【講演概要】

仮想空間における非言語情報の可視化が対話に与える影響

○中野 大地,角 薫 (はこだて未来大学)


本研究は、仮想空間における非言語情報の可視化が対話に与える影響を検証することを目的としている。 VR技術の進展により、仮想でのコミュニケーションが現実に近づきつつあるが、 表情や発汗、心拍数などの非言語的手がかりが制限されることで、 信頼や共感の形成が困難になる場合がある。本研究では、 表情認識技術や生体センサーを用いて、 ユーザーの表情や生体情報をリアルタイムに取得、反映し、アバターを通じて視覚的に提示する。 その結果、非言語情報を表示しない場合と比べ、対話の質にどのような影響があるかを分析する。 さらに、偽の非言語情報を提示する条件も設け、情報の真正性が心理的に与える影響についても考察する。 実験では4つの条件群を設定し、大学生10名を対象に実施した。その結果、 非言語情報を表示したアバターでは表示しないアバターに比べ、感情、 意図の理解のしやすさで有意差が認められた。また、 偽情報を表示した場合は正しい情報を表示した場合と比べ統計的に有意ではなかった。 この結果より、非言語情報を表示することは対話における感情、意図伝達を補助し、 偽情報は真実の情報と同様に対話相手に違和感を与えることなくコミュニケーションを円滑にする要素として機能することが明らかになった。 本研究は、仮想空間において情報の真偽にかかわらず、 非言語情報の視覚的提示そのものが相互理解や信頼形成において重要な役割を果たすことを示しており、今後の仮想空間での対話システム設計における新たな指針を提供するものである。