【講演概要】

福祉情報工学へのアプローチ その2: 方式評価の枠組み

○立石 昂、天沼 博、松澤 和光 (神奈川大学大学院 工学部研究科 電気電子情報工学専攻)



前回の報告(第34回研究会)では、障害者がコンピュータを利用している現場の紹介を行い、 入力誤り修正によって文章の校正をサポートすることが障害者のより自立したコンピュータ利用につながる可能性を提唱した。 障害者が作成した文章に現れる入力誤りの傾向を調査し、手法の提案および予備実験を行い、 今後の方向性と課題を検証した。しかし、こうした障害者支援の方式を評価する場合、 対象となるサンプル(今回は障害者が作成した文章)を多数用意することが一般的に非常に難しい。 これは福祉情報工学における本質的な問題であると考えられる。
そこで本報告では、福祉情報工学において、客観的で正確な方式評価を行うための枠組みのひとつとして、 障害者が作成した文章サンプルの代わりに別の文章データを用いる方法を提案する。 このため、障害者が作成した文章中に現れる入力誤りの傾向を調査し、 その入力誤りと似た傾向の文章が現れる データで大量に入手可能なものが無いかを調査した。 この結果、日本語の習得が完全ではない外国人の文章や、 インターネット上のくだけた書き込みなどのデータについて、 方式評価に利用できる可能性があることを報告する。