表現
  • 人文学データの構造化・共有
  • AIにおける思想・歴史・文学研究の応用

OS-19 機械学習品質評価・向上技術

オーガナイザ

  • 磯部 祥尚(産業技術総合研究所)
  • 中島 震(放送大学・国立情報学研究所)
  • 小林 健一(富士通株式会社)

内容・テーマの例

機械学習技術の有効性が幅広い応用分野で確認され,社会実装が本格的にすすめられている.一方,機械学習を利用するソフトウェアの品質では,訓練/推論プログラム,訓練/テストデータ,訓練プロセス/パラメータ,運用時監視/対策などが複合的に関係する.また,その品質の観点は,機械学習の基本的な特性から社会受容性に関わる倫理的な特性までと多岐に渡り、そのような品質特性間の相互依存性が機械学習品質の問題をさらに複雑にしている.すなわち,機械学習の品質保証は従来のソフトウェアの場合に比べて難しく,その品質保証に関する基礎的な研究から実務での実践経験までの広範な活動成果について,整理・議論・交流する場が必要とされている.
本オーガナイズドセッションでは,機械学習を利用するソフトウェアの品質保証を目的として,以下に示すような(ただし,これらに限定するものではない)機械学習品質の評価・向上技術に関する調査・研究・開発等の成果発表を広く募集する.
・学習データの品質(分布調整,外れ値除去,妥当性など)
・機械学習モデルの品質(精度,頑健性,セキュリティなど)
・機械学習システムの品質(安全性,有用性,公平性,セキュリティ,プライバシなど)
・運用時の機械学習品質(不正入力検知,環境変化対応など)
・機械学習品質評価の支援(品質評価ツール,可視化ツールなど)
・機械学習品質の管理(品質管理方法,開発/管理プロセスなど)

キーワード

  • 学習データの品質
  • 機械学習モデルの品質
  • 機械学習システムの品質
  • 運用時の機械学習品質
  • 機械学習品質評価の支援
  • 機械学習品質の管理

OS-20 統合AIと人との共生

オーガナイザ

  • 栗原 聡(慶應義塾大学理工学部)
  • 山川 宏(東京大学)
  • 谷口 彰(立命館大学)
  • 田和辻 可昌(早稲田大学)

内容・テーマの例

流暢な言語による人とのやりとりを可能としたLLMの登場により,LLMが苦手とする高度論理的思考や適応的状況把握と意思決定機能を併せ持つ,人と共生しうる高い自律性と汎用性を持つ統合AIの具体的な実現への道筋が見えて来た.無論,極めて強力なAIとなることから,アラインメントといった倫理的側面への考慮も重要なテーマである.また,人から信頼されるAIとなるためには,単に合理的に振る舞うのではなく,人(の脳と)と同様に思考や判断を行うことで解釈可能性を高めてゆく必要もあるだろう.そして,このような統合AIの実現においては,複数のサブAIを連携させるアーキテクチャが想像されるところであるが,マルチモーダル化は当然のこと,複数の特性の異なるLLMの連携という,LLMにおける新たな挑戦も必要となる.本OSはこのような統合AI実現のための広範な研究テーマを対象とし,個々の研究テーマの連携を促進することでの当該研究分野における日本の国際的な牽引力を高めることを目的とする.関連するキーワード:即応型・熟考型・適応型AI,世界モデル,System1・System2の統合,シンボリックAIとコネクショニズムAIの接続,メタ認知・シンボルグラウンディング・反実仮想,⾃律・汎⽤AI・脳型アーキテクチャ,AIアラインメント,リザバーコンピューティング,オープンワールド型ゲームAI,⾝体構造・キャラクターアニメーションと意思決定システムの統合など

キーワード

  • 即応型・熟考型・適応型AI
  • System1・System2の統合
  • シンボリックAIとコネクショニズムAIの接続
  • メタ認知・シンボルグラウンディング・反実仮想
  • ⾃律・汎⽤AI・脳型アーキテクチャ・世界モデル
  • AIアラインメント

OS-21 もうひとつのAI倫理:技術が問い直す人間の役割

オーガナイザ

  • 水上 拓哉(理化学研究所革新知能統合研究センター)
  • 中川 裕志(理化学研究所革新知能統合研究センター)
  • 佐倉 統(理化学研究所革新知能統合研究センター)
  • 福住 伸一(理化学研究所革新知能統合研究センター)

