オーガナイズドセッション bookmark

採択されたオーガナイズドセッションは以下の13件です.すべてのセッションで発表の一般公募を行ないます.オーガナイズドセッションでの発表を希望する方は,発表申し込み時にその旨を記載してください.なお、一般公募でオーガナイズドセッションを希望されても,発表の数が多い場合,あるいは依頼による発表を優先するなどの理由により,公募発表の一部に一般口頭発表セッションにまわっていただくことがあります.発表時間なども一般口頭発表セッションとは異なる可能性があります.

01: 『HAI(ヒューマンエージェントインタラクション)』 bookmark

  • 提案者
    • 山田 誠二(国立情報学研究所, seiji[at]nii.ac.jp)
    • 小野 哲雄(公立はこだて未来大学, tono[at]fun.ac.jp)
  • 概要
    • 近年,ソフトウエアエージェントやペットロボットのように一般のエンドユーザとインタラクションをもつエージェントが急速に普及しつつあり,人間とエージェントのインタラクション設計の重要性が高まってきています.本オーガナイズドセッションでは,このようなインタラクションを広くHAI(ヒューマンエージェントインタラクション)として捉え,擬人化エージェントと人間,ロボットと人間,さらにエージェントを介した人と人のインタラクション,コミュニケーションに関して,横断的で新しい視点を与える研究に焦点をあて,集中的な発表と建設的議論を目指します.
  • キーワード
    • 人間とロボットのインタラクションデザイン
    • 人間とソフトウエアエージェントのインタラクションデザイン
    • エージェントを介した人と人のインタラクションデザイン

02: 『意味と理解のコンピューティング』 bookmark

  • 提案者
    • 小林 一郎 (お茶の水女子大, koba[at]is.ocha.ac.jp)
    • 麻生 英樹(産業技術総合研究所, h.asoh[at]aist.go.jp)
    • 伊東 幸宏(静岡大学, itoh[at]inf.shizuoka.ac.jp)
  • 概要
    • 計算機の処理能力が上がり,大量のデータを簡単に扱える時代になった.それにともない,データの統計的処理の観点から,その意味をとらえる研究が多くなっている.一方,以前のような意味に対する深い取り扱いへの試みが希薄なっているように感じている.しかし,システムを真に知的にするためには,人が行うような意味の理解のメカニズムが必要であり,必要な技術は振り子のように回帰してくると考える.本オーガナイズドセッションは,そのような背景を踏まえ,過去に研究されていたような意味や理解をとらえる取り組みや姿勢を大切にしながらも新しい技術を開発することを目指す研究の議論の場として開催する.
  • キーワード
    • 意味表現手法
    • 知識表現手法
    • 意味解釈処理
      • 文章理解
      • 文章の要約
      • 対話処理
      • 同義表現の解釈
    • 意味構造解析
    • 意味の理解にもとづく知的情報処理
    • 文意の文脈・状況依存性と解釈

03: 『次世代知的交通システムにおけるAI』 bookmark

  • 提案者
    • 栗原 聡 (大阪大学,kurihara[at]ist.osaka-u.ac.jp)
    • 服部宏充 (京都大学,hatto[at]i.kyoto-u.ac.jp)
    • 和泉 潔 (産業技術総合研究所,kiyoshi[at]ni.aist.go.jp)
    • 川村秀憲 (北海道大学,kawamura[at]complex.eng.hokudai.ac.jp)
  • 概要
    • 現在,次世代交通制御システム構築に向けた研究開発の立ち上げが強く望まれている.東京都の1km当りの渋滞損失額は435百万円/年,全国を合計すると,2914百万円/年もの損失である.これを解決するためには,渋滞をできる限り発生させない新しい知的な交通制御システムを構築する必要がある.現在もVICSなどのシステムが導入されつつあるが,集中制御的なシステムであり,時々刻々変化する交通状況に追従することが困難であり,また信号機システムも基本的に静的に制御されており,現実の交通状況に対応した制御ができてはいない.新しい交通制御システムは,車や信号機などが自律的に情報を発信,互いに協調・競合することで渋滞の発生を防ぐ枠組みにて構築される必要がある.その際,車や信号機はそれぞれ自分の近隣の情報のみを持つことが想定され,それらが協調・競合することでボトムアップに交通システム全体が構成されることになるが,トップダウンにシステム全体を制御して,よりシステムを最適な状態に移行させたり,緊急車両の効率的なナビゲーションを行う必要もある.このように,次世代知的交通システムを立ち上げるためには,マルチエージェント技術,シミュレーション技術,プランニング・学習技術を始めとする様々な人工知能技術が必須なものであり,本セッションでは次世代知的交通システムと人工知能に関連する研究発表ならびに研究者間の交流を目的とする.

