小田 淳一 (東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)
ヤーコブソン詩学の原理は、 詩的言語が範列軸に特有の等価関係を連辞軸上に投射するということに約言されるが、 この等価性原理が含意するのは、究極的には同一性と差異の無限の戯れである。 本研究の目的は、詩作指向辞書及びアルゴリズムによって、 永らくユートピアの域に留まっていると言われていた生成詩学の理想 (「詩」を機械的に生成し、それらの詩を読み手が詩として認めるか否かに従って、 提出された仮説の有効性をテストできるようにすること)に接近することである。