内容・テーマの例

「AI倫理」と聞いてどのような営みを想像するだろうか。ひとつの方向性は、新出のAI技術を、私たちの既存の価値観や社会にうまく浸透するようコントロールする術を考えることだろう。たとえば、大学生が卒論やレポートの執筆をChatGPTに任せっきりにしてしまわないためにはどうすべきか、という問いを考えることは、この方向性の考察だといえる。

しかし、もうひとつ重要な方向性がある。それは、AI技術が私たちの生活にもたらす影響を踏まえ、人間の実存自体を再考することだ。たとえば、ChatGPTの生み出す「著者のいないテキスト」は、書くことにおける従来の「著者」の役割を揺らがすかもしれない。紙やペン、タイプライターを使い、人とモノの連関の中でテクストを生み出してきた私たち人間の役割は、生成AIの誕生によってどのように変わっていくのだろうか。

本OSでは、このようなAI倫理のもうひとつの方向性に着目し、AI技術によって人間の役割がどう変わっていくのか、あるいはどう変わっていくべきなのかを議論する。発表は技術哲学や科学技術社会論を中心としつつも、上記の問題関心に合致するものであれば分野は問わない。また、学際的交流を目的としたパネルディスカッションも予定している。

キーワード

  • 生成AI
  • AI倫理
  • 技術哲学
  • 人間の役割
  • 行為者性

OS-22 知・情・意—AIが人間研究になるための哲学

オーガナイザ

  • 諏訪 正樹(慶應義塾大学)
  • 藤井 晴行(東京工業大学)

内容・テーマの例

外界に相対してひとが働かせる心身作用には知・情・意がある。漱石(1978)によれば「知を働かす」とはものごとの関係を明らかにすること、「情を働かす」とは関係を味わうこと、「意を働かす」とは関係を改造することである。岡潔(2022)で、「わからないものに注目しているとき既に情的にはわかっている。情的にわかっているものを知的にわかることが発見である」と述べ、「知」の根底に「情」があると示唆する。そして、生きた自然(「情」)という基盤の上に各個体の自由(「知」)があり得るのに、自然科学は法則で説明できる「知」だけを調べ、物質が常にその法則を満たしているという不思議(「情」)は調べないことを批判する。
 この言説はAI研究の未来を探るヒントになる。「数・データになりやすいものごと」だけを調べ、技術的に可能なことの都合でシステムやツールを導入するのではなく、数・データになりにくいものごとにも眼差しを向け、情報処理研究を脱却し人間研究になることを目指すのがよい。
 この問題意識を議論するため、本OSは、岡潔の『数学する人生』を一読の上、それに紐づけて自身の研究や思想を論じる投稿を募る。一般発表の後にパネル討論も行う。
 本OSのテーマとしては、身体性認知、状況依存性、生活知、創発、身体図式、フレーム問題、相互行為分析、フィールドワーク、コミュニケーション、アクチュアリティ、ゲームAI、現象学、デジタルヒューマニティーズ、文化人類学などが挙げられる。

キーワード

  • 生命現象
  • 人間研究
  • 存在
  • 知・情・意
  • アクチュアリティ

OS-23 社会科学・人文科学分野の行動インサイトを活用した機械学習と最適化

オーガナイザ

  • 戸田 浩之(横浜市立大学)
  • 倉島 健(NTT人間情報研究所)
  • 深澤 佑介(上智大学)

内容・テーマの例

社会科学・人文科学の分野では,人間の行動や選択,意思決定に関わる基本理論や科学的な知見が数多く提唱,発見されている.また近年,社会科学・人文科学分野における人間行動科学の知見とコンピュータサイエンスや情報システム等の計算論的アプローチを組み合わせたBehavioral Data Scienceという分野が国際的にも注目されている.本セッションでは,このBehavioral Data Scienceにおいて,過去の行動や未来の推定・予測,さらにはその先にある行動の変容・最適化までを視野に入れたPrescriptive Analyticsを実現する研究テーマについて議論を深める.具体的には(1)個人や集団の行動の数理モデリング・予測研究(2)個人や集団の行動に関する未観測な統計量の推定研究(3)個人や集団の行動変容を促す介入策を探索する最適化研究,の三つの研究課題の高度化に,社会科学・人文科学分野の行動インサイトを積極的に活用する研究テーマを扱う.また,近年,データ化が進む人間行動に関するビッグデータを解析し,そこから得られた知見や傾向を活用するような概念も含む.本セッションで扱う技術は,深層学習に代表されるブラックボックスなモデリングとは異なり,モデルの説明性が高く,また,学習データが不足している際にも予測,推定,最適化が行えるといった重要な特徴を持つ.

