【講演概要】

ミスコミュニケーションに関する基礎研究 (1)

○岩原 昭彦 (樟蔭東女子短期大学)、八田 武志 (名古屋大学 情報文化学部 社会システム情報学科)



電子メール上での相談や議論は、送信者の意図がうまく伝達されにくいために、 受信者に誤解を与え、結果的にケンカ別れに終わるなど禍根を残しやすいことが報告されている。 これは、対面式のコミュニケーション事態では、表情や韻律という非言語的情報が発話内容と同時に伝達され、 送信者が抱く情動的意味情報は、表情や韻律を通して相手に伝達されるために、 円滑なコミュニケーションが可能となる一方で、 電子メールなどの文字言語に依存したコミュニケーション事態では、 単語や文法による意味情報しか伝達されず、誤解が生じやすいのは、 情動的意味情報がうまく伝達されないことに原因の一端があると考えられる。
文字言語コミュニケーションにおいては、 情報の発信者が表記や書体の選択的使用により情動的意味情報を伝達しようとしていることを、 我々は一連の研究で明らかにしてきた。本研究では、情報の受信者が送信者の意図をどの程度解読できるのかを検討した。 その結果、文言語コミュニケーションにおいては、送信者が思っているほど、 受信者には意図が伝達されていないことが明らかになった。 この結果をミスコミュニケーションという観点から議論する。