【講演概要】

「対話」ってなんだろう ―演じる人の推論について―

○古屋 有紀子、長尾 徹 (千葉工業大学大学院創造工学研究科)



人がコミュニケーションをとる中で行う、仮説を構築するような創造的な推論 (abduction) に興味があります。現在はこの推論について、自身の演技経験とC.S.パースの議論を援用しながら分析を試みています。ここでは、役を演じる行為を「理解すべき他者」として捉えるのではなく「自分が考える役の像を創造する」実践として位置づけています。
即興演技を行ってもらう実験では、演者が自身の役に対して行う推論だけでなく、他の被験者が演じる役(セリフや行動)に対する推論も活発に行われることが明らかになってきました。このような相互作用は、演技における推論の複雑さと創造性を示唆しています。