岩垣 守彦
古今集で「うつらとなきて」と歌われた歌が、伊勢物語では 「鶉となりて鳴きおらん」と創作され、以後。この鶉は 「男に捨てられた女の化身」と解釈されてきているが、 自然の理にかなわない。その点、 上の二首と関わる俊成の「鶉鳴くなり深草の里 (千載和歌集259)」 の鶉は雄である。俊成の創作は自然の理にかなっている。 俊成は伊勢物語の歌を本歌としたのではなく古今集の 「うつらとなきて」を参考にしたのではないか。このあたりを考察する。