所謂「歌謡番組」における映像表現では、 歌手などが演奏する様子をカメラワークやライティングによって変化をつける単純な構造の撮影行為が行われる． これらの表現の多くは， 移動ショットなどの視覚変化がもたらす興味性を目的にしている． このような一般的な傾向にあって， 映像表現の要素を制約して用いた撮影技法によって， 歌詞によって表現される登場人物とそれを表現する歌手の主体間の分離を促進するなど， 歌謡曲の構造を活用した特長的のある修辞について事例をもとに検討する．