基調講演
「人工知能とビジネスシステムアーキテクチャの共進化」
國領 二郎 氏
(慶應義塾大学 名誉教授/共愛学園前橋国際大学デジタル共創研究センター長/早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター研究院教授)
長年情報システムが社会・システムシステムの構造をどのように変化させるかを特にビジネスモデルの進化の観点から研究してきた.技術は社会のあり方に大きなインパクトがあるが,両者の関係は一方向的ではない.社会的な要請によって技術システムの開発の方向性も変化する共進化のモデルで考えなくてはならない.かつてビジネスモデル進化が技術的利便性の進化に追いつかずネットバブルを破裂させて世界経済を混乱に陥らせたこともあり,そのような現象が起こるメカニズムも理解しておかなければならない.人工知能がここまで影響力を持つようになった今,我々はAIと社会・技術システムの共進化の道筋について体系的に理解し,変化の中にも適切に舵取りを行って技術のもたらす可能性を人類の幸福に結びつけて行きたい.
特別講演
「AIの現在地と次の挑戦:科学・工学・社会の交点から」
岡野原 大輔 氏
(株式会社Preferred Networks 共同創業者 代表取締役社長/Matlantis株式会社 代表取締役社長)
人工知能はこの40年で大きく発展し,応用領域・研究方法・計算基盤のすべてに大きな変化をもたらしてきた.現在のAIは,高性能化と汎用化が同時に進む一方で,学習の安定性,継続学習の難しさ,評価と信頼性,計算資源やエネルギーコスト,理論的理解の不足など,多面的な課題に直面している.本講演では,現代AIの技術的構造と研究潮流を俯瞰し,モデル・学習・計算基盤の三層から現在の到達点と制約条件を整理する.その上で,学習と知能の再定式化,モデル設計原理の再検討,AI for Science をはじめとする新しい応用領域の展開を通じて,次世代AIに必要となる科学的・工学的チャレンジを議論する.さらに,AIが知識生産,研究活動,意思決定のあり方をどのように変えつつあるかを踏まえ,研究コミュニティが取り組むべき新たな課題と展望を提示する.
招待講演
日本におけるAIの未来をテーマに,教育・研究投資・産業のトップが対談形式で語る特別企画を実施する.大学学長による対談では,東京大学,東京科学大学,早稲田大学,慶應義塾大学の学長らを迎える予定で,生成AIの急速な普及を背景に,教育はどのように変わるべきか,大学は人材育成と知の創出の場として何を担うのかといった本質的な課題に切り込む.ファンディングエージェンシー対談では,イノベーションを支えるAI研究投資の考え方や,今後日本がどの分野に重点的に資源を投入すべきか,という戦略的視点を共有する.企業トップ対談では,HONDA,オムロン,KDDIらの経営層を迎えることを予定しており,世界的なAI競争の中で,日本企業がどの領域で競争力を発揮し,どの領域では戦略的に戦わないという選択を行うのか,経営判断の現実に即した議論を行う.三つの対談を通じ,日本のAIの将来像を多角的に捉える.