入舩 真誠、村井 源 (公立はこだて未来大学大学院 システム情報科学研究科)
複数の物語を組み合わせた物語の複合的構造について、 従来様々な研究が行われている.しかし、複数の物語の接続関係を分析することで、 より長い物語を続けていく手法については十分に明らかになったとは言えない。 また、物語内での主人公の目的と主人公の目的を達成するための行動についての関係性を分析した研究はほとんど行われてこなかった。 物語を長編化するにあたっては、主人公の目的が達成された後に、 新たな目的を発生させる連続構造を持たせ、より長く物語を続け長編化を図る手法や、 目的を達成するための目的のような入れ子構造を持たせ、 目的の達成までの過程を長くすることで長編化を図る手法、 あるいは目的を並行して達成に向けて行動させ物語を複雑化させることで長編化を図る手法などが考えられる。 そこで本研究では、文章を主とし、自由な連載形式を持つ「なろう系小説」と、 視覚情報を主とし、雑誌連載の枠組みを持つ「ファンタジー漫画」 を比較対象として選定し、比較分析を行う。本研究では、分析対象とする作品について、 とりわけ高い人気の作品を厳選して調査を行う。限られた作品数であっても、 ジャンルを代表する圧倒的な人気を持つ長編作品群において共通する構造が発見されれば、 それは長編人気作品を構成するための本質的な特徴であると捉えることができるためである。 分析を行うために、主人公の目的と手段を新たに作成したタグによってデータ化し、 目的間の関係を記述した。時系列的な連続関係について分析を行った結果、 情報収集に関する目的の連続関係が共通して見られた。 親子関係に関する分析を行った結果、両メディアにおける、 親目的・子目的での出現頻度高い目的が明らかとなり。 親目的と子目的における手段についての差異においても共通点が見られた。 並列関係に関する分析を行った結果、ライトノベル作品では、 並列関係を許容する物語構造になっているが、漫画作品では、 並列関係がほとんど見られない物語構造になっていることが明らかとなった。 また、作成した主人公の目的分析用カテゴリの一致度検証を行った。