小山 亘 (立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科)
本発表では、主に、視点とコミュニケーション・モデル (特にコミュニケーションの出来事モデル)との関係について論じる。 視点が、コミュニケーション出来事で言われていること (古典的な機能文法や談話分析で研究されてきた言及指示的テクストの要素)、 あるいは為されていること(たとえば、古典的な意味での「発話行為」、 よりコンテクスト化された「語用実践行為」、ないし、 コミュニケーション出来事参加者たちのアイデンティティや力関係の指標など)、 これら両者に対するコミュニケーション出来事の参加者や分析者のメタ語用的態度やスタンスに関わるものであるならば、 視点の問題は、コミュニケーション・モデル(情報伝達モデル、 6機能モデル、出来事モデルなど)にも直裁に関わってこよう。 こうして、視点とコミュニケーション・モデルは、 メタ語用論的現象であるという点において同じ領域に属し、したがって、 両者の間には体系的な相互関連性があることが示唆される。 諸々のコミュニケーション・モデルは、視点の種類や位置と相関しており、 視点についての理論的考察のマトリクス的な役割を果たしうるものとなると考 えられる。この問題に言及しながら、 本発表では、複数のコミュニケーション・モデルについて簡単に論じてゆく。