オントロジーの利用は現在では人文科学分野においても幾つか見られるが、 扱われるデータは主として言語や文字資料などに限られているのが現状である。 本報告は東アフリカやアラビア半島で嗜好品として流通しているニシキギ科のカート (Catha edulis) を対象に、 イエメンで実施した参与調査で得られた様々なデータを用いたオントロジーの試作を通して、 文化人類学分野におけるオントロジーの有用性や構築に際しての課題等について考察する。