【講演概要】

俳句表現が喚起するイメージに関する実験と考察

○鈴木 雅実、小林 裕一(ATR メディア情報研究所)、吉村 侑久代(朝日大学)



伝統的な俳句は,五七五の定型リズムを基本としている。 他にも季語(季題)や,切れ字等に代表される時間的空間的な余韻の美学,等々が指摘されていが, 日本の文化的環境の下では五七五のリズムは自然に受け止められているものと考えられる。 俳句は,その短さの故に,対象を説明するというよりは, イメージを喚起するに足る最小限のことばを呈示する「省略の文学」といった 言い方をされることもあるが,果たして五七五の俳句表現と,それ以外の短詩・短文表現とでは, 想起されるイメージに大きな違いがあるのだろうか? 本講演では,オリジナルの(英語)ハイク作品と,その直訳的な日本語表現, および意訳的な俳句表現(五七五)の間で,それを鑑賞する被験者の抱くイメージに差があるかを確認する試みを紹介する。