【講演概要】

仮想環境におけるプロテウス効果の発現とパフォーマンスへの影響についての多面的検討

○仲山 芳古,角 薫 (はこだて未来大学)


近年、メタバース技術の発展とHMD(ヘッドマウントディスプレイ)の普及により、仮想空間での教育、トレーニング、コミュニケーションが活発になっている。特に、メタバース環境における仮想アバター(Virtual Avatar) が、学習や社会的交流の質に影響を与える可能性が指摘されており、多くの研究が進められている。仮想アバターに関する研究で主要なテーマの1つにプロテウス効果がある。プロテウス効果とは、仮想アバターの外見特性によってユーザの行動特性や態度が変容するという自己知覚理論を根底とした心理効果の一つであるプロテウス効果は様々な分野で検証されており、その有用性を示している。しかし、中にはプロテウス効果が発現しなかった研究や、予想していた効果と真逆の効果になってしまった研究など、結果が安定しないという問題もある。このような問題を抱えていることからプロテウス効果のメカニズムには議論の余地がある。本研究では、仮想空間上においてプロテウス効果の発現や、プロテウス効果がパフォーマンスに影響を与える影響について、コミュニケーションタスク、身体タスク、認知タスクを用いた2つの実験を通して調査した。結果として、プロテウス効果による感情・認知の変容が2つの実験で確認できた。また、パフォーマンスについては身体タスクにおいて十分な有意傾向が見られた。これらの結果は、プロテウス効果が認知・感情の変容に大きく影響を与える一方で、行動やパフォーマンスに十分な影響を与えるには実験環境、タスク内容、仮想アバターデザインなどを検討し、より緻密な実験デザイン設計が必要であると考えられる。