【講演概要】

「物語」と「文学になりうる物語」と「物語の表現」と「文学の表現」に関して

岩垣 守彦 (前・玉川大学)



「物語」と「文学になりうる物語」は一致することもあり, 「物語の表現」と「文学の表現」も一致することもありうるが,本質的にはそれぞれ異なる。 「物語」は「言語による事象の配列」であって,論理的納得も心理的納得も必ずしも必要ではない。 したがって,「事象の配列」は無限のバリエーションを可能とする。 それに対して, 「文学になりうる物語」は論理的納得と心理的納得を必要とする「言語による感情喚起的イメージ配列」である。 そして,その中で「文学」と読者に認められるには感動的納得が必要である。 したがって,表現においても,「物語」は事象を「名詞と動詞」で表せばよい。 「文学になりうる物語」はイメージを「名詞と動詞」で示しながら「感情形容詞」を引き出すように表さなければならない。