【講演概要】

対話のずれと最小補完: 社会的修復を圏論から考える

〇古屋 有紀子、阿部 明典 (千葉大学 大学院 情報学研究院 情報・データサイエンス学府)



本発表は、人間の対話や共同的な物語生成において生じる「解釈のずれ」とその修復過程を、「最小補完」という観点から捉える試みです。最小補完とは、対話を一から説明し直すのではなく、これまで共有されてきた関係や状況のパターンを手がかりに、欠けている前提だけを補って一貫性と相互理解を回復しようとする働きを指します。即興演技の観察実験を対象に、どの場面でずれが知覚され、どのような前提が補われたと語られるのかをコーディングし、この最小補完という枠組みでどこまで説明できるかを検討します。あわせて、対話状態を対象、役割関係のリンクを射とみなすことで、こうした修復過程を圏論的・構造的な観点から記述し、ラポールやコンテクストを保った対話を支える仕組みとして位置づけることを目指します。