【講演概要】

生成のための物語分析の諸相 ―既存研究の整理と今後展望生―

小方 孝 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部)



本稿で論じる物語分析は、従来のもと異なり、物語生成システムを目的としている。従来のその目的は、物語生成システム自体の構成を決めることであった。 例えば、 小説等の 物語の構造や生成過程分析に基づいて、物語内容 (story) ‐物語言説 (discourse)‐物語表現の三つ機構から成る全体枠組みを考案した。 それに対して現状での物語分析は、その目的を変化させている。 筆者らは上の大枠に沿って、「統合物語生成システム (Integrated Narrative Generation System: INGS)neration System: INGS)」 (小方・金井, 2010a; Akimoto & Ogata, 2014) と呼んでいるシステムの構築を進めており、 それは一つの全体的システムとして稼働する段階に達しているが、 これまでの開発主要課題は、物語生成システムの「機構」の側面であった。 システムは、この機構に対して「内容」を必要とする。 機構とは、物語内容・言説表現の各段階において、 内容的知識を使って生成実現する仕組みを意味する。 そして現状での最大問題は、この内容的知識に相当する部分の不足・ その体系的試行の不足であった。今後は、 各種物語分析や論等文学理の摂取を通じて内容的知識を実際に導入して行くことが、 研究の一つ焦点になる。 そこで本稿では従来行った物語分析の各種試行をも参照しながら、INGS への内容的知識導入の方針と法について考察する。