人工知能学会ではAI ELSI賞の決定をいたしました。
また、受賞を記念して 2月21日(月)12:00-13:15に表彰式および受賞記念講演会を行います(要申込)。

本賞の趣旨

AI技術は現在、様々な形で社会に利用されるようになってきました。AI技術は汎用技術でありかつ人に近い技術であるため、社会へ広範な影響を与えることや、人々の生活に直接的な影響を与えることが予想されます。このため、単に研究開発の中でのAIを考えるのではなく、社会とのAIの関係やAI技術の倫理的側面も同時に考える必要があると考えます。AI ELSI賞は、そのような点において顕著な活動を表彰することで、社会におけるAIという課題を広く共有することを目指しています。なお、本賞は人工知能学会倫理委員会が企画、運営をしております。

審査経緯

AI ELSI賞選定においては倫理委員会による一次審査会のあと、外部有識者を含めた審査委員会による審査を行いました。審査委員会では一次審査会より推薦されたPerspective部門4件、Practice部門4件について審査を行いました。

AI ELSI賞 Perspective部門受賞

受賞活動名:『RE-END 死から問うテクノロジーと社会
受賞者:塚田有那・高橋ミレイ/HITE-Media
選定理由:
Perspective部門においては俯瞰的かつ未来志向であることが期待されますが、過去や歴史を踏まえながら現在や未来を見通す、いわばフォアキャストのアプローチによってパースペクティブを構成することは有効です。本活動は「死」という我々にとって過去から現在まで外すことのできない概念を中心におき、それをあえて技術的な文脈からその未来を語るという大胆な試みです。「死」という、生きている人間が誰も経験したことのない「極端な概念」を通じて、技術における倫理の在り方、あるいはその考え方を浮き彫りにすることができています。これはAIに限った話ではなく、同活動もAIだけを扱っているわけではありませんが、とりわけ倫理の検討が重要なAIにおいて、大きな示唆を与えていると考えます。以上のような点から本活動がPerspective部門受賞に相応しいと判断いたしました。

 

AI ELSI賞 Practice部門受賞

受賞活動名:「AIプロダクト品質保証ガイドライン(QA4AI)
受賞者:AIプロダクト品質保証コンソーシアム
選定理由:
Practice部門においては、現在の社会や技術の発展や普及に貢献をしている実践的活動が候補となります。本活動は、産学の主要研究者、開発者が時間をかけて議論し作成してきた実用性の高いAI製品開発ガイドラインです。AIが実際に製品等に利用されたり組み込まれたりする際に、何を考慮にいれればよいかということを定めるのは技術者にとって大きな負担になっています。本ガイドラインは、分野に依存しない品質保証の枠組みから始まり、現在の主要な技術を集めた技術カタログ、そして技術分野や応用分野ごとのガイドラインからなっています。基礎的な概念理解から個別分野、個別分野の課題までカバーしており、AIに精通していない技術者でも容易に適用できるように工夫されています。また、特記すべきは、本活動は政府等の公的機関によるものではなく、産学の研究者・技術者の自主的な活動である点です。自ら行動を起こして実践している点は高く評価されました。頻繁にアップデートされており、活動の継続性も評価されました。

次点:

活動名:「AIと社会と法」(宍戸常寿、大屋雄裕、小塚荘一郎、佐藤一郎)
本活動はPerspective部門で高く評価されましたが、惜しくも受賞にいたりませんでした。AIと法の関わりについてのトピックスを広くカバーしており、この問題の今を理解するのによいイントロダクションとなっているところが評価されました。また、座談会において、研究者たちの知見を踏まえた未来の見通しが垣間見えるところも評価されました。

AI ELSI賞表彰式

日時:2022年2月21日(月)12:00-13:15
場所:オンライン(Zoom Webinar)
参加費:無料
プログラム:

  • 審査委員長(武田英明 倫理委員会委員長)選定経緯説明
  • Perspective部門賞およびPractice部門賞の表彰および受賞者講演
    • 「死」から編み出すAI時代の想像力:塚田有那(一般社団法人Whole Universe)
    • 考えるヒンシツ:西康晴(QA4AIコンソーシアム 運営委員長)

申し込み先:こちらからお願いいたします

問い合わせ先:

人工知能学会事務局
住所:〒162-0821
東京都 新宿区 津久戸町 4-7 OSビル402号室
電話:03-5261-3401
ファクシミリ(FAX):03-5261-3402