椹木 哲夫 (京都大学工学研究科)
大規模複雑な工学システムの設計にとって,システムを形作る要素間の相互作用と自 律的秩序形成のメカニズムの解明は必須である.とくにシステムを構成する活動主体 としての各モジュールが,もう一方の活動の過程を形作ったり区切りを与えたりする ことで両者が互いの相手の在り方を規定するような相互限定による適合の形態,そし て個々の即興的な振る舞いが共時的になされることを通して結びつき組織化されるこ とで,違った適合の形態を産み出すような動的プロセスが注目されている.本講演で は近刊の尾上圭介著「大阪ことば学」(創元社刊)において指摘されている大阪弁に おける柔らかさの諸特徴について考察し,そのインタフェース機能が,人間と人工物 ,あるいはまた複数の活動主体の間で交わされる相互作用・相互交流を通しての秩序 形成やインタラクション設計への指針となることを述べる.