○一尾 操 (大和大学)、小野 淳平 (青森大学)、 青木 慎一郎 (岩手県立大学)、 小方 孝(大和大学)
本研究では、自閉スペクトラム症(ASD)傾向者の行動特性に着目し、 それを物語生成における独自の資源として活用する。 具体的には、ASD当事者による待ち合わせ体験を題材とした「東淀川駅物語」 を分析対象とし、その中に見出される修辞技法を抽出し、その結果、 (1)独自の結論を作り、その結論に基づいて見聞きした情報を解釈するする、 (2)一度形成した解釈を修正しにくい、 (3)過去の経験に過剰に影響される、(4)位置関係や方向を混乱しやすい、 (5)視覚的な記憶が強く残る、の五群に整理する。 次に、得られた修辞技法を適用し、生成AIを利用した新たな物語を自動生成する。 本研究は、ASDの特性を困難としてのみ捉えるのではなく、創造的資源として評価し、 人間の認知特性とAIを接続する新たな物語研究の方向性を提示する。