Vol.15 No.4 (2000/07) ロボット


私のブックマーク

ロボット

高西淳夫,高信英明(早稲田大学)

ロボットに限ったことではないだろうが,インターネット上で論文その他の研究成果
を公開することは今や常識になっていると思われる.また,ロボットのように運動自身が重要な情報となる分野の場合は,さらに動画が閲覧者にとって有益な情報となる.

小文では,世界のロボット研究をいくつかのキーワードで分類し,各キーワードに関する代表的なURLを示すことにより,ロボット研究に関する現状と今後の課題を概観してみたい.

1.ヒューマノイド・ロボット

ヒューマノイド・ロボット(人間形ロボット)が世界のロボット研究者の大きな目標の一つになっている.世界初のヒューマノイド・ロボットは,早稲田大学により1973年に公開されたWABOT-1(WAseda
roBOT No.1)であった.その後,東京大学・米国MIT・ホンダなどの機関で精力的に研究が進められてきている.

2.特殊法人による基礎研究推進制度

近年,ロボットに関する多くの大型プロジェクトが設置され,具体的な成果を挙げてきている.ここでは特殊法人のとりまとめによるロボット・プロジェクトを紹介する.

http://www.jsps.go.jp/j-rftf/links.htmには,ロボットに限定しない基礎研究推進制度の一覧がある.その中でロボットに関連するプロジェクトの一部を下記に示す.

3.歩行

ロボットの重要な機能の一つに「移動」が挙げられる.移動方法には車輪式・脚式・その他の3方式があり,各方式の研究が世界中で進められている.その中でも本稿では歩行に着目することとする.歩行に関しては元MITのMarc
Raibart教授(現Boston Dynamics社)による有名な1足ホッピングロボットや,人間をはじめとした生物型2足歩行を代表例とした多足歩行ロボットが研究開発されている.

4.マニピュレータ

産業用ロボットの目的の一つが「マニピュレーション」である.そのため,これまでに非常に多くのマニピュレーション関係のロボットが研究開発されてきた.

  • マニピュレータに関してはURLではないが下記の文献を参考にすべきであると思う「吉川恒夫:マニピュレーション,日本ロボット学会Vol.
    16, No.7, pp. 910-912, 1998」この文献はマニピュレーションで世界的に有名な吉川先生(京都大学)が書籍・学術雑誌・サーベイペーパーその他に関してまとめられた解説である.

5.視覚

視覚のロボットへの応用もロボット研究の大きな一分野を形成している.

  • The Computer Vision Homepage.CMU(カーネギーメロン大学)の視覚関連の非常に充実したページ.このページを見ると,視覚関連の研究がいかに多くの研究機関でおこなわれているかが分かり,その幅広さを感じさせてくれる
    http://www.cs.cmu.edu/afs/cs/project/cil/www/vision.html

6.人工知能,認知

人工知能をロボットに適用する試みは非常に魅力的な研究課題であると思われる.「本特集では,知能ロボット,認知科学,神経科学など,様々な分野を背景に,この認知ロボティクスという新しい分野で活動されている方々の意見を借りながら,このロボットの新しい研究分野について考えてみたい」(「特集について」から抜粋)

7.学会

  • RSJ(日本ロボット学会).ロボットに特化した学会として世界的にも有名である.
    http://wwwsoc.nacsis.ac.jp/rsj/
  • 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門.
    http://www.jsme.or.jp/rmd/
  • IEEE Robotics & Automation Society.世界のロボット研究者が集うハイレベルな学会である.毎年開催される国際会議ICRAはデモも含めて素晴らしいの一言である.
    http://www.ncsu.edu/IEEE-RAS/
  • IEEE Systems, Man, and Cybernetics Society.IEEEのシステム.人間・サイバネティクスに関する学会.ロボットに限らず人間工学やサイバネティクスなど広範囲な研究分野を対象とした学会である.
    http://www.isye.gatech.edu/ieee-smc/