04: 『ファイナンスにおける人工知能応用』 bookmark

  • 提案者
    • 寺野 隆雄 (東京工業大学, terano[at]dis.titech.ac.jp)
    • 鳥海 不二夫 (名古屋大学, tori[at]is.nagoya-u.ac.jp)
  • 概要
    • 近年,インターネットの普及により一般投資家の市場参加が容易になったことなどから,一般の人々の間にも金融市場への関心が高まっています.このような社会的状況の中で,人工知能分野の手法や技術を金融市場における様々な場面に応用することが大いに期待されています.本セッションでは,膨大な金融情報を分析し投資判断の支援をする技術や,市場の特性を理解し適切な市場制度を設計する技術,さらに市場メカニズムを金融市場以外の社会現象に応用する技術など金融市場に関わる基礎から応用までの幅広い研究課題全てを対象とし,金融市場に対する人工知能技術の利用を拡大することを目的とした発表と議論を行います.

05: 『幼児のコモンセンス知識』 bookmark

  • 提案者
    • 竹林 洋一(静岡大学,takebay[at]inf.shizuoka.ac.jp)
    • 桐山 伸也(静岡大学,kiriyama[at]inf.shiuzuoka.ac.jp)
  • 概要
    • 提案者らは,人間の発達や問題解決で重要な役割を担う幼児期の根源的なコモンセンス(常識)について,異分野研究者や実務家が互いに学び自由に意見交換できる場の創出のために,「幼児のコモンセンス知識研究会」を,本学会の第二種研究会として開設しました.幼児はナイーブであり,複雑な思考過程や行動が比較的ストレートに表出しやすいため,行動観察による自然知能のモデル化における格好の対象と考えることができます.幼児の行動や発話を観察することで,知能や言語の発達過程の解明を目指す研究の歴史は古く,ピアジェに代表される発達心理学の研究が知られています.その成果はパパートのLOGOなどのAI研究や,アラン・ケイの人間の創造力を拡張するダイナブックおよびパーソナルコンピュータの発案に多大な影響を与えました.このような観点から,本セッションでは,「幼児のコモンセンス知識」を旗印に,脳科学・言語学・発達心理学・知識処理・音声言語処理・ヒューマンインタフェース・医療・スポーツ・教育等の幅広い関連分野の研究発表を募り,研究会のコミュニティの拡大と本格的コモンセンス研究の創出を推進し,人工知能研究の活性化を狙います.
  • テーマ例:
    • 幼児教育,学習システム,発達生涯,福祉,障害者支援
    • 発達心理学,認知科学,認知モデル,行動科学
    • 知識表現,学習,常識推論モデル,意図状況理解,感情
    • 音声学,言語学,音声言語処理,対話モデル
    • マルチモーダル,コンピュータビジョン,コミュニケーション
    • 脳科学,神経生理学,運動科学

06: 『身体知学習と支援環境デザイン』 bookmark

  • 提案者
    • 諏訪 正樹 (中京大学,masaki_suwa[at]kmf.biglobe.ne.jp)
  • 概要
    • 2007年度に終了した近未来チャレンジ「身体知の解明を目指して」は,身体知を理解するための情報処理技術(データマイニングや身体動作生理計測技術)や身体知獲得の認知プロセスに関する基盤研究のキックオフ的役割を果たし,身体知研究を日本発の独創的分野に育てる足がかりとなった.その成果から,身体知学習を支援する環境を如何にデザインするかという問題が次なる重要テーマのひとつとして浮かび上がった.身体は環境に適応する形で知を学習し,環境と共生しながら知を発揮することを鑑みると,身体知学習の支援促進のための環境デザインに関する研究は身体知研究の更なる発展に必要不可欠である.
  • テーマ例
    • 身体動作生理計測技術(開発)による身体知理解
    • 身体知学習モデル(運動モデル,力学モデルなど)による身体知理解及び学習支援
    • 身体知の言語化の方法論(メタ認知など)構築による学習支援
    • 情報処理技術(データマイニング,動作生理計測技術,センシング技術)のフィードバックによる学習支援
    • 身体知のコーチング方法論の探究
    • 道具や練習環境のデザインの実践および方法論構築
    • 言語と身体の哲学的考察

