岩垣 守彦
受信者に感動的かつ審美的納得を与えるためには, 受信者の脳に蓄積された個々の集合イメージに付けられたグループ共通の符牒 (の総体=言葉)を通して「感動」を喚起しなければならない. それには技巧を必要とする.その技巧の根本は「イメージの共鳴」, 創造的に符牒を付け替えることによって視覚化することである. 「イメージ共鳴」は種としても個としても人間が慣れ親しんできた認識と伝達の技巧で, 二つの物事(集合イメージ)に共通の属性を発見して 「 Nはnである」という関係性を創り出す方法である. しかし,そのような「関係性の創出」が成功するかどうかは, 発信者が満悦するのではなく受信者が共鳴しなければならない.実際, 過去において成功した「イメージ共鳴」には, 「Nはnである」の背後に N=(as adj. as) n であらわされる共通の属性があり, その属性は N と n において原初的感性に訴える adj.を共有している. このような「イメージ共鳴」の内部構造は「感覚」の喚起と連動しているようにも思われる. 「感動の喚起」と「感覚の喚起」について考える.