オーガナイズドセッション

採択されたオーガナイズドセッションは以下の14件です.すべてのセッションで発表の一般公募を行ないます.オーガナイズドセッションでの発表を希望する方は,発表申し込み時にその旨を記載してください.

なお、一般公募でオーガナイズドセッションを希望されても,発表の数が多い場合,あるいは依頼による発表を優先するなどの理由により,一般口頭発表セッションにまわっていただくことがあります.発表時間なども一般口頭発表セッションとは異なる可能性があります.

OS-1 ことば--コンピュータ--コミュニケーション

  • オーガナイザ
    阿部 明典(NTT コミュニケーション科学基礎研究所)
  • 内容
     本セッションでは、昨年に引続き、コンピュータの上でことばを扱う問題に関して議論する予定である。コンピュータなどの機械メディアの上でことばを扱う研究を各々の観点から分野を横断して議論をしたいと考えてい る。
  • テーマ例
    • コンピュータ、認知科学、社会学、心理学、脳科学、哲学、人工知能などの面から見た
      • ことばの問題
      • ことばの特性
      • ことばの生成、デザイン
      • 文学の問題
      • 文学の特性
      • 文学の生成、デザイン
      • コミュニケーションの問題
      • コミュニケーションの特性
      • コミュニケーションの生成、デザイン
      • 駄洒落、ユーモア、修辞等上記に深く関わる現象に関しても同様の議論
      • その他、広告コミュニケーションなどのアプリケーションがらみの話など

OS-2 身体知の表現と獲得

  • オーガナイザ
    藤波 努(北陸先端科学技術大学院大学)
  • 内容
     楽器の演奏やスポーツなど、人間が長年の修練を経て獲得する技には知的な要素が含まれていると考えられるが、それがどのような種類の知能の顕れなのか、またいかにして獲得されるのかは明らかではない。技は個人が独力で獲得する方法もあるが、一般には教師の助言と指導のもとに研鑽を積んで身につけていくことが多い。技の内容は言葉で表現しにくいため、教師から生徒に伝わりにくい。言語以外の手段(たとえばグラフなど)の併用は技の伝達に寄与すると予想されるが、その方法と効果については未知である。本セッションは、技の習得を可能にしている知的なものを身体知と捉え、それがどのように表現されるのか、またいかに伝えられるのかを議論する。
  • テーマ例
    1. 動作計測による身体知の理解
    2. 身体知習得モデル
    3. 身体知言語化の方法論
    4. データ分析による習得支援
    5. コーチング方法論
    6. 道具や練習環境デザインの実践および方法論

OS-3 意味と理解のコンピューティング

  • オーガナイザ
    小林 一郎 (お茶の水女子大)
    麻生 英樹(産業技術総合研究所)
    伊東 幸宏(静岡大学)
  • 内容
     計算機の処理能力が上がり、大量のデータを簡単に扱える時代になった。それにともな い、データの統計的処理の観点から、その意味をとらえる研究が多くなっている。一方、以前のような意味に対する深い取り扱いへの試みが希薄なっているように感じている。しかし、システムを真に知的にするためには、人が行うような意味の理解のメカニズムが必要であり、必要な技術は振り子のように回帰してくると考える。
     本オーガナイズドセッションは、そのような背景を踏まえ、過去に研究されていたような意味や理解をとらえる取り組みや姿勢を大切にしながらも新しい技術を開発することを目指す研究の議論の場として開催する。
  • キーワード
    • 意味表現手法
    • 意味構造解析
    • 意味解釈処理
      • 同義表現の解釈、言い換え
      • 文章の文脈・状況依存な理解
      • 文章の要約
      • 対話処理
    • 意味表現に基づく知識表現と推論
    • 意味の理解にもとづく知的情報処理

広く「意味と理解」に関する論文を募集いたします。たくさんの投稿をお待ちしています。

OS-4 人工生命研究の現在/過去/未来

  • オーガナイザ
    中山 功一(NICTユニバーサルメディア研究センター)
  • 内容
     昨年の人工知能学会全国大会での人工生命の発表は,一般セッションとして,たったの4件しか無かった.情報学の分野における人工生命研究の重要性は衰えていないが,日本国内では継続して取り組んでいる研究室が少ないのが現状である.今回は,日本における人工生命研究の創成期から取り組まれている方から今後の人工生命を担う若手研究者までを一堂に集めて,日本における人工生命研究の位置づけを見直す場を提供することを目標とする.