07: 『知識・技術・技能の伝承支援研究会「産業ドメインでの知識共有」』 bookmark

  • 提案者
    • 稗方 和夫 (東京大学,hiekata[at]nakl.t.u-tokyo.ac.jp)
  • 概要
    • 専門知識や技能を持つ熟練者は様々な暗黙知を駆使して実務を行っている.実務の中で知識,技術,技能を共有するための実践的な取り組みや施策の事例を集め,知識の伝承への貢献を目指す.産業ドメインは製造業を主な対象とするが限定するものではない.

08: 『人工物と価値』 bookmark

  • 提案者
    • 福原 知宏 (東京大学,fukuhara[at]race.u-tokyo.ac.jp)
  • 概要
    • 本提案では人工物と価値をテーマとするオーガナイズドセッションを提案する.近年,携帯電話やインターネットに代表される情報通信技術の発展と人々のライフスタイルの多様化に伴い,人工物と価値に関する議論が活発化しつつある.従来の工学が人工物自身の機能と属性に焦点を絞って議論を進めてきたのに対し,近年では人工物と人工物を取り巻く自然や社会,人間,情報との関係に焦点が置かれつつある.こうした状況において様々な関係性の中に生じる人工物の価値を如何に計測し,最適化・最大化するかが問われている.
    • 本セッションでは人工知能学研究が人工物と価値の問題に対してどのようなアプローチが可能かを議論する.人工知能研究者にとって価値あるいは価値観の問題は古くからの考察対象であり,人間が如何に世界を認識するか,あるいは如何に人工物に価値を見出すかといった人間の認知過程に関する視点や,知的エージェントの設計においては,エージェントが与えられた環境の中から如何に価値ある情報を発見し如何に振舞うかといった設計面での視点など様々な視点が存在する.しかしながらこれまで人工物と価値に関する積極的議論は十分行われてこなかった.
    • 本セッションでは人工知能研究を中心軸に取りつつ,様々な分野の研究者が人工物と価値の問題について議論できる分野横断的な場の提供を目指す.以下に本セッションで扱う研究トピックの例を挙げる.
  • テーマ例
    • 価値の計測
      • ユビキタス・センサ技術と価値
      • 画像・音声処理と価値
      • 価値の定量化
      • 価値に関する心理学・社会学的調査/コミュニケーション分析
    • 価値の体系化
      • オントロジ工学と価値
      • セマンティックWebと価値
    • 情報と価値
      • 情報空間における価値の分析と創出
      • Webマイニング
      • ブログ,ソーシャルネットワーク分析
    • サービスと価値
      • サービスの設計と評価
      • サービスサイエンス/サービス工学
    • 社会と価値
      • 価格設定/制度設計と価値
      • 社会会ネットワークと価値
      • マルチエージェントシミュレーション
    • 人間と価値
      • 脳科学と価値
      • 心理学/認知科学/哲学と価値
      • 価値と信頼
    • 価値とライフスタイル
      • ライフスタイル調査
      • ライフプランニング
    • 価値創成に関する実践報告

09: 『知的エージェントの言語獲得と発達』 bookmark

  • 提案者
    • 新田 恒雄 (豊橋技術科学大学,nitta[at]tutkie.tut.ac.jp)
  • 概要
    • ロボット研究,脳研究,音声言語を含むマルチモーダル対話研究等の発展に伴い,エージェントやヒューマノイド(以下,これらを知的エージェントと呼ぶ)が,人間と共生することを最終目標とする大規模な研究が始まっている.将来は身近な場面で,パーソナルエージェントなどが,実世界の事物を対象に人間とコミュニケーションする時代が到来すると予想される.
    • 一方,ロボット研究の現状をみると,行動の自律的振る舞いを対象とするものが多く,人間とのコミュニケーションに不可欠な音声言語獲得・対話調整等を対象とするものは極めて少ない.また,音声言語研究の現状を見ると,知的エージェント開発者は対話内容を直接記述しなければならないため,簡単なタスクでは自律的応答をしているかのように設計できるものの,労力負担が大きい割に,柔軟性に欠けたものしか制作できていない.これは,対話に使用する背景知識の獲得とその使い方に大きな課題が残されているためである.セッションでは,こうした知識やスキルに関する研究者が一同に会し,近未来の課題と解決への取組みを討議する.
  • テーマ例
    • 概念獲得,語意獲得,文法獲得
    • 対話戦略・対話調整とスキルの獲得
    • タスク遂行とスキルの獲得
    • 言語発達,言語進化

