小田 淳一 (東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所フェロー)
本稿は,AI 第 3 間氷期が始まった頃の 2002 年に筆者が人工知能学会ことば工学学研究会で発表した小論 「生成詩学のアルゴリズム試論」[小田 2002]の全面的な再検討として、 近代詩学が 20 世紀後半の構造主義言語学と絡み合いながら詩的言語の分析において纏い始めた科学性、 またそれと並行して試みられてきたコンピュータ、 及び或いは、AI による詩作の様相、そして拙論から約 20 年を経て 2022 年末に登場し、 現在の AI 間氷期をしばらく継続させるであろう ChatGPT がどのような詩的機能を発現しているかなどに触れつつ AI 詩の今後の可能性について述べる。