第14回ことば工学研究会の様子

日時: 2003年 8月29(金)〜30日(土)
場所: 29日: 同志社大学今出川キャンパス 博遠館 H212 教室
30日: 同志社大学新町校舎
〒602-8580 京都市上京区今出川通烏丸東入玄武町 601

テーマ: ことばと身体性


今回は、二日とも全日の開催となりました。 「身体性」は様々な意味で使われているようで、それに対する議論もありました。 二日目は少し分かりにくい道を通って校舎にたどり着くという感じで、もしかしたら、 迷われたり、途中であきらめた方もいらしたかも知れません。申し訳ありませんでした。
では、以下の絵で当日の雰囲気を楽しんで下さい。
絵をクリックすると大きな絵が得られます。


8/29 2003
松村氏による「言葉の背後に潜む『問い』の抽出」
ネットBBSの書き込み方で語が新規であるかどうかなどで、 それが何を意図しているかを想定する手法を提案していました。 会場からあったように、ドメインを絞った方がうまく行くかも知れませんね。 いずれにせよ、構文解釈に頼るのではなく、 もっと見通しのいい手法の提案なので、次回の発表が期待されます。
会場風景
鍋島氏による 「言語学的アラインメント試論 −認知と言語における方向の軸間マッピング−」
人が上下、左右などどのように見ているかを含めてメタファに言及していました。 人間の空間理解がメタファ理解に影響を与えているようです。 色々な例で示していましたが、体系化されると面白いと思います。
緒方氏による 「身体化と非身体化・Causalityと使役: Dynamic Coginitive Semanticsの観点から」
Private Sensor Model を用いて、身体とつながっているかどうかの観点で意図的である、 タマタマ起こったなどを区別するモデルを提案していました。 虫の動きを使って説明していましたが、これを見ると、subsumption なのかなって思ってしまいました。いずれにせよ、 身体化の観点で使役などを考えるのは非常に面白いと思いました。
乾氏による 「日本酒を味わう表現についての分析」
色々な意味で様々な分野から期待されている「日本酒を味わう表現」 についての解析のデビューです。まだ、始めたばかりの研究ですが、 本日招待講演の瀬戸さんによる味の研究もありますし、 それなどと協力して素晴らしい研究になることを期待します。ちょっと、 データが散慢だったようなので、均質なデータが集まったらすごい結果が得られるかも知れません。
瀬戸氏による 「味ことばの身体性」
味ことばを、メタファ、メトノミー、シネクドキ中心にして、 共感覚表現(双方向性を持つ)から説明されていましたが、 それ以上にことばの体系的話が興味深かったです。
8/30 2003
笠原氏による 「類義語の自動生成」
類義語の生成において、辞書ベースで計算機生成するのには、 辞書の性能からいって限界があるので、人の感性も利用して生成しようという研究です。 完成までまだかなりあると思いますが、完成が楽しみです。
仲本氏による 「空間認知と言語理解 ―生態心理学のアプローチ―」
アフォーダンスにより、言語行為を説明しようという意欲的な試みです。 人間が世界に対して何か行為をすることで、 身体からとらえることのできる意味が決まるといった話だったと思います。 これから体系化されると面白くなると思います。
大学の近くで面白いたべものを見つけたので、撮影してしまいました。 確か、いもぼう定食だったと思います。
Rzepka氏による 「Five Senses Input Simulation Based on Web Resources」
ロボットにおける学習において、5感にまつわる常識をネットの上にある知識から学習しようという試みです。 感情を理解するのにこのような知識は重要なので、これからが期待されます。
岩垣氏による 「ことばと身体とコンピュータについて」
身体性に対して色々な解釈があるといっていましたが、確かにそうでした。 又、言語の習得に身体が関わっているとのことから、幼児ことばの分析をされていましたが、 まだ、答は出ていないようでした。
金田氏による 「幼児を対象としたマーカー追跡を用いた音楽指導支援手法」
幼児教育において、幼児の動きをマーカーを頼りに追おうという研究です。最近、 ICチップとか盛んに使われていますが、微弱な電波といえども、電波は電波です。 小さな子どもには影響がかなりあるかも知れません。 画像の解析からだけ情報を得ようとしているので、限界もあるかも知れませんが、 このような研究は、ユビキタスと言われている現在こそ重要かも知れません。 更に、身体性を扱っているので、様々な身体的な問題に適用可能だと思います。