10: 『市民の表現活動を編みあげる情報技術』 bookmark

  • 提案者
    • 沼 晃介 (東京大学,numa[at]ai.rcast.u-tokyo.ac.jp)
    • 友部 博教 (産業技術総合研究所,h-tomobe[at]aist.go.jp)
    • 田中 克明 (東京大学,katsuaki[at]ai.rcast.u-tokyo.ac.jp)
  • 概要
    • 近年,デジタルメディアの普及にともない,市民がさまざまな表現を行っている.現状では,これらの表現は個別ばらばらに生み出され,消費されており,現代はいわば,「情報のあふれかえる社会」である.そのためこれからの情報技術には,「表現が編みあがる社会」を実現することが期待される.市民の表現活動をさまざまに支援し,つなぎ,編みあげることによって,表現そのものを持続的に,豊かに発展させることができるだろう.
    • 本オーガナイズドセッションでは,このような目的に活用できる技術,関連する実践ならびに理論に関わる研究発表を募集し,議論する.想定するトピックには次のようなものが含まれる.表現の作成・公開・流通を支援・促進する技術システム,特に,創造活動支援システム,情報共有システム,実世界志向インタフェースなど.また,市民のメディア表現に関わる実践や理論の報告もあわせて議論したい.

11: 『体験メディア』 bookmark

  • 提案者
    • 河村 竜幸 (大阪大学大学院,kawamura[at]ams.eng.osaka-u.ac.jp)
    • 角 康之 (京都大学,sumi[at]i.kyoto-u.ac.jp)
  • 概要
    • 本セッションは今回で4回目をむかえます.引き続き,“体験”の利用可能性について議論してゆきたいと考えています.工学分野に限定されない方々の参加・発表によって,幅広い観点からの議論と異分野間交流を目的としたセッションです.詳細は以下のウェブページを参考にしてください.
    • http://taiken.mediascience.jp/
  • キーワード
    • 主観的な体験の記録方法
    • 記録されたマルチセンサ時系列データを用いた映像の要約
    • 膨大な体験記録の整理インタフェース
    • 第三者視点の体験記録
    • 記憶/体験の存在を感じさせる空間デザイン
    • 記憶の拡張技術
    • ウェアラブル知的インタフェース
    • 「思い出」工学
    • インタラクション構造による体験編集・共有
    • 認知症者への支援
    • 社会学・心理学的側面からの実験・考察

12: 『ことば--コンピュータ--コミュニケーション』 bookmark

  • 提案者
    • 阿部 明典(ATR知識科学研究所,ave[at]atr.jp)
  • 概要
    • 本セッションでは,昨年に引続き,コンピュータの上でことばを扱う問題に関して議論する予定である.コンピュータなどの機械メディアの上でことばを扱う研究を各々の観点から分野を横断して議論をしたいと考えている.
  • テーマ例
    • コンピュータ,認知科学,社会学,心理学,脳科学,哲学,人工知能などの面から見たことばの問題
    • ことばの特性
    • ことばの生成,デザイン
    • 文学の問題
    • 文学の特性
    • 文学の生成,デザイン
    • コミュニケーションの問題
    • コミュニケーションの特性
    • コミュニケーションの生成,デザイン
    • その他,広告コミュニケーションなどのアプリケーション

13: 『自然知能の理解』 bookmark

  • 提案者
    • 池上 高志 (東京大学)
  • 概要 
    • 生命が中枢神経系を持つ持たないに関係なく,普遍的に示す,知性のかたちについて,実験,理論の双方からアプローチする.これを人工知能学会でやる意味は,人工的に構成された「知能」と自然にみられる知能を比較することで,今まで身見えてこなかった概念化の必要性,数学の要請,実験のありかたが問えると思われるからである.AIの研究は,身体化(embodiment)されたAIとしてロボットの研究へと過去10数年で拡張されて来たが,このセッションはその次の世代で考えるべき知能研究について議論するものである.