第45回 人工知能学会(2003.12.15)心が通じるインターフェースの実現を目指して -円滑なコミュニケーションの原理を探る-


主催: (社)人工知能学会
日時: 2003年12月15日(月) 10:00-16:15
会場: 機械振興会館研修室 研修-2 東京都港区芝公園3-5-8
照会先: account@ai-gakkai.or.jp
定員: 定員に達しましたので、参加申込みを締め切りました
協賛予定学会: (社)情報処理学会,(社)電子情報通信学会,
(社)日本ロボット学会, ヒューマンインタフェース学会,
日本認知科学会,日本認知心理学会, 日本機能言語学会,
(社)日本音響学会,言語処理学会,日本知能情報ファジィ学会
参加費: 学会誌vol.18 no.5の会告記事から変更がありますのでご注意ください
会員 6,000円(協賛学会員,助賛会員の社員の方も含みます.),
非会員 9,500円,学生会員 2,000円,学生非会員 3,000円

概要

 近年,ペットロボットや犬語翻訳機などコミュニケーションをキーワードとした商品が注目されていることから分かるように,「心を通わせることが出来るロボット」や「心を理解してくれるインターフェース技術」の実現が望まれています.
 人が相手の発話内容や意図を理解することができるのは何故なのでしょうか.このような問いに答え,あるいはこのような機能を工学的に実現するためにも,人間のもつコミュニケーション能力を様々な角度から探ることが必要だと考えます.
 本セミナーでは,様々な視点からコミュニケーションを捕らえるために,認知科学,脳科学,社会言語学,ロボット工学,ユビキタスコンピューティングの分野でご活躍されている先生方に講演をお願いしました.そして,コミュニケーションの媒体として「言語」だけでなく「非言語」や「パラ言語」も対象にし,また形態として「人間 と 人間」から「人間 と 機械」のコミュニケーションまで対象にします.さらにはユビキタスコンピューティングなど社会インフラの変化によって生じつつある「人間 と もの」「もの と もの」の新たなコミュニケーションの形態までも視野に入れ探っていきます.
 この多種多様なコミュニケーションのあり方や捉え方を一同に介し論議することで,コミュニケーションの本質を皆様とともに探っていきたいと考えています.そして,円滑なコミュニケーションの原理とは何か,そして真に心を理解するということをどのように実現できるのかなどを考える機会となれば幸いです.
 このセミナーが,人工知能の研究者をはじめ,様々な分野の研究者の積極的な交流につながり,コミュニケーションの理解,そして心が通じるインターフェースの実現に貢献することができれば幸いです.多数の皆様のご聴講をお待ちしています.

プログラム


10:00~11:00「コミュニケーションの謎」

金沢 創(淑徳大学 社会学部)

概要:こちらの意図を伝えたり相手の意図を理解したりできることは,考えてみれば非常に不思議な能力である.本発表では日常のコミュニケーションを,情報の伝達ではなく,互いの心の状態を推測しあう行為として記述していく.この行為を可能にする最も重要なものは他者の知覚状態に関する知識であり,この「知覚原理」をもつことこそが,ヒトとヒト以外の生物たちのコミュニケーションを区別する能力であることを解説していく.


11:00~12:00「コミュニケーションを支える目標指向性 -脳科学の視点から-」

松元健二(理化学研究所脳科学総合研究センター)

概要:相手の心について抱いた仮説が間違っていないかという賭けがコミュニケーションの本質であるとする考えが提出されているが,前頭連合野内側部に損傷のある患者は,社会性を失うと同時に,リスクを顧みない賭けに出ることが知られている.その一方で,前頭連合野内側部は,目標に基づいた行動選択に関わるとする基礎データが出揃ってきている.目標指向性の脳内機構が,コミュニケーションにどう貢献しうるのかの考察を試みる.


12:00~13:15 昼食休憩


13:15~14:15「パラ言語の理解・表出能力を持つ対話ロボット」

小林哲則(早稲田大学理工学部)

概要:  円滑な言語コミュニケーションには,言語情報に付随して生じその伝達を補助するパラ言語情報を理解・表出することが重要である.当研究室で開発された対話ロボットROBISUKEは,対話相手の声の表情,頭部ジェスチャ,視線を理解することができ,また対話の状況に応じて自らの声表情,視線,頭部ジェスチャ,顔表情などを制御できる.本講演においては,これらのパラ言語を扱う要素技術とそれらを融合して実現した対話システムの構成について概説する.


14:15~15:15「日用品コンピューティング」

椎尾一郎(玉川大学工学部)

概要: ユビキタスコンピューティングの展望と,近未来の人とコンピュータとのインタラクションを紹介する.デスクトップコンピューティングからユビキタスコンピューティングへと,コンピュータ利用のパラダイムシフトが進行している.人とコンピュータとのインタラクションも,グラフィックス,サウンド,知的な応答のように,目を見張るような存在から,日用品としての地味で存在感の無い透明なインタフェースへと変ぼうするであろう.


15:15~16:15「日常言語コンピューティング概要」

小林一郎(お茶の水女子大学理学部情報科学科,理化学研究所脳科学総合研究センター)

概要: 本講演において,現在,理化学研究所脳科学総合研究センター言語知能システム研究チームにおいて進められている,言葉を情報処理の媒体とする「日常言語コンピューティング」と呼ぶ新しいコンピューティングの枠組みと概要を紹介する.日常言語コンピューティングの基本的なコンセプトは機能言語学(選択体系機能言語理論)に基づいており,言語とヒトの知性の関係をコミュニケーションの役割を中心に機能言語学の立場から説明する.


16:15~16:50コーヒーブレイク


第45回人工知能セミナー 参加申し込み受付終了

定員に達しましたので、参加申込みを締め切りました

人工知能セミナー参加費
正会員・賛助会員 学生会員 学生非会員 非会員
6,000円 2,000円 3,000円 9,500円