データマイニングと統計数理研究会 (SIG-DMSM)
概要

近年,社会の情報化が進み,我々は多種多様な情報を計算機ネットワークを通じて入手し利用できるようになりました。一方で,生成・収集・蓄積されるデータの量は急激に増加しており,現在では蓄積された膨大なデータをいかに分析し活用するかが課題となっています。その有力な解決策の1つとして,大量のデータに埋没した有益な知識を発掘(マイニング)するデータマイニング技術が注目されています。

人工知能学会では,これまで知識ベースシステム研究会をはじめとする様々な研究会でデータマイニングの話題を取り扱ってきましたが,この分野の広がりを受け,データマイニングを主たる研究対象領域とする第2種研究会「データマイニングと統計数理研究会」を新たに設立することになりました。この研究会では,機械学習を中心とする従来のアプローチに加え,統計数理学的アプローチを中核的な研究対象に据え,人工知能分野と統計数理分野の研究者間交流を深めるとともに,両アプローチの融合による新たなデータマイニング技術の創出を目指します。

1.目的

1990年代中頃に人工知能研究の主要分野の1つである機械学習技術、データベース技術、統計数理的情報処理技術、データ可視化インターフェイス技術などをベースに、大量データに埋没した部分的傾向を知識として発掘するデータマイニング技術研究が開始された。以来、情報通信技術の社会への浸透と共に計算機ネットワーク上に蓄積されるデータの質と量が爆発的に増大するに連れて、データマイニングへの社会的ニーズは増大の一途を辿っている。それに伴い、データマイニング研究は機械学習技術を軸に世界的な広がりを見せ、関連主要国際会議・ジャーナル数、それらへの論文投稿数は飛躍的に増大しつつある。本人工知能学会においても関連する研究発表は大きな割合を占め、数多くの論文誌特集やシンポジウムが企画され、全国大会でも毎年多くの関連セッションが見られる。研究会では、知識ベース研究会を中心に基本問題研究会など他複数の研究会に亘って多くの発表が行われている。しかしながら、データマイニング研究のアクティビティ増大にも拘わらず、データマイニングに特化した研究会は存在していない。

一方、データマイニング研究の進展の中で、世界的に見てこれまでの機械学習技術をベースとした研究だけではなく、統計数理的情報処理技術を融合させる研究が増大しつつある。データマイニング研究に限らず、人工知能研究全般にもこの傾向は見られる。このような状況において、従来の人工知能分野の機械学習研究者達のみの研究コミュニティーではなく、統計数理研究分野の研究者達との交流を促進することで新たデータマイニング技術、情報処理技術の確立が期待される。これはデータマイニング研究者の裾野の拡大、延いては人工知能研究者の裾野の拡大にも資するものと考えられる。

以上の背景から「データマイニングと統計数理」に関する研究会の設立を申請する。本研究会では、データマイニングを実現するためのあらゆる人工知能及び統計数理、その他の理論・手法・技術に関する基礎から応用までの幅広い研究課題の全てを対象にして、産官学の研究者と技術者が互いの研究成果を発表し、討論する場を設けることによって、当該研究の我が国における発展に寄与することを目的とする。また、今後関連する国際会議、ワークショップなどの日本開催のための基盤作りも視野に入れて活動する。

関連情報: [研究会規約](予稿集の著作権については研究会規約第7章をご参照ください)

2.取扱う範囲

以下の研究分野のデータマイニングと統計数理解析を目的とする理論・手法・技術に関する基礎から応用までを対象とする。

機械学習/確率計算/統計数理/データベース/テキストマイニング/データ可視化インターフェイス/データマイニング固有技術/その他データマイニングと統計数理解析に資する研究

3.活動概要