チュートリアル講演


チュートリアル講演1

6月11日(金) 11:00~12:40 C会場

コンテンツ指向とAI

人工知能(AI)技術によって様々な課題解決が報告される一方で,人間と同様にコンテンツを処理するためには,その特性を分析し,課題設定し,技術を選定する必要がある.人間が何らかのコンテンツについての情報処理を行う上では,意識的・無意識的にコンテンツの特性を捉えた情報処理を行っている.しかし,AI技術そのものはコンテンツを取り巻くコンテキストにどのような課題が内在し,どのような技術によって解かれるべきかは考慮していないことが多い.多くの課題が技術的に解決するようになってきたからこそ,これらは人間が考えるべき研究の観点であると言える.AI技術に対する課題解決への期待が高まるなかで,人間と同様にコンテンツを捉えたコンテンツ指向なアプローチは,産業的にも高い有用性が期待される.例えば,栄養価のみならず見た目や場の雰囲気に着目することで飲食の評価は大きく異なるし,住まいの選定では入居者の生活スタイルへの適応度によって同じ物件であっても評価は変わる.人間が無意識で捉えている物語のおもしろさの秘密がわかれば,漫画や映画などに対する創造性へのフィードバックが可能になる.本チュートリアルでは,コンテンツを取り巻くコンテキスト全体を踏まえて課題を設定し,コンテンツの創造,コンテンツの分析,コンテンツの応用といった各課題に取り組む研究アプローチであるコンテンツ指向研究の方法論についていくつかの研究事例をベースとして解説する.


「食コンテンツの解析・利用に関する食メディア研究の挑戦」

井手 一郎 氏
(名古屋大学 数理・データ科学教育研究センター 教授)

近年,料理レシピや画像,調理映像など,食に関するコンテンツがインターネット上で爆発的に増えている.これをうけて,これらのコンテンツを対象とした自然言語処理,画像・映像認識,データマイニングなどの解析技術,その結果を活用した検索・推薦サービス,さらにはコンテンツの生成支援に関するものまで,さまざまな研究が行なわれるようになった.これらの研究は,いずれも食に関するドメイン知識を動員し,食コンテンツの特性を活かした処理を行なっている.本講演では,講演者がこれまで実施したものを含めて,その代表的なものについて,食事の食前・食中・食後に分けて紹介する.

[ 略歴 ]
1994年 東京大学工学部電子工学科卒業.
2000年 同大学大学院工学系研究科電気工学専攻修了/博士(工学).
2000~2004年 国立情報学研究所ソフトウェア研究系助手.
2004~2019年 名古屋大学大学院情報科学研究科助教授・准教授.この間,アムステルダム大学(オランダ)に上級訪問研究員として滞在.
2020年,同大学数理・データ科学教育研究センター教授,現在に至る.
電子情報通信学会料理メディア研究会・食メディア研究会専門委員・副委員長・委員長を歴任.

「不動産コンテンツ研究における異分野研究者との協働の取り組み」

清田 陽司 氏
(株式会社LIFULL AI戦略室)

不動産というコンテンツは,他のコンテンツと比較していくつかのユニークな特徴を有している.まったく同一のコンテンツが世界に二つとして存在しない(たとえ同一建物内の隣部屋であっても厳密には同一ではない)ことから,適切な価格の推定がきわめて難しい一方で,需要と供給の関係で価格が左右されるという市場財としての側面もある.また,不動産コンテンツには,「都市」という人類が創り上げたもっとも複雑なコンテンツや,「人生」という人にとっての究極のコンテンツの中に位置づけられるサブコンテンツとしての意味合いもある.このような複雑な側面を有する不動産コンテンツを研究対象とするにあたっては,経済学,建築学,都市学など,異分野の研究者との協働が不可欠である.本講演では,複雑な側面を有するコンテンツを研究対象とするにあたって,異分野の研究者との協働をうまく進めるための方法論について,LIFULLにおける実践例を共有したい.

