藤田 米春、西島 恵介 (大分大学 工学部)
言語を媒体とする作品は、作者の持つある具体的な事象世界 −実例(Instance)−を言語化という抽象化過程により、 記号として表現したものである。言語化は、 空間的時間的世界を文(文字列)という一次元的空間に写像したものとなる。 元の事象をこの軸に写像するため、表現の論理にかなりの変更を生じることになり、 そこに、レトリックの問題が生じる。
本報告では、事象の記述としての物語を、記述の論理の観点から分析し、 物語が単なる事象の整順構造の記録ではなく、 論理的な非整順構造を持つことにより成り立つことを、 数学の教科書の提示構造を再構成して物語化することを試みることにより示す。