○毛 碩,角 薫 (はこだて未来大学)
本研究は、プレイヤーの感情状態に応じて音楽を動的に生成するゲームシステムの設計を目的とする。 近年、AI音楽生成技術の発展により、高品質な音楽をリアルタイムで生成することが可能となっているが、 ゲームにおいてプレイヤーの感情状態に適応して音楽を動的に生成し、その影響を検証した研究は限られている。 特に、感情適応型音楽がプレイヤーの没入感および感情変化に与える影響については、 十分に明らかになっていない。本研究では、プレイヤーの感情状態に基づいて音楽をリアルタイムで生成するゲームシステムを開発し、動的生成音楽と固定音楽がプレイヤー体験に与える影響を比較する。仮説1として、感情に適応した動的生成音楽は、固定音楽と比較してより高い没入感を生じさせると仮定する。仮説2として、動的生成音楽はプレイヤーの負の感情を緩和し、感情変化を促進すると仮定する。仮説3として、感情に基づいて生成された音楽は、固定音楽よりも高い感情一致度を示すと仮定する。本システムは、ゲーム環境、感情認識モジュール、音楽生成モジュール、および音楽再生モジュールから構成される。ゲーム環境はUnreal Engineを用いて構築され、プレイヤーは異なる感情環境(happy、sad、angry)を体験する。感情認識には、カメラ映像から表情を解析するDeepFaceを用い、プレイヤーの感情状態を推定する。音楽生成には、Suno、Stable Audio、MusicGenなどのAI音楽生成モデルを用い、推定された感情状態に基づいて対応する音楽を生成する。生成された音楽はゲーム内で再生され、プレイヤーの感情状態に応じて動的に変化する。実験では、被験者10名以上を対象とし、各被験者は3つの異なる感情環境(happy、sad、angry)を体験する。各環境において、被験者は固定音楽条件および動的音楽条件の両方を体験し、提示順序は順序効果を防ぐため乱序とする。各条件体験後、被験者は没入感、音楽と環境の一致度、感情変化、およびゲーム体験に関する主観評価アンケートに回答する。これにより、動的音楽生成がプレイヤーの感情およびゲーム体験に与える影響を明らかにし、感情適応型音楽生成を用いたゲーム設計の有効性を検討する。本研究の成果は、ゲームにおける音楽生成技術の新たな応用可能性を示すとともに、プレイヤーの感情体験を向上させるインタラクティブシステム設計への貢献が期待される。