人工知能学会誌 Vol. 20 No. 3 ( 2005 年5 月)


特集: 「ようこそ人工知能の世界へ:編集委員今年の初夢」
社会知デザインと会話情報学(西田 豊明)
インタラクションによる価値創成(庄司 裕子)
AIイルカは工業製品の夢を見るか?(原島 一郎)
人工知能研究からネットビジネスの世界へ(神場 知成)
チャンスマネジメントと気分のマネジメント(大澤 幸生)
誰のためのAI ??(阿部 明典)
何のためのセマンティックWeb ?(山口 高平)
メディアとしての知識(武田 英明)
三次元仮想空間上でのWeb情報統合に向けて(北村 泰彦)
研究者ネットワークと私(松尾 豊)
社会シミュレーションを人工知能の試験台に(和泉 潔)
ネットワークが創発する知能(栗原 聡)
モデル-実験-支援の相互作用としての「知」の研究(三輪 和久)
学び方の発見・再発見(柏原 昭博)
人間と人工知能の得手不得手(吉岡 真治)
意見と経験の言語処理(奥村 学)
語が使われる環境と意味の獲得(冨浦洋一)
機械は何語を話すのか(櫻井 彰人)
データマイニング雑感(森田 千絵)
データマイニングの2005年(津本 周作)
偏りのある情報に基づく対話的学習(小野田 崇)
機械学習の適用範囲の拡張(神嶌 敏弘)
セグメンテーションと認識ではどちらが先に処理される?(岡 隆一)
特集: ネットワークが創発する知能
特集「ネットワークが創発する知能」にあたって
栗原 聡・林 幸雄
p. 277
生体分子の相互作用ネットワークにおけるスケールフリー性
五斗 進
p. 280
遺伝子発現ネットワークのダイナミクス:Rich-Travel-More
上田 泰己
p. 284
<概要> 高度に並列化された近年の実験生物学は,大量の実験データの生成・解析を可能にするばかりでなく,生命システムの設計原理を探索する機会を提供しつつある.最近のDNAチップを用いたゲノム規模の遺伝子発現解析によって,遺伝子発現の複雑で動的な性質が明らかになってきた.しかしながら,どのようなダイナミクスがそのような複雑な遺伝子発現を生み出しているのかはまだ理解されていない.包括的にかつ定量的に遺伝子発現のダイナミクスを理解するために,我々は様々な実験条件下で,大腸菌,出芽酵母,シロイヌナズナ,ショウジョウバエ,マウス,ヒトのゲノム規模の発現解析を行った.その結果,大腸菌からヒトまで同一で驚くほど単純な遺伝子発現の法則(遺伝子発現変化はその遺伝子発現レベルに比例するという法則)に従っていることが明らかになった.さらに,この比例ダイナミクス(別名 “Rich-travel-more” 富めるものほどよく変化するという法則)は,これまでに観察された動的で複雑な遺伝子発現の構造を再生しうることがわかってきた.この結果は,①大腸菌からヒトまで保存された普遍的な法則が遺伝子発現制御に存在すること,②動的で複雑な構造が単純なダイナミクスから出現しうること,③広い範囲の遺伝子発現レベルにおいて転写制御機構の柔軟性が存在すること,を示すと考えられよう.
経済における複雑系ネットワーク―日本の経済ネットワークは特殊か?―
相馬 亘
p. 289
道路交通ネットワークのダイナミクスと群ユーザ支援
車谷 浩一・山下 倫央・野田 五十樹・和泉 潔・松尾 豊
p. 296
インターネットの時間的・空間的ダイナミクス
福田 健介
p. 305
局所ルールによるP2Pネットワークの自己組織化
小島 一浩
p. 312
レクチャーシリーズ:「脳科学」〔第3回〕
MEGによる脳活動の観察―時間窓を通した視聴覚高次機能の解析―
栗城 眞也・平田 恵啓・竹内 文也
p. 322
論文特集
論文特集「人間と共生する情報システム」を企画して
松山 隆司・杉本 晃宏
p. 331
論文特集アブストラクト p. 332
論文アブストラクト p. 340
J-stage 人工知能学会論文誌 Vol. 20, No. 3に掲載
社会へのアンテナ
研究者のロマンスとその教育効果―工学教育の実践経験から―
[三浦 宏文 氏] p. 344
学生フォーラム
ロボット研究から見えてくる人の知能
[浅田 稔 氏] p. 347
会議報告 p. 350
書評 p. 351
カレンダー p. 352
会告 pp.1-8
2005年度人工知能学会全国大会(第19回)プログラム pp.1-8