OS-5 交通・移動・流れとAI

  • オーガナイザ
    栗原 聡(大阪大学)
    服部 宏充(京都大学)
    和泉 潔(産業技術総合研究所)
    川村 秀憲(北海道大学)
    松井 宏樹(株式会社 CMDラボ)
  • 内容
     本セッションは,一昨年の大会にて「次世代知的交通システムにおけるAI」というタイ トルにて同提案者グループにて企画セッションを開催したのが初回であり,時間枠をオーバーする盛り上がりを見せた.次世代交通制御システム(ITS)構築に向けた研究開発の立ち上げが強く望まれている状況を念頭にして,マルチエージェント技術,シミュレーション技術,プランニング・学習技術を始めとする様々な人工知能技術を通した次世代知的交通システムと人工知能に関連する研究発表ならびに研究者間の交流を目的とした.
     しかし,この問題はITSに限る問題ではなく,人やモノの流れにおいても同様である.根幹にあるのは,「大域的な情報交換が困難である状況における有限リソース分配問題」であり,移動の主体を車から人とすれば,移動手段は車以外にも電車や地下鉄なども含まれる.またリソースの分配という観点からはテーマパーク問題やデマンドバス問題なども重要な研究テーマである.そこで,昨年は,このように交通や移動など,モノの流れの制御問題に対するAIの取り組みをテーマとして,論文の発表並びに研究者間の活発な議論の場を提供することを目的として開催し,一昨年に続き多くの参加者にて深い議論の場を共有することができた.
     今回も昨年に引き続き同様のテーマにて企画セッションを希望する.ITS研究などにおいては,人工知能分野からの進出が特に望まれる分野であり,大会という場での情報発信はITSに関連する他学会に対しても重要なアピールとなる.

OS-6 HAIにとってエージェントとは何か?-再考-

  • オーガナイザ
    小野 哲雄(北海道大学)
    山田 誠二(国立情報学研究所)
  • 内容
     近年,ソフトウエアエージェントやペットロボットのように一般のエンドユーザとインタラクションをもつエージェントが急速に普及しつつあり,人間とエージェントのインタラクションデザインを扱うHAIヒューマンエージェントインタラクションが活発に研究開発されています.そして,実際のHAIの実現には,エージェントとして,擬人化エージェントなどのソフトウエアエージェントと物理的身体をもつロボットが利用されています.しかし,HAIのインタラクションデザインには,本質的にソフトウエアエージェントとロボットのどちらが適しているのか?は,疑問のまま残っている重要な問題です.本テーマに関しては、2009年の大会でもオーガナイズドセッションを開催し,活発な議論を行いました.2010年の大会においても継続して,HAIにとって身体を持ったロボット,ソフトウエアエージェントのどちらが適しているのか?,ロボットは本当に必要か?,それぞれのエージェントは相補的なのか?,タスクに依存するのか?などの問題について,ソフトウエアエージェント派,ロボット派,両方必要である派の研究者に発表をしていただき,活発な議論を展開したいと考えます.

OS-7 「作ることからの学習」の支援環境の設計と開発

  • オーガナイザ
    柏原 昭博(電気通信大学)
    平嶋 宗(広島大学,ALST研主査)
  • 内容
     ある物事をより深く理解したければ,それを作ってみるとよい.またその物事をいろいろと変えてみることができれば,その物事独自の性質やその物事の周辺に存在する関連した物事との関係についても理解も深まるであろう.さらに,作ることは本質的に創造の要素を含んでいるということができる.これらのことから,人の学びにおける「作ること」の重要性は明らかである.しかしながら,このような学習においては,作ること自体の負荷の高い活動であるとともに,個人で行うにせよ,グループで行うにせよ,多様なアウトプットが予想され,個別性の高い対応が求められることとなる.これらのことは,「作ることからの学習」が計算機を用いた学習支援の有望な対象であることを示している.すでに様々な観点・アプローチから「作ることからの学習」を対象とした支援環境に関する研究が試みられている.本課題研究では,それらの研究を一堂に会することで,この研究トピックへの理解の深化とより一層の活性化を目指すものである.
     なお,本セッションでは10件前後の発表を予定しており,各登壇者から発表後,テーマ についてのディスカッション時間を確保したい

OS-8 ネットワークが創発する知能

  • オーガナイザ
    石川 孝(日本工業大学)
    栗原 聡(大阪大学,JST CREST)
    澤井 秀文(情報通信研究機構)
    風間 一洋(NTT)
    鳥海 不二夫(名古屋大学)
  • 内容
     マルチエージェントシステムや人間の社会現象などにおいては,集団的知能が多数の自律的な主体による局所的な行動のネットワークから創発している.この集団的知能の創発メカニズムを解明することは,集団的知能の説明のみならず,大規模分散情報・通信システムの実現に対しても重要な知見をもたらすことが期待される.このオーガナイズドセッションでは,マルチエージェントシステム,情報ネットワーク,ソーシャルネットワークなどにおける創発現象やそのネットワークダイナミクス,および知能の創発を主なテーマとする研究発表を募集する.