[ 略歴 ]
1998年 京都大学工学部電気工学第二学科卒業
2004年 同大学大学院情報学研究科博士課程修了/博士(情報学)
2004〜2012年 東京大学情報基盤センター助手・助教・特任講師
2007年,東京大学発スタートアップ(株)リッテルを共同創業し,企業買収を経て2011年より(株)LIFULL主席研究員,現在に至る.
不動産分野におけるAI 技術全般の研究開発,および共同研究やデータセット提供などの産学連携に従事.人工知能学会編集委員長,情報処理学会UBI研究会幹事などを担当.東京大学空間情報科学研究センター客員研究員などを兼務.2018年より(株)メディンプル 代表取締役を兼職.

「漫画コンテンツの魅力究明に挑戦するコミック工学における“産学芸”の連携」

山西 良典 氏
(関西大学総合情報学部 准教授)

今の日本を象徴する最も代表的な文化の一つが「漫画」である.また,日本の漫画を原作とするアニメ(Anime)やゲームの人気は世界でますます盛り上がりを見せている.計算機科学の観点から見れば,漫画では,2次元上に表現された画像と言語によって,時間や動き,音声といったマルチメディア情報が可視化されていると言えるであろう.漫画がアニメやゲームと言った隣接メディアに形態変化する上では,二次元に情報圧縮されたマルチメディア情報が音や動きに復元されていると見ることもできる.世界的に高い注目度を有する漫画コンテンツを対象として,2016〜2018年には人工知能学会全国大会オーガナイズドセッション「コミック工学とAI」が継続開催され,2019年には漫画の工学的な利用に専攻したコミュニティである「コミック工学研究会」も発足している.漫画コンテンツの魅力を究明し,その可能性を発展させていくためには,作者,読者はもとより,出版社や書店,またはアニメ声優など産学芸の連携が必要不可欠となる.本講演では,コミック工学において実施されている産学芸の連携の取り組み例を紹介する.

[ 略歴 ]
2007年 名古屋工業大学工学部知能情報システム学科卒業
2012年 同大大学院工学研究科情報工学専攻博士後期課程修了/博士(工学)
2012年〜2020年 立命館大学情報理工学部 助手・特任助教・助教・講師.この間,ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)に客員助教として滞在.
2020年 関西大学総合情報学部准教授,現在に至る.
音楽,漫画・アニメ,ゲーム,飲食・観光などの文化や芸術を対象としたコンテンツ処理研究に従事.電子情報通信学会HCGコミック工学研究会副委員長.

チュートリアル講演2

6月9日(水) 9:00~10:40 C会場

DXの実際~DXの正しい理解と普及を目指して

様々な業務の現場をデジタル化したりAIを導入したりすることで,その現場が生み出す価値を高める活動を,ディジタルトランスフォーメーション(DX)と呼びます.しかしながら,AIの導入にばかり意識が向かってしまい,DXの本来の目的である「経営や業務の改善」が見失われてしまうことがあります.本講演では,DXの現状を俯瞰したのち,実際の自治体で現在進行中のDX事例と,そこから得られた知見について紹介致します.


「私が見てきたDX(ディジタルトランスフォーメーション)の現場」

笹嶋 宗彦 氏
(兵庫県立大学 社会情報科学部 社会情報科学科 准教授)

これまでに企業と大学研究者の両方の立場で,様々な企業のAI関連技術導入に関わってきた.DXが上手く進む現場と進まない現場があり,実際には後者が圧倒的に多い.DXを実施する際に考えるべき事項について,事例を交えて紹介する.

