青柳 悦子 (筑波大学)
一般に言語学において、発話としての文の意味は、発話内容(命題)と、 発話態度(モダリティ)に分けられる。 物語研究において、物語情報はこれまで、筋の展開や人物・場面描写ないしはコメントなど、 いずれにしても命題的な情報内容を中心に考えられてきた。 しかし、物語作品において重要であるのは、むしろ出来事の記述の仕方にあらわれる関係や認識のあり方であることも多い。 本発表では、川上弘美の作品を採りあげながら、 モダリティ表現およびそれに類する表現のもつ情報価値について分析・考察する。