OS-9 最小ユーザフィードバックによるインタラクティブ情報収集・データマイニング

  • オーガナイザ
    山田 誠二(国立情報学研究所)
  • 内容
     近年,特に実問題において人工知能システム単体の能力には限界があることが認識され,人間の助けを得ながらうまく協調してタスクを達成するインタラクティブシステムの重要性が高まっている.そのような人間とインタラクティブシステムとの協調が成功する必須条件の1つは,「ユーザからの最小限のフィードバックで最大の協調効果を引き出す」ことと考えられる.そのようなインタラクションの実現を目指して,我々は「最小ユーザフィードバックによるインタラクティブ情報収集・データマイニング」の枠組みを提案し,関連する要素技術である,最小制約によるクラスタリング,制約獲得のための認知的負荷の少ないユーザインタフェースなどの研究を集めたオーガナイズドセッションを企画する.

OS-10 フィールドマイニング

  • オーガナイザ
    松村 真宏(大阪大学)
  • 内容
     ちょっとした仕掛けがちょっとした意識や行動の変化を生み,それが大きな社会的インパクトを及ぼすこと がある.「フィールドマイニング」は,そのような社会現象,具体的には,人の意識や行動を変えるための仕掛けとその効果を体系的に明らかにすることを目指す新しい研究分野である.この世はデータ化されていないことばかりなので,世の中を扱うためには計算機とデータに頼る従来のアプローチには限界がある.そこで,フィールドマイニングでは計算機とデータという枠組みにこだわらず,仕掛けとそれに対する人の反応という側面からこの研究課題に取り組む.本オーガナイズドセッションでは,「フィールドマイニング」そのもののコンセプト,方向性,可能性,ネーミング等々を幅広く議論する.(その他の情報はhttp://mtmr.jp/fm/ をご覧下さい)
  • テーマ例
    • 「フィールドマイニング」セッションは以下のテーマに関する発表を歓迎する.
      • フィールドマイニングに関する既存事例の紹介
      • フィールドマイニングに関するオリジナル研究
      • フィールドマイニングに関する新しい方法論(コンセプトや仕掛け)の提案
      • 人とモノと環境の関係性を Re-view, Re-sense,Re-recognition,Re-representation, Re-construct するような研究
  • キーワード例
    • 以下の分類を越えた新しい切り口も大いに歓迎する.
      • 【主キーワード】 フィールド,仕掛け,意識変化,行動変化,デザイン,アフォーダンス
      • 【副キーワード】 エスノグラフィー,インクルーシブデザイン,行動観察,痕跡観察,フィールド情報学,The Fun Theory,ノンバーバルコミュニケーション,情報デザイン,インタラクションデザイン,メディアアート,チャンス発見 ,イノベーション,人間中心イノベーション,人間中心設計,脳科学,サウンドスケープ

OS-11 市民の表現活動を編みあげる情報技術

  • オーガナイザ
    沼 晃介(東京大学)
    濱崎 雅弘(産業技術総合研究所)
    小早川 真衣子(多摩美術大学)
  • 内容
     近年,デジタルメディアの普及にともない,市民がさまざまな表現を行っている.現状では,これらの表現は個別ばらばらに生み出され,消費されており,現代はいわば,「情報のあふれかえる社会」である.そのためこれからの情報技術には,「表現が編みあがる社会」を実現することが期待される.市民の表現活動をさまざまに支援し,つなぎ,編みあげることによって,表現そのものを持続的に,豊かに発展させることができるだろう.
     本オーガナイズドセッションでは2008年,2009年の全国大会でのセッションに引き続き,このような目的に活用できる技術,関連する実践ならびに理論に関わる研究発表を募集し,議論する.また,本年のセッションでは,JST CREST「情報デザインによる市民芸術創出プラットフォームの構築」において開発されたシステムを導入し,聴衆が体験的に参加できる方式のパネルディスカッションを試みる.
  • テーマ例
     本セッションで想定するトピックには次のようなものが含まれる.表現の作成・公開・流通を支援・促進する技術システム,特に,創造活動支援システム,情報共有システム,実世界志向インタフェースなど.また,市民のメディア表現に関わる実践や理論の報告もあわせて議論したい.

