○佐藤 優介,角 薫 (はこだて未来大学)
ゲームの開発において、難易度調整はプレイヤーのモチベーションや没入感に大きく影響する重要な要素である。 特にプレイヤーの離脱を防ぐための動的難易度調整 (Dynamic Difficulty Adjustment: DDA) は注目されており、 プレイヤーの状態に応じてリアルタイムに難易度を変化させる仕組みとして研究が進められている。 しかし、従来のDDAは主にスコアや操作ログなど外的指標に基づいており、 プレイヤーの内的状態である情動を十分に反映できていない。本研究では、 生体情報を用いてプレイヤーの情動状態を推定し、 その分析結果に基づくDDAの方策を検討した。具体的には、心拍変動 (HRV) および皮膚電位反応 (EDA) を指標として、ゲームプレイ中の緊張度や覚醒度の変化を測定し、 チクセントミハイのフローモデルに基づいて情動状態を分類した。さらに、 アクション、ホラー、パズルの3ジャンルにおける生体情報の傾向を比較し、 ジャンルごとの情動特性および没入度の違いを調査した。 没入度の主観的評価にはGEQ (Game Experience Questionnaire) を用いた。 その結果、すべてのジャンルでプレイヤーはフロー体験を得ており、 フロー理論に基づくDDAはジャンルを問わず適用可能であることが示された。 また、各ジャンルには異なる情動遷移パターンが存在し、 アクションやパズルでは緊張と弛緩が交互に現れる一方、 ホラーでは緊張状態が持続しやすいことが明らかとなったf。さらに、 生体指標だけでは情動を単純に推定することは困難であり、 主観評価と組み合わせることでより精度の高い分析が可能であることが示された。 これらの結果は、ゲームデザインやジャンル特性がプレイヤー体験や生体反応に影響することを示唆している。 加えて、個人差による生体指標のばらつきが大きかったことから、今後はより大規模なデータに基づく検証や、個別対応を考慮した設計指針の策定が必要である。