第15回ことば工学研究会の様子

日時: 2003年 12月 5(金)〜 6日(土)
場所: 神奈川大学 横浜キャンパス 23号館 2階 204教室
〒221-8686 横浜市神奈川区六角橋 3-27-1

テーマ: ことばの感覚/ことばと芸術


今回も、二日とも全日の開催となりました。 天候のせいか、他の会と重なったのか、参加者は少なめに感じました。 研究会自体は外の天気とは反対に活気がありました。 1件あたりの時間もいつも通り長く、 夫々の研究に対する興味の深さがうかがえました。
では、以下の絵で当日の雰囲気を楽しんで下さい。
絵をクリックすると大きな絵が得られます。


12/ 5 2003
初日の午前は、写真を撮っておりません...... あしからず
原田氏による「環境の規則性・不規則性の脳機能への影響の1/fnゆらぎによる検討: 形式的環境から象徴的環境へ」
ずれ、ゆらぎに対する人間の脳の反応で、どの程度が心地よいかの判定を行っていました。 実験結果を見ていると、なんとなく、1/f が良さそうに見えたのですが、 そうでもないのかも知れません。 ことば(親密性)に対する実験はこれからとのことですが、期待が持てます。
笠原氏による 「「基本語彙知識ベース」の構想」
基本語彙知識ベース構築の構想ですが、基本語の語義の書き換えが重要そうでした。 人手で行って、更に、専門の人が確認するという作業で行っているようでした。 ちょっと、癖が入りそうな気もしますが、それもいいのかなという感じでした。 いずれにせよ、このような辞書は重要なので、早くできることが期待されます。
招待講演:
黒川氏による 「サブリミナル・インプレッション 〜「ことばの魔法」を解くアプローチ」
ことばの響きの持つサブリミナル・インプレッションについて話していただきました。 ハ行の言象はエントロピーを増大させるので、開放感があるなどの、 ことばが古来(サンスクリットまでたどっていました)から持つ力を、 これまで解析した具体的商品を例にして説明していただきました。 新鮮な話で、大変面白かったです。
会場風景
12/ 6 2003
松澤氏による 「松澤研究室におけることば工学へのとりくみ」
いやーーー 色々やっていますね。卒論1年(未満)という状況でこれだけ出来ればって感じです。 今度、修士にいく学生もいるとかで、期待いっぱい、興味津津浦浦島太郎の屋根に雪ふりつむです。 パワポも一部掲載しますので、面白い作品を見てください。これから宝石になりそうな予感がします。
鈴木氏による 「俳句表現が喚起するイメージに関する実験と考察」
前回に続いて、英訳俳句と絵の関係です。評価者が、 「良さ」をどこにおいて評価したのかは不明ですが、意外と面白い結果が出ていたと思います。 比較文の品質が揃っているともう少し面白かったかも知れません。
上野氏による 「ホール音場における演奏家の意識 −演奏行為によるホールの知覚と言語化に関する検討− 」
ホールに対して演奏家が用いる暗黙的なことばを理解出来る程度までブレークダウンしてそのことばを分類することで、 演奏家が何をいっていたかを示しており、大変興味深い研究でした。 ただ、ことば工学的には、 もっと、わけの判らないことばが出ているともっと面白かったかなと思いました。 恐らく、解析の途中で削られてしまったのではないかと思いますが。 そこに何か本質的なものが潜んでいそうな気がします。
清水氏による 「図と指示対象の関係から見たイメージ情報の分かりやすさの解明」
携帯の絵文字がどれくらい共通の意味で使われているかの調査研究ですが、 意外なことに、太陽などの絵文字以外は、結構一人よがりに意味をつけられているようでした。 それと同時に、他人の表現したメタファの理解が難しいのは、想像がつきます。 しかし、アイコン故、何らかのピクトグラム的標準化は必要だと思われるので、 それなりの共通意識はあると思われます。更なる調査が期待されます。