井上 京子 (慶応大学)
ことばは身体を基盤としたコミュニケーション活動と見ることができる。 本発表では、自らの身を通して知覚し、認識し、 コミュニケーション活動を行う人間の所作の産物としてことばをとらえ、 認知の普遍性および文化の相対性の観点と関連付けながら、 身体を中心とした3つの空間軸の持つ意味を検証する。
- 「縦と横」は人間の身体と視線を重要な基準とする空間表現の一例であり、このことばで表される空間軸の日英語比較を試みる。
- 「右と左」は文化によって非対称化された二分法である。人間なら誰でも日常生活レベルで用いると考えられてきた左右の空間表現が、実はそれほど普遍性に裏付けられてはいない事実を提示する。
- 「前と後」は空間が時間に転用される表現として、そこに現れる言語ごとに特有の時間観を考察する。