キーワード

  • 行動データ
  • Behavioral Data Science
  • Prescriptive Analytics
  • 機械学習
  • 最適化
  • 行動経済学
  • 行動変容

OS-24 AutoML(自動機械学習)

オーガナイザ

  • 大西 正輝(産総研)
  • 日野 英逸(統数研 / 理研AIP)

内容・テーマの例

深層学習の出現によって高度な認識技術が実現できるようになっている半面でハイパパラメータ調整やアーキテクチャの選択など職人的な作業が多くなっており,これらの作業を自動化するAutoML(機械学習の自動化)の研究が行われている.本オーガナイズドセッションではAutoMLに関する研究としてハイパパラメータ最適化,ニューラルアーキテクチャサーチ,メタ学習,転移学習,マルチタスク学習などの研究を募集する.

キーワード

  • ハイパパラメータ最適化
  • ニューラルアーキテクチャサーチ
  • メタ学習
  • 転移学習
  • マルチタスク学習

OS-25 不動産とAI

オーガナイザ

  • 橋本 武彦(株式会社GA technologies)
  • 清田 陽司(麗澤大学)
  • 山崎 俊彦(東京大学)
  • 諏訪 博彦(奈良先端科学技術大学院大学)
  • 清水 千弘(一橋大学)
  • 吉原 勝己(NPO法人福岡ビルストック研究会)

内容・テーマの例

AI技術は不動産業界に広く浸透しており、現在は大規模言語モデルや生成AI技術の利用が活発化しつつある。接客業務の効率化のためにチャットボットが導入されているほか、物件画像、間取り図、3Dスキャンデータ、IoTセンシングデータなどの不動産ビッグデータへのAI応用も進んでおり、間取り図からの3Dモデルの生成などが実用化されている。
一方で、少子高齢化、空き家の増加、住宅ニーズの変動などの社会的変化が、不動産業界の既存のルールや慣習に合わなくなってきている。例えば、日本の中古住宅の価値は一般的に建物の築年数に基づいて評価されるが、メンテナンスやリノベーションの実施など住宅の質に関わる情報は十分に考慮されていない。このような状況を変えるために、不動産ビッグデータへのAIの活用が期待されている。
このセッションでは、不動産分野におけるAIの最新の取り組みや課題を共有し、研究・開発活動の活性化を目指す。具体的には、以下に挙げるような(しかし以下に限定されない)テーマを扱う。
* 不動産分野への生成AI技術の応用
* 不動産価値の推定
* マルチメディアとしての不動産ビッグデータの活用
* 経済学、建築学、地理学、都市学など、不動産と密接に関連をもつ分野との連携

キーワード

  • 不動産
  • 生成AI
  • 画像処理
  • 不動産価格推定
  • リノベーション

OS-26 日常生活知識とAI

オーガナイザ

  • 福田 賢一郎(産業技術総合研究所)
  • 江上 周作(産業技術総合研究所)
  • 宮田 なつき(産業技術総合研究所)
  • Qiu Yue(産業技術総合研究所)
  • 鵜飼 孝典(富士通株式会社)
  • 古崎 晃司(大阪電気通信大学)
  • 川村 隆浩(農業・食品産業技術総合研究機構)
  • 市瀬 龍太郎(東京工業大学)
  • 岡田 慧(東京大学)

