○岩原 昭彦 (樟蔭東女子短期大学)
本研究の目的は,携帯メールで生じるミスコミュニケーションの事例を収集し分類することであった。 具体的には,「どのようなメールを送ったときに,どのような誤解を受けたのか」あるいは, 「どのようなメールを受け取ったときに,どのように誤解したのか」に関するものであった。 得られた事例は,主に語用論的な観点に基づいて分類された。 その結果,メールによる対話で生じる誤解には, 一定の表現形式が用いられていることが明らかになった。 また,ミスコミュニケーションを防ぐためにはどうすればよいのかに関しても分析を行った。 表記の逸脱や絵文字の使用がどの程度,送信者の意図を伝達することに貢献すると感じているのか, 誤解を防ぐためにはどのような表現形式を用いればよいのかについて調査をした結果, ミスコミュニケーションの防止に対する意識と実際に利用する表現形式には“ずれ”があることが認められた。