第三回人工知能学会倫理委員会ELSI賞の賞選報告
- 募集受付期間 2025/01/06〜2025/3/31
- 応募数 8件
- 審査のプロセス
― 4/21〜5/16が書類審査
― 5/17 13:00〜15:30にてオンライン〔Zoom〕にて賞選定委員会を開催
- 審査委員会
実積寿也先生@中央大学総合政策学部
中野有紀子先生@成蹊大学理工学部
神崎宣次先生@南山大学国際教養学部
遠藤 薫先生@学習院大学 ※座長
藤井太陽氏@SF作家
浅川直輝@日経BP
※オブザーバとして倫理委員会から数名が参加
- 応募作品について
企業のAI倫理についての取り組み,AI倫理をテーマとする研究,コンペや展示での一般社会への情報発信,AI倫理をプロダクトに反映させるための具体的な実装,AI倫理における国際的議論など,多岐に渡る応募となったが,以下の応募に対して以下のように賞を授与することとした.
・第三回倫理委員会ELSI賞 展望賞 1件
・第三回倫理委員会ELSI賞 実践賞 1件
・第三回倫理委員会ELSI賞 倫理委員会特別賞 2件
※ Perspective(展望)賞:今後のAI研究の方向に示唆を与えてくれる、優れた倫理的視点を与えてくれた活動等。
※ Practice(実践)賞:AI倫理やAIと社会との関わりに関して、社会的な影響を与えうると考えらえるサービスや製品、フィクション等の作品などの実践的活動等。
※今回の審査において,展望・実践賞には値しないものの,重要な取り組みであるとして倫理委員会特別賞として2件を選出した.
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第三回倫理委員会ELSI賞 展望賞
タイトル Dialogue for Desirable AI プロジェクト
東京大学B’ AIグローバル・フォーラム
概要
本プロジェクトは、「望ましいAI (Desriable AI)」の形を検討すべく、東京大学B’AIグローバル・フォーラム、ボン大学Center for Science and Thought、ケンブリッジ大学Center for the Future of Intelligence、ヨーロッパ応用科学大学が共同で実施する対話型プロジェクトである。日本、ドイツ、イギリスにおける人文社会科学系の先進的なAI研究を実践している研究教育機関が連携し、オンライン形式でセミナーを開催することで、地理的な制約を超えたグローバルな知的交流の場で、倫理的問題を含めたAIの将来的なあり方について議論を交わした。
当セミナーは、「Cross-Cultural Approaches to Desirable AI」をテーマに、2024年10月から2025年1月まで全10回にわたって開催した。AI倫理を比較文化的かつ学際的な視点から議論し、特にインターセクショナリティを考慮したフェミニズムや反人種主義の視点から、AIと社会正義に関する研究を発展させることを目的とし、各回のセミナーでは以下のようなテーマを扱った。なお、ヨーロッパ応用科学大学では授業としても開講され、学部生・大学院生含め、のべ600名ほどが参加した。
選定理由
取り組みの今後の展開が大いに期待され,国際的議論をされていること,そして,幅広く文化的問題を問うていることなどが高く評価された.
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第三回倫理委員会ELSI賞 実践賞
タイトル 日本IBMのAI倫理チームが信頼できるAIを日本市場に届けます
日本アイ・ビー・エム株式会社 AI倫理チーム
概要
2022年に発足した日本IBMのAI倫理チームは、IBMの信頼性と透明性に基づくAI倫理を推進している。このチームの特徴は、多様性にあり、コンサルティング、法務、リサーチ、テクノロジー、R&Dから集まった8名のメンバーで構成されている。この多様な観点を活かしながら、生成AIの台頭によってAI倫理に対する関心が高まる中で、日本企業に信頼できるAIと正しい知識でイノベーションを起こさせることを目指して、様々な活動をしている。以下が主な活動成果である.