内容・テーマの例

日常生活空間での人の活動は,人やモノおよびその相互作用など個別性が高いさまざまな要素が多重層的に組み合わさって構成される.この個別性の高い状況を解釈して日常生活を支援するために必要となる知識は,依然として環境・タスク・人に関する知識を持った人間に依存している.例えば,高齢者支援や子供の見守り,家庭向け汎用ロボットなどへの応用では,当該者の身体性や屋内の環境などの個別知識,タスク遂行に係る行為の知識,身体の知識に加えて,事故リスクやサービスの専門知識,対象物や出来事に関する常識的な知識などを必要となる.
日常生活を支援するAIの実世界への埋め込みに向けて,これらの日常生活知識を,画像と自然言語などの異なるモダリティや異なる時空間での情報と結びつけて理解して推論・認識プロセスに組み込む必要があるが,現時点ではバイアスや頑健性などの観点で課題があり,さらなる技術発展が望まれる. 
そこで本OSでは昨年度に引き続き,上記課題の解決に向けて,日常生活を表現する画像・動画,人間モデル,テキスト,知識グラフ,センサデータなどのデータセットの構築と活用に関する発表や,様々なモダリティを組み合わせて状況を推論するAIシステムやロボットシステムの発表,さらには外部知識,常識知識と組み合わせたシステムの発表などを集めて議論を行う.また,AI,ロボットだけでなく,介護,子育て,日常生活における安全支援などの領域からの論文発表も募ることで幅広い議論を通して課題の共有と日常生活空間へのAIの埋め込みの加速を期待する.

キーワード

  • 日常生活
  • 人間行動
  • 常識知識
  • 深層学習
  • 知識工学
  • 人間工学
  • ヒューマンロボットインタラクション

OS-27 AIを活用した都市と自然環境の空間・系列データのモデリング

オーガナイザ

  • 田部井 靖生(理化学研究所)
  • 竹内 孝(京都大学)
  • 藤井 慶輔(名古屋大学大学院情報学研究科)
  • 沖 拓弥(東京工業大学 環境・社会理工学院)
  • 西田 遼(東北大学 大学院情報科学研究科)
  • 前川 卓也(大阪大学大学院情報科学研究科)

内容・テーマの例

都市や自然環境など、多様な空間で計測されるデータのAIによる活用がし、この進歩は社会や科学の分野への貢献をもたらしつつあります。例えば、都市の混雑情報や移動データはリソース配分の効率化に、GPSや画像認識を用いた移動体の追跡データは動物の生態理解やスポーツ選手の技能評価に活用されています。さらに近年ではデジタルツインなどの仮想空間で計測されるリアルな人間行動の分析でAI活用に期待が集まりつつあります。
この文脈で、人間や生物の移動と選択行動の解析が重要になってきています。これらの行動パターンは公共安全、交通計画、都市設計、緊急時の対策など、重要な意思決定に影響を与えるため、その理解は効果的な戦略と政策の鍵を握っています。しかし、空間や系列の情報をの普遍的特性を活用する高度なAI技術はまだ確立されていません。また、そのようなAI技術が社会に与える影響やリスク、信頼性について議論を深める必要があります。
このワークショップでは、AIを活用した多様な空間・系列データの解析方法と利活用について議論します。工学やコンピュータ科学を初め、自然科学や人文科学の分野からの参加を期待し、データ取得と解析、意思決定や政策決定への利用可能性、社会での実応用など、広範なテーマでの議論を目指しています。異なる分野からの参加を通じて、新たな課題の発見や未解決問題の解決への貢献を目指します。

キーワード

  • 時空間データ
  • 深層学習
  • 生成AI
  • 機械学習
  • 軌跡・活動・行動データの情報処理

OS-28 AI技術開発におけるジェンダード・イノベーションと公平性

オーガナイザ

  • 新田 泉(富士通株式会社)
  • 柏木 志保(お茶の水女子大学)

内容・テーマの例

AIの活用が広がる中で,ジェンダーバイアスへの懸念が高まっている.ローン審査や人材採用などにAIが活用される事例では,バイアスが強化されるという報告がなされた.このような状況を受け,AIの公平性やバイアス是正の研究が進展している.
バイアス是正技術の多くは,数学的に定義された公平性指標を高めるようにデータやモデルを修正するが,修正されたモデルはジェンダーバイアスが生じる社会的な要因を必ずしも反映しているわけではない.また,AIが活用される業種やステークホルダーによって公平性の定義や基準が異なるため,AIを実社会に適用する際には,AIが導きだした結果を公平な結果として人々が受け入れるかどうかの検討が必要である.
ジェンダーバイアスに配慮したAI技術を開発するために,本セッションではジェンダード・イノベーションとAIの公平性研究の融合をテーマとする.ジェンダード・イノベーションは,性差に基づいた分析を研究開発に導入し新たな発見やイノベーション創出を目指すアプローチである.
本セッションでは,AIの公平性に関する研究成果や実践事例,ジェンダーや多様性の課題解決を目指すAIの最新研究や実践事例を募集する.また,ジェンダード・イノベーションの研究者を交え,Human Resource領域などの事例で,ジェンダード・イノベーションの視点からAI研究や技術開発の課題について討論する.

