【講演概要】

フィッシングメールに対する危険判断と言葉の感性に関する考察 (OL)

○Yan Feng (閻 鳳)、Ma Yuan、Tsutomu Fujinami (北陸先端科学技術大学院大学)



近年、フィッシング被害の多くはSMS や電子メールを用いた誘導事件となっており、 感性的な側面を持つ言葉(文字) が人間の危険判断に影響するかどうかが検討すべき課題である。
本研究では、フィッシング協会のフィッシングメール事例を利用し、 決定的な脅威の有無を変量として二つグループで実験を実施した。 被験者は実験材料となったメールのスクリーンショットを 「信頼度が低いー信頼度が高い」を五段階で評価する。加えて、 判断過程の視線を計測し、判断理由を聞き取り調査した。
実験により、信頼度の判断に影響を与えうる言語的要因を特定した。 具体的には、催促、不自然な表現、利用不能の恐れなどがある。また、 最も注目される要因は判断に影響する度合いが高いと推測される。
聞き取り調査により、言語的要因がもっとも強く影響することがわかったが、 各要因を視線データと照らし合わせると、 本人報告と相違する分析結果が得られる局面もある。そのゆえ、 言葉の感性を超えた潜在的要因が存在すると考えられる。例えばメールアドレス、 文書の書き方、情報量の多少は同時に人間の危険判断に影響する。ほかに、 口座情報、ネットショッピング、ファイル送付など、 メッセージ内容の特徴が判断に影響することがわかった。