[ 略歴 ]
1997年大阪大学 大学院基礎工学研究科 物理系情報工学専攻 博士後期課程 修了,博士(工学).同年,(株)東芝 関西研究所入社.
2004年大阪大学 産業科学研究所 特任助手 (のち助教)
2013年株式会社 ワイエムピー・ムンダス シニアプロダクトマネージャー
2018年兵庫県立大学 社会情報科学部 準備室 准教授
2019年4月より現職.
人工知能学会十周年記念論文賞(1996),人工知能学会論文賞(2012),人工知能学会研究会優秀賞(1994,2012),社団法人日本機械学会 設計工学・システム部門 優秀講演表彰(2010),人工知能学会全国大会インタラクティブ発表賞などを受賞.ひょうご人生 100 年時代プロジェクト推進委員会,兵庫県戦略的データ活用検討委員会,兵庫県将来構想研究会,各委員.

「「Smart Itami」兵庫県伊丹市役所におけるDXの推進」

大田幸正 氏
(伊丹市総務部総務室情報管理課長)

兵庫県伊丹市では,新庁舎整備というハード整備にあわせて,事務作業ペーパーレス化,手続き等の問い合わせ対応にかかる事務負担軽減のためのチャットボットや会議録作成のためのAIシステムの導入などを試みている.
実際の導入と技術検討において得られた知見を紹介する.

[ 略歴 ]
1993年日本コンピューター・システム株式会社(現NCS&A株式会社)入社.
2006年伊丹市役所入庁.介護保険課でシステム再構築や介護保険事業計画の策定を担当.
2015年情報管理課に異動,セキュリティやシステム再構築の企画・調整等を担当.
2020年(一財)地方自治研究機構と「「Smart Itami」AI等の技術革新と働き方改革の推進に関する調査研究」(委員長:笹嶋 宗彦 先生)を実施.
情報処理安全確保支援士.

チュートリアル講演3

6月10日(木) 15:20~17:00 C会場

Web・ソーシャルメディアを用いた社会・心理分析 ~課題設定からデータ収集・分析まで~

近年,Webやソーシャルメディア上のデータを用いた社会分析や心理分析に注目が集まっている.例えば,新型コロナウィルスやインフルエンザなどの伝染病が蔓延しつつあるかどうかを発見したり,アメリカ大統領選挙の勝者を予測したりなどである.また,ユーザのSNSでの他者とのインタラクションから,そのユーザの心理特性(鬱の傾向や性格特性)を推定し,治療が必要なユーザの早期発見に役立てたりである.このような研究は,計算社会科学や社会情報学と呼ばれる新しい研究分野を構築しつつある.本講演では,このような大規模データに基づいて,どのように社会学あるいは心理学的観点を持つ研究課題を設定するかと,そのようなデータの収集・分析方法について紹介する.


「ソーシャルメディアにおけるユーザ行動・心理分析」

土方 嘉徳 氏
(関西学院大学 商学部)

有史以前から人類のコミュニケーションは技術と共に進化してきた.その最先端の形態は,スマートフォンを用いたソーシャルメディア上でのコミュニケーションである.ソーシャルメディアは,場にいる人々の多様性やコミュニケーション手段の容易性,発信場所の遍在性という点で,従来メディアにはない特性を持つ.本講演では,ソーシャルメディアが持つこれらの新しい特性を考慮しつつ,そこでのユーザの行動や心理を解明するための研究課題の設定と分析方法について解説する.特に,自己表現や健康福祉,サービス利用の持続性(サステナビリティ)に焦点を当て,研究事例を紹介しつつ具体的に解説する.

[ 略歴 ]
1998年大阪大学大学院基礎工学研究科博士前期課程修了.同年,日本アイ・ビー・エム東京基礎研究所入社.2002年より大阪大学大学院基礎工学研究科にて助手・講師・准教授を経て,2017年より関西学院大学商学部勤務(現,同教授).社会情報学,ソーシャルメディア論,行動心理モデリングに関する研究に従事.人工知能学会理事(2016-2018)やWebインテリジェンスとインタラクション研究会委員長(2004-2016)などを歴任.博士(工学).