8.国際会議

  • ICRAロボティクスとオートメーションに関する国際会議.毎年開催されるロボットに関する世界最高峰の国際会議である.ロボット研究者はR&AのTransactionと国際会議は必ず知っていると言っても過言ではない.2000年度はサンフランシスコで開催される.
    http://www.ncsu.edu/IEEE-RAS/RAS/RASconference.html
  • IROS知的ロボットとシステムに関する国際会議.毎年開催される国際会議である.2000年度は香川大学で開催される
    http://www.mel.go.jp/soshiki/robot/bucyo/iros2000.html
  • RO-MANロボットと人間とのコミュニケーションに関する国際会議.毎年開催される.
    http://www.ro-man.org/
  • IEEE Systems, Man, and Cybernetics Societyシステム・人間・サイバネティクスに関する国際会議.毎年開催され,2000年度はバンダービルト大学での開催になる.
    http://www.isye.gatech.edu/ieee-smc/conferences/
  • RoManSyロボット・マニピュレータ・システムに関する国際会議.隔年開催の老舗的国際会議である.ヨーロッパ的な優雅さが漂う国際会議である.
    http://tempus.meil.pw.edu.pl/html/romansy.html

9.FAQ

  • インターネット上のニュースグループcomp.robotics.misc と comp.robotics.researchに寄せられたFAQをまとめたページである.大分類・小分類に非常に良く分けてまとまっており,「ロボットとは何か」という分類には”A
    reprogrammable, multifunctional manipulator designed to move material, parts,
    tools, or specialized devices through various programmed motions for the performance
    of a variety of tasks” Robot Institute of America, 1979と記載されている.
    http://www.frc.ri.cmu.edu/robotics-faq/

10.有力なURL

  • 日本ロボット学会誌Vol.16, No.7の特集「リファレンス オブ リファレンス」URLのみならず,書籍・国際会議・学術雑誌その他の所在を分野別
    に記載した特集.機構学と動力学,ロボットの制御,ビジョン,多指ハンド,触覚,脚移動,移動ロボット,テレロボティクス,マニピュレーション,マイクロマシン,幾何アルゴリズム,作業教示と計画,フレキシブルロボットの13分野に分けて紹介している.
    http://wwwsoc.nacsis.ac.jp/rsj/JRSJ/vol-16/jrsj1607.htm
  • 日本のロボット研究に関して良くまとまっているページ.各大学へのリンクが充実しており,日本のロボットを知るには欠かせないページである.
    http://www.erato.atr.co.jp/‾tom/jrobres-j.html
  • ソニー・AIBO.有名な市販型ロボットのページである.
    http://www.world.sony.com/JP/Electronics/aibo/
  • カーネギーメロン大学ロボット研究所は世界的に有名なロボット研究施設である.
    http://www.ri.cmu.edu/
  • RAS Related Software.IEEEのRobotics and Automation Society(RAS)のページでロボット関連のソフトウェアを紹介している.
    http://www.ncsu.edu/IEEE-RAS/RAS/RASsoftware.html
  • Robotics Internet Resources Page.動画・ソフトウェア・ftpサイトなどへのリンクが記載されている.
    http://www-robotics.cs.umass.edu/robotics.html
  • Robotics in Japan a collection of groups and projects.GMDによる日本のロボット紹介ページであり,大学別
    ・キーワード別(Agricultur,Artificial Life,Biology,Building Construction,Cognition
    Control,Cooperation,Evolutionary,Humanoids,Man-Machine Interf.,Mechatronics,Medical
    Robotics,Mobile Robots,Neural Networks,Space Robotics Teleoperation,Toys,Underwater
    Robotics,Visionその他)で掲載されている.
    http://www.gmd.gr.jp/Lists/Robotics.in.Japan.html
  • ロボカップ.ロボットによるサッカーのページ.
    http://www.robocup.org/

以上,ロボットに関するURLを,各ページの内容を引用させて頂きながらキーワードに沿ってまとめてみた.紹介させて頂いたページはどれも素晴らしく,ページ作者のロボットに対する熱い思いがその原動力になっていると思う.このような有用なページを作製して下さる研究開発者の方々にこの場を借りて心よりお礼申し上げると共に,小文がロボット研究の動向を概観する一助になれば筆者らにとって存外の喜びである.