竹田 青嗣 (明治学院大学 国際学部)
現代思想は言語論的探求をその特質とする。 これは近代哲学の認識論の難問が言語理論へと変換されたものにほかならない。 ヴィトゲンシュタインを代表とする分析哲学の系譜と、 ジャック・デリダを代表とするポストモダン的記号論がその二つの主流をなしている。 それらは形而上学批判という重要な課題を提出したが、 理論的欠陥によってこの本質的動機は最後まで貫徹することに失敗している。 現象学的方法による言語本質の分析を通して、形而上学批判という動機の徹底を試みる。