・政府機関や国立研究所との連携
・信頼できるAIを日本市場に提供
・AI倫理プロセスおよびポリシーの遵守をサポート
・AI倫理のスキル・人材育成
選定理由
AI倫理の一般向き啓蒙活動から,AIの信頼性やビジネス活用における倫理的観点での情報発信など,企業のためを越え,社会としてのAI倫理の重要性を広く情報発信され,多くの具体的な取り組みをされていることが高く評価されました
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第三回倫理委員会ELSI賞 特別賞
タイトル 超知能がある未来社会シナリオコンテスト
AIアライメントネットワーク
概要
本コンテストは、「AIアライメント(人間の価値観や意図に沿ったAIの開発・運用)」という先端テーマを、SFという親しみやすくかつ議論を喚起する手法で社会に広める試みである.研究者と市民を結びつけるプラットフォームとして機能し、現在の技術・社会的状況を踏まえた上での未来予測と倫理的検討を「物語」の形で共有できる点が画期的である.
選定理由
AIアライメントを中心とする一般からの応募を受け付けるコンペという場を作られたことが高く評価されました.この受賞は,コンペ実施者及び,応募された一般の方々への受賞であるべきというのが審査委員会からのメッセージです.
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タイトル 科学技術の倫理的設計のための実践的AI技術の開発とその産業応用
関口 海良,大澤 幸生,堀 浩一
概要
倫理的デザイン支援ツール「Dfrome」の開発および提供.2024年10月1日時点でDfromeのユーザ数は600人を超え、設計データセット数は約1,400に達している.ユーザとして製造業における現場の技術者、工学、哲学、気象学、医学などを含む多様な学術分野に関わる研究者、その他の産業界の実務者など多様なステークホルダーが含まれている点は、本研究の学際的な有用性を示している.さらに、共同研究先で少なくとも3社の企業が倫理的設計方法やDfromeを現場の課題に適用し新たなビジネスチャンスへの気づきを得ているなど.
選定理由
倫理的デザインのための支援ツールを提案している点,問題を工学として道具にて解決用しようという実践的取り組みが高く評価された.
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- ELSI賞について
■ AI-ELSI賞の狙い
生成AIに加えてAIエージェントが盛り上がりつつあるなど、AIはもはや様々な形で社会に浸透しつつあります。そして、現在のAIは高い汎用性を持つことから、社会へ広範な影響を与えることや、よくもわるくも人々の生活に直接的な影響を与えることが指摘され、すでにAIが社会に与える影響について国内外において積極的な議論が展開されています。単に研究開発の中でのAIを考えればよいという時代は過ぎ去り、社会とのAIの関係やAI技術の倫理的側面についてしっかり考えることが当然という状況となっています。本表彰は、そのような点において顕著な活動を表彰することで、社会におけるAIという課題を広く共有することを目指しています。
本表彰においては、学会が学術的な活動を表彰するという従来の学会における賞のあり方から一歩踏み出し、学会が社会と協力して、社会におけるAIの課題を共有していることを示す場として、社会に開かれた表彰とすることを意図しています。
■ 受賞対象
AI倫理や社会とAIの関係性に関わる活動全般を受賞対象とします。活動しては、研究論文、一連の研究活動、ワークショップ・会議等の企画、社会活動、製品、サービス、評論、政策提言、文学作品、映像等メディア作品など、形態を問いません。人工知能学会会員以外の個人や団体も表彰対象とします。
■ 応募/推薦方法
他薦および自薦による応募。応募/推薦時には、活動のタイトル、活動の内容、応募/推薦理由(本賞に該当する理由、1000字以内)をつけてものを受け付けます。応募者/推薦者は人工知能学会会員(賛助会員を含む)に限ります。※応募フォームはコチラ(https://forms.gle/55zRL8C1s7ThVPsVA)
■ 審査基準と方法
該当年(募集の開始日から過去3年間)に発表,あるいは実施された活動(研究論文、一連の研究活動、ワークショップ・会議等の企画、社会活動、製品、サービス、評論、政策提言、文学作品、映像等メディア作品など形態を問わない)の中から、特にAIに関して優れた倫理的視点を与えてくれたもの、あるいはAIと社会の関わり合いに関して深い洞察や影響力のある実践をおこなったものを表彰します。なお、活動の主要な部分がオープンにアクセスできることを条件とします。応募/推薦された作品や活動を人工知能学会倫理委員会が審査を行い絞り込んだのち、学会内外の有識者からなる審査委員会で審議し、決定します。