キーワード

  • AI倫理
  • AIの公平性
  • 信頼されるAI
  • ジェンダーバイアス
  • ジェンダード・イノベーション

OS-29 音楽認識・生成技術が紡ぎ出す未来の社会

オーガナイザ

  • 北原 鉄朗(日本大学)
  • 中村 栄太(京都大学)
  • 浜中 雅俊(理化学研究所)

内容・テーマの例

近年の深層学習などの進展により、音楽情報学分野では音楽の生成技術や認識技術の性能が飛躍的に向上している。これにより、近い将来に情報技術を用いた音楽の新しい形の創作や鑑賞が可能になると考えられる。一方で、自動作曲は1950年代から既に研究され、60年代から自動作曲技術を取り入れた芸術活動が発展するなど、音楽情報学は情報学の黎明期から自動創作・生成AIの研究が盛んに行われた分野でもある。本OSでは、音楽生成と認識技術に関する最新の研究についての議論に加えて、それらの研究が今後発展することで、どんな社会や音楽文化が今後実現されうるかという統一テーマについて議論する。また、JSAI2024の開催地である浜松が多くの音楽関連の企業の本拠地であることから、ヤマハ株式会社に所属し、国際的活躍する研究者による招待講演を企画し、学術機関と企業の研究者が集結して、音楽知能情報処理技術の未来について活発な議論を行う。
テーマの例としては、音楽の鑑賞支援、即興演奏支援、自動生成、分析技術などで、機械学習に基づく最先端の音楽認識・生成技術とそれが紡ぎ出す未来の音楽文化の形についてのテーマに基づく講演を募集する。なお、通常の要素技術や応用システムの開発研究の研究内容に併せて、その研究が発展することで、どんな社会が今後実現されうるかを、原稿および発表内で議論(1段落程度、1~2分程度)していただくことで、多分野にまたがる研究の議論と交流の機会としたい。

キーワード

  • 音楽生成
  • 音楽認識
  • 音楽分析
  • 音楽知能情報処理
  • 人工知能と社会

OS-30 大規模・高品質な生成AI時代における人工生命と人工意識

オーガナイザ

  • 堀井 隆斗(大阪大学 )
  • 堀部 和也(大阪大学 )
  • 鈴木 啓介(北海道大学)

内容・テーマの例

ヒトを含む生命が開かれた環境で自律的(autonomous)かつ適応的(adaptive)に振る舞うことのできる主体性/行為者性(agency)はどのように生まれ出るのだろうか?主体性そして,その根底を成す意識,知能,信念を構成的に理解するための手法として,人工生命や認知ロボティクスの研究が進められてきた.これらの研究分野は,近年急速に発展する機械学習技術を取り入れることで,生命の発生,発達,認知,コミュニケーション,社会性といった各階層での理解が進み,また,コンピュータシミュレーションに留まることなく,実世界におけるヒトや人工主体者同士の相互作用を通した理解の検討が行われている.さらには,大規模言語モデルや拡散モデルなどの大量のデータを用いた生成AIの登場により,主体性を持たずとも見かけ上,ヒトのような高次の認知能力を発揮する大規模な人工知能システムが登場し急速に社会に広がりがったことで,生命の特質と考えられてきた主体性とは何かを改めて考え直す必要に迫られている.
そこで本セッションでは,あらゆる学問分野において,生命,意識,知能を扱った実験および理論研究を広く募集し,学際的な情報交換と議論を通じて,大規模な生成AI時代の人工生命と人工意識における主体性について議論する.例として,自律型および成長・進化型の人工生命・人工意識エージェントの理論的研究や計算モデルに関する研究,あるいは実世界における主体者同士の相互作用に注目した研究テーマについて募集する.また,意識やこころといった主観体験を扱う実験的研究についても歓迎する.

