基調講演・招待講演・特別講演


基調講演

6月14日 (火) 12:50~14:00 A会場

「未来の知能とバイアス」

山川 宏 氏
(特定非営利活動法人全脳アーキテクチャ・イニシアティブ ・代表)

知能の構築を目指す分野が人工知能であることに概ね異論はなさそうです.しかし,構築しようとする「知能」の定義については,未だコンセンサスが得られていません.はたして66年前のダートマス会議に集まった英知は,「知能は, つくればわかる」と目論んでいたのでしょうか.深層学習技術が急進展したこの10年,少なくとも個別の課題を解決する能力において,人工知能は次々と人間の能力を凌駕してきました.今後,多少の遅滞などがあったとしても技術進展が加速的に継続することを踏まえれば,私たちは知能を理解する前に,私たちを凌駕する知能を創り出してしまうのかもしれません.そこで本講演では,人間の知能を超える人工知能の未来を,「脳」「実在」「宇宙」という3つの観点から捉えてみます.さらに, それぞれの観点において発生する重要なバイアスについてもお話したいと思います.

[ 略歴 ]
1992年東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻博士課程修了.博士(工学).同年(株)富士通研究所入社.1994年から2000年まで通産省RWCプロジェクトに従事, 2014年から2019年3月まで(株)ドワンゴ ドワンゴ人工知能研究所所長.現在, 特定非営利活動法人全脳アーキテクチャイニシアティブ代表, 東京大学大学院 工学系研究科特任研究員.人工知能学会(元編集委員長, 汎用人工知能研究会主査), 電子情報通信学会(NC研究会副専門委員長), 日本認知科学会, 日本神経回路学会などの各学会員.専門は人工知能, 特に, 汎用人工知能, 全脳アーキテクチャ, 概念獲得, 意見集約技術など.電気通信大学大学院客員教授, 近畿大学情報学研究所知能システム部門長(客員教授), 理化学研究所生命システムセンター主管客員研究員および革新知能統合研究センター 研究員.共訳書に, 「パターン認識と機械学習」, 共著書に「人工知能とは」, 「宗教と生命」, 「AI時代の憲法論」などがある.

招待講演1

6月15日 (水) 11:00~12:10 A会場

「コロナと群集マネジメント ~人流研究の最前線~」

西成 活裕 氏
(東京大学 先端科学技術研究センター 教授)

2020年から世界はコロナ禍に見舞われ,感染防止の観点から人流制御に関する議論が世界的に高まってきている.講演者は東京オリンピック・パラリンピックの組織委員会で3年にわたり人流制御のアドバイサーとして携わり,現在はその経験を生かし,JST未来社会創造事業にて様々なステイクホルダーと一緒に群集マネジメントに関するプロジェクトを率いている.人流に関する研究は近年のAIの進展等で飛躍的に広がってきた.高精度の群集センシングからシミュレーションによる群集行動予測,そしてナッジ理論を活用した群集制御など,様々な研究が世界的に行われているが,講演ではそうした最新事情を紹介するとともに,今後の人流制御の展望と課題を述べたい.

[ 略歴 ]
1995年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了, 博士(工学)の学位を取得.その後, 山形大, 龍谷大などを経て, 現在は東京大学先端科学技術研究センター教授.専門は数理物理学で, 様々な渋滞を分野横断的に研究する「渋滞学」を提唱し, 著書「渋滞学」(新潮選書)は講談社科学出版賞などを受賞.2007年JSTさきがけ研究員, 文部科学省「科学技術への顕著な貢献 2013」に選出, 2021年イグ・ノーベル賞受賞.

招待講演2

6月16日 (木) 10:00~11:10 A会場

「数理モデルを利用した新型コロナウイルス感染症伝播動態の分析」

西浦 博 氏
(京都大学 大学院医学研究科 教授)

新型コロナウイルス感染症の流行では,その流行状況の把握やリスク評価および流行対策の策定において数理モデルが世界各国で頻繁に用いられた.利用される数理モデルは伝播のメカニズムを数理的に記述した機構的モデルが多く,その利用方法は様々であった.本講演ではその活用の種類や有用性,問題点および政策活用における成功と失敗について,できるだけ最新の内容を含めつつお伝えしたい.

[ 略歴 ]
2002年宮崎医科大学医学部 卒業
2006年広島大学大学院博士後期課程修了
2013年東京大学 准教授
2016年北海道大学 教授
2020年京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻 教授
2020年2月から厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策本部においてクラスター対策班の企画・活動, 現在も厚生労働省アドバイザリーボードに参加

特別講演

6月15日 (水) 13:20~14:30 A会場

「Artificial Intelligence: some likely developments and ethical challenges」

Prof. Luciano Floridi
(ボローニャ大/オックスフォード大 Sociology of Culture and Communication/Philosophy and Ethics of Information)

In this talk, I shall argue that AI’s likely developments and possible challenges are best understood if we interpret AI not as a marriage between some biological-like intelligence and engineered artefacts, but as a divorce between agency and intelligence, that is, the ability to solve problems successfully and the necessity of being intelligent in doing so. I shall then look at five developments: (1) the growing shift from logic to statistics, (2) the progressive adaptation of the environment to AI rather than of AI to the environment, (3) the increasing translation of difficult problems into complex problems, (4) the tension between regulative and constitutive rules underpinning areas of AI application, and (5) the push for synthetic data. And I shall look into some of the ethical and legal challenges that these developments may cause.

[ 略歴 ]
Professor of Philosophy and Ethics of Information at the University of Oxford and Professor of Sociology of Culture and Communication at the University of Bologna (from 2021-22). He is a world-renowned expert on digital ethics, the ethics of AI, the philosophy of information, and the philosophy of technology. He has published more than 300 works, translated into many languages. He is deeply engaged with policy initiatives on the socio-ethical value and implications of digital technologies and their applications, and collaborates closely on these topics with many governments and companies worldwide.