羽尻 公一郎 (立命館大学 理工学部情報学科)
話し言葉や言語学の例文などの病的な文は、書き言葉に対して圧倒的に意味が倒錯している。 しかし、倒錯していても、部分的には整合している。全体の倒錯と部分の整合。 これが形式意味として病的な文を解析するときの問題である。
本発表では掛かり受けなどの素朴な統語解析と、局所的形式意味解析を用いて、 文全体の形式意味を古典論理、モンタキュー論理、ファジー論理などさまざまなモデルに適用し、 形式意味の値をトポロジーに変換し、そのトポロジー情報から構造を可視化するシステムを開発した。
可視化された形は形式意味の病的具合により、単純な図形からメビウスの輪やクラインの壺、 エッシャーの絵画の背後にあるペンローズの不可能図形などになる。
その形に味付けをするため、象形文字と品詞を対応させて直感的な図形による文の形式意味の理解を促進させる。 象形文字はシニフィアンとして用いるに過ぎず、 任意の図形を与えることが可能であるが、 恣意性を縮退させるために用いているに過ぎない。