「Web・ソーシャルメディアを対象とするデータ収集・分析」

吉田 光男 氏
(豊橋技術科学大学 情報・知能工学系)

Web・ソーシャルメディアを対象とする研究を進めるうえで欠かせない一つの要素である研究データの取り扱いについて解説する.研究課題を設定したあとは,その研究デザインに合ったデータを探し,収集することから始める必要がある.近年では,研究の再現性が重視されていることもあり,研究成果を発表する際は,利用した研究データの公開を求められることもある.また,研究で利用しているデータに個人のプライバシーに関する情報などが含まれている場合もあり,利用・公開のために研究倫理を遵守する必要もあるであろう.本講演では,研究データを取り巻く諸課題について,分析事例を示しながら包括的に解説する.

[ 略歴 ]
2014年筑波大学大学院システム情報工学研究科博士後期課程修了.博士(工学).
学部在学中にロボット型ニュース検索エンジンCeek.jp Newsを開発し,2006年に有限会社てっくてっくを創業.2014年より豊橋技術科学大学大学院工学研究科(情報・知能工学系)助教.
ウェブ工学,計算社会科学,自然言語処理に関する研究に従事.人工知能学会・研究会優秀賞,WI-IAT 2020, Best in Practice Paper Awardなど数々の賞を受賞している.

チュートリアル講演4

6月8日(火) 17:20~19:00 C会場

思考経験のデザインとラーニングアナリティックス

人の学習は経験の結果として生じるものである.したがって,どのような学習が生じるかは,どのような経験をしたかに依存することになる.このような観点に立つと,学習目的にかなった思考の経験を学習者に与えることが学習を支援することの本質といえる.記号的人工知能や認知科学では,人の思考を,思考対象の記号的な記述とその記述の記号的処理によってモデル化しようとする.このモデルに基づく思考経験のデザインが,記号的人工知能・認知科学をベースとした学習支援の最も特徴的な側面となる.さらに,経験は結果ではなく過程であり,また,その過程は多様性を持つことから,過程の分析に基づく支援が求められることにあり,したがって,思考経験に関するデータの収集とその統計的分析といったラーニングアナリティックスが思考経験のデザインと不可分のものとして必要となる.そしてここでのラーニグアナリティクスは,デザインされた範囲での多様性を解釈可能にするためのものとなる.本チュートリアルでは,記号的人工知能・認知科学に基づく人の学習の支援に対するアプローチである「思考経験のデザインとラーニグアナリテックス」について,教育現場での実践例やデモンストレーションを含めて紹介する.


平嶋 宗 氏
(広島大学大学院先進理工系科学研究科 教授)

[ 略歴 ]
1986年大阪大学工学部応用物理学科卒業.1988年同大学大学院工学研究科応用物理学専攻博士前期課程修了.1991年大阪大学基礎工学研究科情報工学専攻博士後期課程修了.同年同大学産業科学研究所助手.同講師,九州工業大学情報工学部助教授を経て,2004年広島大学大学院工学研究科教授.現在,広島大学大学院先進理工系科学研究科教授.人と計算機の知識と推論の共有としての知識工学をベースに,人の思考経験のデザインとしての学習支援に関する研究に従事.人工知能学会現場イノベーション賞金賞,日本e-Learning大賞シミュレーション特別部門賞,APSCE
Distinguished Researcher Award,教育システム情報学会論文賞等受賞.

チュートリアル講演5

6月10日(木) 11:00~12:40 C会場

農業とAI 〜農業研究の面白さと難しさ〜

日本では農業就業人口の減少と農業従事者の高齢化が進んでおり,農家の生産性と生産所得の低下が懸念されています.食糧の安定供給は人々の生活を支える重要な課題であり,農業分野では革新的な変化に対する期待が高まっています.その変化を促す技術として情報通信技術(ICT)やInternet of Things(IoT),人工知能(AI)が注目されています.農業分野にICTやIoT,AI関連技術を導入することで,作業の効率化や生産物の品質の向上を実現し,農業に関わる産業の活性化をはじめ,技術関連産業の活性化も期待されます.本チュートリアルでは,主に工学や情報学の観点からフィールドモニタリングに関するトピックと農業オントロジーに関するトピックについて具体的な取り組み事例を紹介します.