OS-12 ファイナンスにおける人工知能応用

  • オーガナイザ
    寺野 隆雄(東京工業大学)
    松井 藤五郎(とうごろう機械学習研究所)
  • 内容
     サブプライム問題に端を発する世界金融危機などの影響から、金融市場への関心が高まっています。このような社会的状況の中で、人工知能分野の手法や技術を金融市場における様々な場面に応用することが大いに期待されています。
    本セッションでは、膨大な金融情報を分析し投資判断の支援をする技術や、市場の特性を理解し適切な市場制度を設計する技術、さらに市場メカニズムを金融市場以外の社会現象に応用する技術など金融市場に関わる基礎から応用までの幅広い研究課題全てを対象とし、金融市場に対する人工知能技術の利用を拡大することを目的とした発表と議論を行います。

OS-13 マルチモーダル・セマンティック・インタラクション

  • オーガナイザ
    新田 恒雄(豊橋技術科学大学)
    岩橋 直人((独)情報通信研究機構 知識創成コミュニケーション研究センター)
  • 内容
     ロボット研究,脳研究,音声言語を含むマルチモーダルインタラクション研究の発展に伴い,ロボットが人間と共生することを最終目標とする研究が始まっている。将来は身近な場面で,パーソナルロボットと人間の実世界の事物を対象にしたコミュニケーション―マルチモーダルセマンティックインタラクション―が極めて重要になる時代が到来すると予想される。
     一方、ロボット研究の現状をみると、行動の自律的振る舞いを対象とするものが多く、人間とのコミュニケーションに不可欠な音声言語獲得・対話調整能力を対象とするものは極めて少ない。また音声言語研究の現状を見ると,開発者は対話内容を直接記述しなければならないため,簡単なタスク下で自律的応答をしているかのように設計できるものの,労力負担が大きく柔軟性に欠けるロボットしか制作できない現状がある。これは,対話に使用する背景知識の獲得と知識の運用方法に大きな課題が残されているためと考えられる。セッションでは,こうしたコミュニケーション能力と動作スキルの運用や学習に係わる研究者が一同に会し,近未来の課題と解決への取組みを討議する。
  • トピック例
    マルチモーダル対話,概念獲得,語意獲得,文法獲得対話戦略・対話調整とスキルの獲得,タスク遂行とスキルの獲得,言語発達,言語進化, 動作の言語化

OS-14 コモンセンス知の構築:個人から組織・コミュニティまで

  • オーガナイザ
    桐山 伸也(静岡大学情報学部)
    竹林 洋一(静岡大学創造科学技術大学院)
  • 内容
     気の利いた人間支援のための対話システムやロボットの実用本格化には、人間の日常的な認知行動の基底をなす「コモンセンス知」を構築し、活用することが必要です。また、宗教や国家間の対立の顕在化や、規律・規範の欠如による金融資本主義の破綻など、昨今の社会情勢から、コミュニティの価値観や倫理観に関わる「コモンセンス知」も重要視されてきました。
    「コモンセンス知」という概念には、どの個人も共通に持つという客観知的側面と、各個人が他者も共通に持つと信じる主観知的側面があります。この個人間の信念の違いが、人間の多様さ複雑さの源である一方、コミュニケーションギャップの原因でもあり、人工知能研究深化の障壁となっています。個々の人間の知能は、遺伝的・本能的に組み込まれたものから始まり、所属する文化的・社会的な種々のコミュニティの影響を受け深化成長し、構築されます。
    「コモンセンス知」の構築には、個人ごとの主観知を持ち寄るだけでなく、個人の知能発達に影響を与えるコミュニティごとの「コモンセンス知」を的確に捉え、多視点から議論を重ねて客観化することが有用と考えます。このような観点から、個人に加え、組織、ドメイン、企業など種々のコミュニティを対象に、自然知能の観察に基づく人間行動理解のための知識の獲得、それらの知識を人間支援に利用するための表現方法やコンテンツ 化手法、価値観・倫理観に基づく組織マネジメントなど、「コモンセンス知」構築に関わる発表を幅広く募集します。