【講演概要】

常識的知識グラフに基づく理解容易性及びユーモア性を考慮した直喩表現生成 (OL)

〇貞 誉志樹、谷津 元樹、森田 武史 (青山学院大学 理工学部 情報テクノロジー学科)



比喩とは物事を他の何かに置きかえて表現することをいう。 比喩を使うにあたって大事なことは相手に理解しやすいように例えること、 そして、ユーモアだと考える。比喩の生成には直喩を生成することにした。 ユーモアを考慮した直喩表現の研究はあるが、 ユーモアと理解容易性の両方を考慮した直喩表現の研究は少ない。
関連研究をまとめると、「理解容易性」「類似性」「親しみやすさ」「解釈数」 「具体性」はユーモアに好影響を与え、「意外性」 はユーモアに好・悪どちらの影響をも及ぼす可能性も示唆されるため、 さらなる調査が必要と考えられる。一方、「新規性」 についてはこれを付加する条件でのユーモア性の向上はこれまでに観察されず、 さらに「理解容易性」との強い負の相関を示す実験結果が提示されている。
本研究では「理解容易性」「意外性」「具体性」を考慮した直喩生成システムを提案する。
「理解容易性」を考慮するために、同じ特性を探すためのCOMET-ATOMIC2020を利用する。 「意外性」を考慮するために、ConceptNetを利用して上位概念ができるだけ異なる概念を探す。 「具体性」の考慮は、ConceptNetの上位概念をたどり、 上位概念をもたない ``entity'' までの辿る回数が長い概念を探す。 ConceptNetで例える単語と例えられる単語の上位概念ができるだけ同じ概念を探す。
20〜24 歳の男女20人の被験者を対象に、先行研究、概念距離のみを考慮する手法、 「具体性」のみを考慮する手法、「具体性」「意外性」を考慮する手法、 「意外性」のみを考慮した手法の5つの手法をユーモア性、理解容易性について評価を行った。
実験結果は「具体性」「意外性」を考慮する手法がユーモア性・ 理解容易性の双方で最も高い評価を得た。このことから、ユーモア性、 理解容易性を考慮した直喩生成には「意外性」「具体性」 が必要という可能性があることが分かった。今後、今回考慮しなかった「類似性」 や「解釈数」や「親しみやすさ」も考慮するなど、システムの改善・拡張を試みる。