「フィールドモニタリングによる農業データ収集と活用」

小林 一樹 氏
(信州大学 准教授)

野外の農園において画像収集を行うフィールドモニタリングシステムを中心として,農業における画像センシングを中心にIoTやICTを応用した様々な事例を紹介する.また,ディープラーニングを用いた果実の生育状態評価や,画像をベースとしたコミュニケーションシステム,アノテーション管理システム,鳥追い払いシステムといった,収集した農園画像の具体的な応用例について説明する.

[ 略歴 ]
2000年茨城大学卒業.2002年同大学院修了.2006年総合研究大学院大学修了.博士(情報学).同年関西学院大学博士研究員.2008年信州大学助教.2013年より同大学准教授.2019年より同大学先鋭領域融合研究群
社会基盤研究所 AI・ロボティクス部門 部門長.インタラクションデザインやアグリテックに関する研究に従事.

「セマンティックWeb技術を用いた農業分野の標準語彙の構築」

武田 英明 氏
(国立情報学研究所 教授)

農業分野の用語は慣習や地域によって語彙の揺らぎや意味の多様性があり,異なるICTシステム間のデータを連携・統合する際に妨げとなる場合が多い.こういった問題を解決するためにオントロジーやナレッジグラフといったセマンティックWeb技術を導入した事例を紹介する.これまで農作業,農作物,飼料を対象に標準語位を構築してきた事例から各ドメインが持つ特徴とそれに対応するために用いられた技術について説明する.

[ 略歴 ]
1986年3月東京大学工学部卒業.1988年3月同大学大学院工学系研究科修士課程修了.1991年3月同博士課程修了.工学博士.ノルウエー工科大学,奈良先端科学技術大学院大学を経て,2000年4月から月国立情報学研究所助教授,2003年より,同教授,総合研究大学院大学教授.2005年~2010年東京大学寄附講座教授.知識共有,Web情報学,設計学等の研究に従事.人工知能学会,電子情報通信学会,精密工学会,AAAI各会員.

竹崎 あかね 氏
(非会員)

[ 略歴 ]
1992年 京都府立大学農学専攻修士課程修了.同年より農林水産省四国農業試験場研究員.
2004年 岡山大学大学院自然科学研究科.生物資源化学専攻単位取得退学.博士(農学)その後,勤務地異動を経て2016年より農業・食品産業技術総合研究機構 農業技術革新工学研究センター上級研究員.農業語彙の共通化に関する研究に2014年から従事.

朱 成敏 氏
(国立情報学研究所 特任研究員)

[ 略歴 ]
1999年9月韓国西江大学校卒業.2003年9月同大学大学院修了.2009年9月慶應義塾大学博士後期課程単位取得後退学.2014年3月総合研究大学院博士後期課程修了.博士(情報学).2014年より国立情報学研究所特任研究員.セマンティックWebに関する研究に従事.

チュートリアル講演6

6月10日(木) 9:00~10:40 C会場

ロボティクスと人工知能 ~知能システム学的視点~

ロボットと人工知能の関係は深いようで浅い.その理由は様々あるが,研究対象としてのハードウェアとソフトウェアの違い,つまりは,物理的な世界に軸足を置くものと,計算の世界に軸足を置くものの溝が存在するように思える.そこで本チュートリアルでは,人工知能学会誌の7月号「ロボティクスとAI」に寄稿した4名の講演と,視聴者からの質問を交えたパネルディスカッションによって,現在のロボティクスとAIが交わる研究領域を概観するとともに,これから先の研究課題やロボティクスとAIのあるべき姿を探る.

