AIレクチャー

AIレクチャー:ツールボックス

  • タイトル:”ロボット用ソフトウエア基盤:RTミドルウエア”
  • 日時:2012年6月14日(木) 9:00-10:30 (90分)
  • 講演者:
    • 神徳 徹雄(産業技術総合研究所)
  • 概要:
    システム(ソフトウェア)を機能要素ごとに共通仕様に基づいてコンポーネント化(部品化・モジュール化)する研究が行われている.この技術を導入することにより,システム開発者は他人が開発したソフトウェアモジュールを利用(組み合わせる)ことで、比較的容易に所望のシステムを組み上げることが可能になる.RTミドルウエアは,モジュールを複数組み合わせてシステムを構築する為のソフトウエア統合の枠組みであり,ロボットシステムに限らず,様々なシステムへの展開が可能な技術である.本講演では,RTミドルウエアのコンセプト,および,その参照実装として独立行政法人産業技術総合研究所が開発してオープンソース形式で配布しているOpenRTM-aistについて紹介する.

AIレクチャー:先端AI

  • タイトル:”音楽情報処理最前線: 能動的音楽鑑賞インタフェースと歌声情報処理システム”
  • 日時:2012年6月14日(木) 10:40-12:00(80分)
  • 講演者:後藤 真孝(産業技術総合研究所)
  • 概要:
    音楽の楽しみ方の未来は,音楽情報処理技術によってどのように切り拓かれていくのだろうか.世の中のすべての音楽はデジタル化される宿命にあり,いつでもどこでも好きな音楽を大量に聴ける時代が到来した.従来は,音楽は受身で聴くことが多かったのに対し,これからは,もっと自分の好みに合わせて自在に音楽を楽しむことが可能になっていく.本招待講演では,音楽を鑑賞する場面,制作する場面の両方において,音楽情報処理技術がどのように新たな可能性を切り拓いていくのかを議論する.例えば音楽鑑賞では,「能動的音楽鑑賞インタフェース」と名付けた一連の研究の中から,楽曲の構成を自動的に分析・理解して「音楽の地図」を作ることができるサビ出し機能付き音楽試聴「SmartMusicKIOSK」等,音楽の自動理解技術に基づく様々なインタフェースを紹介する.音楽制作では,「歌声情報処理」と名付けた分野から,人間の歌い方を真似て自然な歌声を合成できる歌声合成技術「VocaListener(ぼかりす)」等を紹介する.エンドユーザが直接恩恵を受けるような音楽情報処理は,これから大きく発展していくことが期待される.

AIレクチャー:ツールボックス

  • タイトル:”日本語文を想定した知識処理ツール”
  • 日時:2012年6月14日(木) 13:30-15:00(90分)
  • 講演者:石川 勉(拓殖大学)
  • 概要:
    対話システムの高度化さらにはWeb情報等の電子化文書の有効利用には,自然言語文を一定の知識表現に変換しある程度深いレベルでの推論処理を施す必要がある.さらに実用的応用のためには,これらは一貫した自動化が可能でなければならない.これに対し,我々は完璧性や厳密性よりも実用性重視の立場から,自然言語文,特に日本語文の論理式化(述語知識化)とそれを用いた推論処理について,一貫した自動化を前提に研究し,それぞれ知識変換ツールおよび推論エンジンとして具体化した.また,その中だけでなく広く利用可能な言葉の意味の類似性判定等の諸ツールを開発した.さらにそれらの応用として雑談型の知的対話システムのモックアップを製作した.本講演ではこれらツール類についてデモをまじえ解説する.なお,これらツールはいずれかの形態で公開する予定である.

AIレクチャー:研究会紹介(MBI)

  • タイトル: “分子生物情報研究会(SIG-MBI)のグランドチャレンジ”
  • 日時:2012年6月15日(金) 9:00-9:45(45分)
  • 講演者: 小長谷 明彦(東京工業大学大学院)
  • 概要:
    1990年にヒトゲノム配列解析プロジェクトが開始されてからすでに22年経過した.この間,バイオインフォマティクスは急激に進展し,専門の学会を設立するに至った.このような状況において,人工知能学会がバイオインフォマティクス研究を推進する意義の見直しが求められている.本講演では人工知能学会の本来の趣旨に立ち戻り,SIG-MBI研究会の新たなるグランドチャレンジである(1)ゲノムエキスパートシステム,(2)知的分子制御,(3)知能分子ロボットについて,そのコンセプトと意義について紹介する.

AIレクチャー:研究会紹介(CCK)

  • タイトル:”「コモンセンス知識」をAI研究のドライビングフォースに”
  • 日時:2012年6月15日(金) 9:45-10:30(45分)
  • 講演者: 竹林 洋一(静岡大学)
  • 概要:
    本研究会は,人間の発達や問題解決で重要な役割を担う子ども期の根源的なコモンセンス(常識)について,異分野研究者や実務家が互いに学び自由に意見交換できる「場」として設立しました.McCarthyとMinskyは「常識を持ったコンピュータ」の実現を目指して,1956年にAI研究をスタートしました.コンピュータの進歩とともに,AIの研究は発展し,基礎から応用に至るまで研究領域は広がり,専門化・細分化が進みましたが,人間と柔軟にコミュニケートできる気の利いたロボットは実現していません.本研究会では人間の複雑なコモンセンス知識構築に向けて,発展途上の子どものコモンセンスに着目することにしました.人間は子ども期に母親や周囲の環境と関わりながら活動し,多様なスキルや知識の獲得に必要な常識を身につけます.子どもは成人と比べて思考過程が行動に表出しやすい傾向があるので,子どもの行動観察は人間の認知・行動をモデル化する際の格好の研究対象となります.本研究会では,「そもそもコモンセンス知識とは何か」を考え,子育て支援,言語獲得,発達障害,世代間ギャップ,異文化コミュニケーション,子ども・成人・高齢者のコモンセンス等について様々な角度から議論を重ね,AI研究の発展に向けて学際的なコモンセンス研究を推進していきます.