○矢吹 渓悟、角 薫 (公立 はこだて未来大学)
本研究では、語用障害をかかえる人と定型発達者の曖昧な発話の言外の意味によるコミュニケーションの破綻の問題を定型発達者側から改善するために、語用障害をかかえる人を再現したシステムを開発する。これは、身近に語用障害をかかえる人がいる定型発達者が、その語用障害をかかえる人との会話の練習および対話方法の改善を行うためのシステムである。語用障害の主な問題点は、字義通りに発話を理解することから、指示詞・ゼロ代名詞・慣用表現・比喩表現・間接発話行為等の理解の困難さや、情報の欠落により文脈把握を必要とする発話の理解の困難さ、明確化要求の表出の乏しさ、さらに視線・表情・ジェスチャー等の理解の困難さや表出の乏しさ・不適切さがあげられる。本システムは、障害の程度(重度・中程度・軽度)に合わせて、言語情報および非言語情報の二つの観点から、語用障害をかかえる人を再現する。これは、システムが定型発達者からの情報に対して理解の困難さを示すことや、システムが定型発達者に対して明確化要求や非言語情報の表出の乏しさや不適切さを示すことで再現する。なお、今回は慣用表現の理解の困難さの特徴の再現について検討する。