【講演概要】

刺激間隔における1/fゆらぎの視覚・聴覚誘発脳磁図反応に対する影響の検討 ―視覚・聴覚の周波数閾値近傍における 1/f1ゆらぎの影響の検討―

○原田 暢善、岩木 直 (産業技術総合研究所関西研究センター)



1/fゆらぎの生体に対する影響および刺激として受けた時の印象を表すことばとして、 ``音楽のようなゆらぎ''および ``生体になじむゆらぎ''などの表現が用いられてきたが、 直接的に生体反応を計測した事例は多くなかった。 また1/f1ゆらぎの生体反応に対する影響を検討した研究においても、 その反応は``ゆらぎの中のランダムさ''の度合いが刺激強度として反映された結果として、 1/f1ゆらぎの反応強度が、1/f0ゆらぎおよび1/f2ゆらぎの間に位置する結果であった。 一方、1/f1のゆらぎの印象等を議論した研究においては、1/f1の特異性および、 反応強度として1/f1のゆらぎが最大となる事例が存在するのではないかとの議論があった。 1997に野崎と山本らは、確立共振ノイズ信号の中の 1/fnゆらぎのノイズのべき乗nの信号の閾値に対するシュミレーション実験を行い、 ある条件において、べき乗nが1の場合に最も閾値が小さくなる、 すなわち、信号の作用が、べき乗0および2に比較して最大になる場合があることを報告している。
本実験は、視覚刺激間隔の中の1/fnのゆらぎのべき乗nを変化させた場合、 ちらつき感覚発生の周波数閾値がどのように変化するかについて検討を行った。 結果として周波数閾値は、1/f0で112Hz、1/f1で164Hz、1/f2で82Hz、1/f∞ (一定間隔) で47Hzで、1/f1ゆらぎの条件の周波数閾値が最も高かった。 それらのゆらぎを刺激間隔に導入した光点滅刺激列を提示した場合の視覚誘発脳磁図反応の OFF反応を検討したところ 1/f1条件が最も小さく、次いで1/f0、1/f2で、 1/f∞が最大であった。 以上のことは、1/f1ゆらぎが撹乱としての刺激強度として他の条件と比較し最大であることが明らかになった。
さらに、1/f1ゆらぎの影響が最大になる事例について聴覚誘発脳磁図反応において検討を行った。
また周波数閾値の臨床応用事例であるフリッカー値による疲労計測および本計測手法応用事例 (計測結果提示手法における物語の利用の可能性)に関して議論を行いたい。