15分 趣旨説明~ロボット学習とAI:長井 隆行
15分 産業用ロボットとAI:原田 研介
15分 ヒューマンロボットインタラクションとAI:石黒 浩
15分 ソフトロボティクスとAI:細田 耕
40分 パネルQ&A


「趣旨説明~ロボット学習とAI」

長井 隆行 氏
(大阪大学大学院 基礎工学研究科 教授)

本講演ではまず,本チュートリアルの趣旨を説明する.そして,ロボットとAIのつながりを考えるための導入として,ロボット学習 (Robot Learning) について概説する.ロボット学習は,強化学習を基盤としつつもロボットの知能という文脈で様々広がりを見せている.そこには物理世界で動作するロボットならではの問題も存在し,そうした問題を解決するための工夫が必要である.

[ 略歴 ]
1997年慶應義塾大学理工学研究科電気工学専攻後期博士課程修了.博士(工学).1998年電気通信大学助手,2003年カリフォルニア大学サンディエゴ校客員研究員,2015年電気通信大学教授を経て,2018年より大阪大学大学院基礎工学研究科教授.電気通信大学人工知能先端研究センター特任教授を兼務.専門は,ロボット学習,記号創発ロボティクスなど.

「産業用ロボットとAI」

原田 研介 氏
(大阪大学大学院 基礎工学研究科 教授)

現在,ロボット技術の重要な応用先は何かと考えれば,間違いなく産業用ロボットが最初に頭に浮かぶ.既に産業用ロボットにも,様々な形でAI技術が取り入れられている.そこで本講演では,産業用ロボットにおけるAIの現状や今後について概説する.

[ 略歴 ]
1997年京都大学大学院工学研究科博士後期課程修了.同年広島大学工学部助手.2002年産業技術総合研究所知能システム研究部門研究員,2005年から1年間Stanford大客員研究員,2013年同研究所タスクビジョン研究グループ長,2016年大阪大学大学院基礎工学研究科教授,同年産業技術総合研究所特定フェロー,現在に至る.ロボットハンドによる把持や操りに関する研究に従事.IEEE,計測自動制御学会,日本機械学会,システム制御情報学会の会員.博士(工学).

「ヒューマンロボットインタラクションとAI」

石黒 浩 氏
(大阪大学大学院 基礎工学研究科 教授)

様々なロボットの中でも近年重要視されているのが,人間と関わるロボットである.こうした人間と関わるロボットの技術の中心が,ヒューマンロボットインターラクション (HRI) である.HRIにおいても,当然様々な形でAIが関わっている.そこで本講演では,ヒューマンロボットインタラクションに関するAIの現状や今後について概説する.

[ 略歴 ]
1991年大阪大学大学院基礎工学研究科博士課程修了.工学博士.その後,京都大学情報学研究科助教授,大阪大学工学研究科教授等を経て,2009年より大阪大学基礎工学研究科教授.ATR石黒浩特別研究所客員所長(ATRフェロー).2017年から大阪大学栄誉教授.専門は,ロボット学,アンドロイドサイエンス,センサネットワーク等.2011年大阪文化賞受賞.2015年文部科学大臣表彰受賞.

「ソフトロボティクスとAI」

細田 耕 氏
(大阪大学大学院 基礎工学研究科 教授)

ロボットとAIに関する思索の行き着く先は,どのような身体とどのような知能がどのように交わるのかという議論である.この論点に対する重要なヒントが,ソフトロボティクスにあると考えられる.柔らかい身体を制御することは非常に難しい.だからこそ本当の知能が必要なのかもしれない。本講演では,ソフトロボティクスという視点からAIとロボットの関係を議論する.

[ 略歴 ]
1993年京都大学大学院工学研究科博士後期課程修了.博士(工学).2014年より大阪大学大学院基礎工学研究科教授(現職),ソフトロボティクスの研究に従事.