岩垣 守彦
詩は聴覚符牒によって想像画像を送って、感覚を刺激して感情を喚起させるが、 その根底には「言語による認識・思考・伝達の論理」が働いている。したがって、 聴覚符牒によって想像画像が生じないか推定画像しか得られない、 また、「認識・思考・伝達の論理」が異なるという二重の困難を伴う言語間において、 想像画像の順序が重要な「詩・歌・句」の言語変換による理解は本質的に不可能であるが、 実際には「異言語を日本語の表現構造に変えて日本語で理解する」という方法で 「訳詩」というものが存在する。ここでは、詩の想像画像の順序を優先させる 「異言語を異言語の表現構造のまま日本語に変換して理解する」という方法を考えてみる。