【講演概要】

ストーリー性と逸脱性に基づくストーリー生成制御

○栗澤 康成 (岩手県立大学大学院)、小方 孝 (岩手県立大学)



従来から物語生成における一つの根本的問題はストーリーを如何に扱うかと いうことであることを論じて来た。 この主題は、文学的・芸術的な物語だけでなく、 テレビ広告をはじめとする広告の物語のような実用的物語においても取り扱われている。 筆者らは、広告の物語におけるストーリー性とその切断 (異化ないし逸脱)の分析に基づいて、物語生成システムにおける 「規範‐逸脱機構」を提案した。 この発表では、その中の一つの機構として、 ストーリー性と逸脱性を二つの基準とし、 それぞれの評価値を操作することで、 両者の様々な組み合わせを可能とする機構を紹介し、議論する。 なお、「規範‐逸脱機構」は、 これまではテレビ広告の物語におけるストーリーを模倣することを直接の目的とし、 比較的ミクロなレベルの物語生成を扱って来たが、 本来のその目標は特にストーリー性を巡り物語生成の様々なレベルでの逸脱を具体化することであった。 上記のようなミクロレベルの物語生成技法がその一部に含まれるような、 規範‐逸脱への体系的アプローチを今後は目指す。