大津留 香織 (台南應用科技大学)
マンガ研究家である四方田犬彦は、『漫画原論』において、 マンガに現れるスタイルの違いを、詩や小説からの言い回しを借りて「文体」 と表現した。彼は、赤塚不二夫作品等にみられるギャグ調で描かれたキャラクターと、 たとえば『ゴルゴ13』等でみられる劇画調のキャラクターや背景を混ぜることで、 違和感を創出できることに注目している。 本稿では (四方田も把握しているように) 詩や小説において「個人の文体」 と呼ばれる、作家がコントロールできない空気感を含む描画もまた「文体」 と呼び、考察したい。