キーワード

  • 人工生命
  • 人工意識
  • 主体性/自律性/行為者性
  • 主観体験/クオリア

OS-31 デジタルゲームの人工知能

オーガナイザ

  • 三宅 陽一郎(株式会社スクウェア・エニックス)
  • 森川 幸人(モリカトロン株式会社)

内容・テーマの例

ディジタルゲームの人工知能についてのセッションである。ディジタルゲームは80年代初頭におけるパックマンなどから、現在の巨大なオープンワールド型ゲーム、さらに携帯機器におけるゲームまで、多様な発展を遂げている。本セッションは、そのようなディジタルゲームに応用可能な人工知能技術に関する総合的なセッションである。キャラクターの人工知能、ゲーム全体をコントロールする人工知能、ゲームステージの地形解析・ナビゲーションなど、基本となる人工知能から、戦略AI、機械学習の応用、言語AIの応用、自動デバッグまで、学術研究から産業応用まで幅広いテーマを扱う。擬似リアルタイムでユーザーとインタラクティブに動作する人工知能について、アカデミック、産業を問わず広く発表を募集する。ディジタルゲームの人工知能はステートマシンやプランニングなど記号主義的な人工知能技術を発展させてきたが、ディープニューラルネットワークを始めとするコネクショニズム的な技術の研究・導入が進められており、急速にアカデミックな研究と産業応用の距離が縮まりつつある。特にディープQネットワーク(DQN)は囲碁AIにおける応用を経て、ディジタルゲームの人工知能への集中的な研究が展開されており、その成果は産業に浸透している。人工知能学会誌2023年5号(9月号)の特集「ディジタルゲームにおける人工知能の応用の拡大」ではゲーム産業8社の人工知能研究・開発事例が掲載され、産業のニーズの高まりを示しており、本セッションにおいて産業・学術の研究者が交流しお互いを刺激し合うことで、これからのディジタルゲームAIの研究を盛り上げる機会としたい。

キーワード

  • デジタルゲーム
  • ゲームAI
  • キャラクターAI
  • メタAI
  • 強化学習
  • ナビゲーション
  • 自動QA

OS-32 人工知能と物語応用

オーガナイザ

  • 大澤 博隆(慶應義塾大学)
  • 宮田 龍(株式会社アラヤ)
  • 西中 美和(香川大学)

内容・テーマの例

出版環境の変化および生成 AI による創作支援に伴い、創作を巡る環境が急速に変化している。これは、創作に関する人類史的な転換点を意味すると考えられる。創作行為によって得られる物語の鑑賞は、架空の出来事や人物に対する感情移入を促し、また、物語創作は人々が共通の架空の対象へ共同で心を動かす行為であり、人間が集団行動を行う上でも重要な意味を持つ。多量の創作物を学習対象とし、その複製からミキシングまでを手掛ける生成 AI は、こうした創作の営みに大きく干渉する。
人工知能技術による創作技術の民主化は、人類における物語の役割が広がることが期待される。自己表現としての物語に加え、また、物語を通じて他者の表現意図を知るという、コミュニケーションの手段としての役割も増大する。また、人口減に伴う出版産業などの縮小も合わせ、創作や作家の役割自体も、単純に物語を書いて出版するという形だけではなくなってきている。新しい試みの一つであるSF プロトタイピングでは、作家が研究者や開発者と共同で議論を行い、未来のビジョンを共同で物語として執筆し、それを元に企業や社会のビジョンを考察する。単純に創作物を鑑賞し、そこからイノベーションを探すのではなく、創作過程を通じて、参加者の想像力を養い、発想支援に役立てている。
本OSでは広がる物語応用の背景を踏まえ、人工知能技術による物語への応用の可能性を探る。具体的には物語の認知の仕組みや発想支援に関する研究、人工知能技術を用いた創造性支援技術に関する研究、SFプロトタイピングやシナリオプランニング等の物語を用いた人々の創造性支援研究などを幅広く募集する。

キーワード

  • サイエンスフィクション
  • SFプロトタイピング
  • 発想支援
  • 創作支援
  • 物語生成