良峯 徳和 (湘南国際女子短期大学 / 東京工業大学社会理工学研究科)
虚構理解における読み手の共感や感情経験は,いかなる認知プロセスによって喚起さ れるのか.登場人物や出来事に対する読み手の感情的反応は,たんに誰が何をしたか ,誰に何が起きたのかという内容的理解だけでなく,それがどのような文脈設定のも とで記述されているか,それを読み手がどのような視点から理解したかという認知的 条件によって変化する.今回の発表では,感情喚起を伴う虚構理解の認知モデルの構 築を念頭に,読み手による共感の成立条件および対応する共感のタイプについて,出 来事とその文脈的位置づけという観点から分析し,その結果を報告したい.